子育てをしながら働く女子社員と、そのフォローを求められる同僚女子社員—。いま、両者の間にかつてなく深い溝が横たわっている。なぜ彼女たちは分かり合えないのか。生の声をお届けする。
女子が女子にマタハラ
「昔から『女の敵は女』と言いますが、企業社会ではいままさに、育休や産休をめぐって『女と女の戦い』が起きています。これまで、妊婦に対するマタニティハラスメント(マタハラ)は、主に男性が女性にするものだと思われてきましたが、意外にも女性が女性にマタハラをするケースも多いことが分かってきました。
女性従業員が産休を取る際に、同僚女性から嫌味を言われ、『妊娠や出産について何も知らない男性に言われるのは諦めがつくけど、女性の先輩に言われると……』と深く傷つくこともあります。根の深い問題です」
こう語るのは、立命館大学大学院教授でマーケティング評論家のルディー和子氏である。
自民党の宮崎謙介元衆院議員が取得を宣言しながら、不倫をして妻や生まれてくる子供を顧みなかったことで、育休=育児休業制度は悪い意味で注目度を増している。
しかしそもそも育休をめぐっては、男が取る取らない、つまり、イクメンの是非論以前に、「子供を産まない女子」と「子供を産んだ女子」による「女同士の対立」が繰り広げられているのだ。これは総合職、一般職、技術職にかかわらず、女性の活躍を推奨する各企業にとって深刻な問題になっている。
この問題が一気に世の注目を集めるきっかけとなったのが、「資生堂ショック」だ。
資生堂は長く、「女性に優しい会社」として評価されてきた。実際、ビューティーコンサルタント(BC)と呼ばれる化粧品の販売員は、通算5年の休職を認められたり、育児中は午後5時までの時短勤務を長期間認められたりと、様々な子育ての支援を受けてきた。
ところが'14年、時短勤務をしているBCに対して、今後は会社と面談をしたうえで、遅番や土日のシフトにも積極的に入るように制度を変更したのである。