
「所得倍増計画」以来の画期的な構想
安全保障関連法案の改正がようやく終わり、経済政策への関心が再び高まっている。
安倍首相は、アベノミクス第二弾として、「新三本の矢」を発表したが、その実現に向けた具体策はこれからの課題という側面が強い。現段階では、「1億総活躍社会」というキャッチフレーズばかりが独り歩きし、その本質はなかなか見えてこない。
そのため、安倍首相の保守的な政治姿勢に嫌悪感を示すマスメディアの多くが、アベノミクス第二弾についても批判的なスタンスを強めている。
だが、筆者は、今回のアベノミクス第二弾で、安倍首相は、経済政策上、画期的な構想を発表したのではないかと考えている。それは、600兆円という具体的な「名目GDP水準目標」を明示したことである。このような経済成長の目標を国民に示すのは、1960年の池田勇人内閣の「所得倍増計画」以来ではないかと思われる。
今後、実現に向けた具体策をどのように策定するかにかかっている部分も多いが、「名目GDP水準」を新たな経済政策の目標に掲げたことで、日本の経済政策は(いい意味で)新たな局面を迎える可能性がある。
しかも、この「名目GDP水準目標」は、今後の世界の経済政策の"新潮流"となる可能性があるのだ。