年収400万前後の人は、働き方改革が進めば「家計崩壊」の可能性
年収が、50万近くダウンする「残業代ありき」の家計は崩壊!
6月29日に国会で働き方改革関連法案が通過して、日本の労働法制で初めて残業時間に上限規制が設けられたことが決定しました。
残業時間は原則として年間360時間に規制されます。これでブラック職場で過剰労働を強いられている人が解放され、痛ましい過労死を未然に防げる可能性が高まる。非常に喜ばしいことです。
ただ、表があれば、裏がある。光があれば、影がある。働き方改革にもメリットがある一方、デメリットがあります。
実際、働き方改革で労働時間が減るのはいいが、その分残業代が減るのは厳しい……。そう頭を抱えている人は少なくありません。残業代ありきで生活費管理や住宅ローンの設定などをしている世帯にとって、残業時間の減少は家計の一大事に直結するからです。
安倍首相は「残業が減っても、生産性が向上し、ベースアップが期待できる」と言っていますが、世間はそんなに甘くありません。残業規制によって、日本全国で多くの人々が残業時間の減少=年収の減少に直面する。
これは間違いなく、近い将来に起きる現実です。
自己紹介が遅れましたが、私はトヨタのお膝元である愛知県で、主に中小企業を相手に給与コンサルタントをしております。中小企業(従業員300人以下)の給与明細(205社、1万7000人)を集めて、日本の中小企業のリアルな給与実態を日々研究している者です。そうして長くリアルな企業の現場を見てきた立場からすると、今回の残業規制は、メリットよりもデメリットを被る人のほうが多い気がしてならないのです。