香港からの「大撤退」が始まった!
中国によってフリーポートで国際金融都市の香港は落日を迎えるだろう。中国が全人代(全国人民代表大会)で香港の立法会も民意も無視し、香港基本法に背いて、国家安全保障法制(国安法)の香港導入を決めたからだ。
米国はこれに対して一国二制度が破壊されたとして、香港政策法で規定されていた香港の関税や査証に関する優遇措置の撤廃を発表している。すでに昨年一年の香港デモの影響で香港の資金引き上げ、資産脱出が始まっていたが、この流れを加速させ、決定づけることになった。
一般に資金の避難先はシンガポールだといわれている。シンガポール金融管理当局は4月の段階で、非居住民の預金が前年同期比44%増であることをメディアに公表したが、これら資金は香港から来たものだとみられている。また、香港の国際貿易融資銀行関係者がロイターに、取引先の米国の大手小売りチェーンと相談の上、資金管理業務を香港からシンガポールに移したい、と答えている。
香港国内では抗議デモが勃発している photo/gettyimages
香港米国商会が6月1、2日に会員企業180社にアンケートを行ったところ、29%の企業が法案が公布されたら香港を撤退するつもりだといい、香港居住米国人個人としては38%が香港を撤退すると答えた。
6~7割が香港を撤退しない、という回答だから、残留派が多い、という報道もあるようだが、法案の中身もわかっていないうちから撤退を計画している企業が3割もあることの方が注目すべき点だろう。