東京大学で起こった、非常勤職員の「雇い止め争議」その内幕

最大10万人に影響が及ぶ可能性も

日本の大学の雄である東京大学が、約8000人の非常勤教職員の雇用形態に多大な影響を与える新たな方針を、去る8月7日に開かれた組合との団体交渉で明確にした。このままでは、大半の非常勤教職員は2018年4月以降雇い止めされることになる可能性があるという。

大学側の一方的な決定を受け入れることはできない、と組合は反発。東京労働局への指導の申し入れを検討、さらには刑事告発に発展する可能性が出てきた。

日本で最も権威のある大学による意思表明は、他大学の方針にも影響を与えるとみられている。全国に10万人いるという非正規雇用の教職員が注目する、東京大学の「労働争議」の現状をリポートする。

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「東大ルール」

ここに、「改正労働契約法と東京大学における有期雇用教職員の取り扱いについて」と題した文書がある。東京大学が「改正労働契約法」にどう対応するのかが書かれた、内部文書だ。この文書の中に、「無期転換ルールと東大ルールの違い」という項目がある。まずはこれを見ていただきたい。

「改正労働契約法と東京大学における有期雇用教職員の取り扱いについて」より
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文書の表の左側にある「無期転換ルール」とは、一般的な改正労働契約法のことを指している。これは2013年4月1日に施行された法律で、ごく簡潔に言えば「5年以上同じ非正規労働者を同じ職場で雇う場合、本人が希望すれば無期労働契約にしなさい」とするもの。一般的には非正規職員の正規雇用、あるいは契約期限のない無期雇用を促す法律といわれている。

近年、大手企業が契約社員の無期雇用を決めるケースが相次いでいるが、これも、改正労働契約法の影響によるものだ。多くの企業が対応を迫られる中、大学とて例外ではなく、非正規職員の雇用をどうするかが、各校で議論されてきた。

そのなかで東京大学が掲げたのが、上記の表の右側にある「東大ルール」。今回問題視されているのが、このルールだ。いったい何が問題なのか。

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