ガイアックスとミクシィ・リクルートメントで編集長を経験後、身の回りの不便さを解消するために旅行メディアで起業---Find Travel代表・井出一誠さんインタビュー【前編】
2014年秋のMERYとiemo買収を機に、キュレーションプラットフォーム事業に参入したDeNA(ディー・エヌ・エー)。同年12月には食のキュレーションプラットフォーム「CAFY」を立ち上げた。数年後に月間アクティブユーザー(MAU)5000万人を目指す同事業は4月6日に新構想『DeNAパレット』を発表。2つの新媒体を立ち上げるとともに、株式会社Find Travelの買収・子会社化によってキュレーションプラットフォーム事業の厚みが増した。
旅行情報に特化したキュレーションメディア「Find Travel」をリリース後、わずか半年でDeNAへの会社売却を果たしたFind Travel代表を務めるのは井出一誠さん(29)。ソーシャルメディアの企画・開発・運営などをおこなうガイアックスで「Gaiaxソーシャルメディア ラボ」、ミクシィ・リクルートメントにて「Find Job! スタートアップ」を立ち上げ、編集長を歴任した人物だ。今回、井出さんにインタビューを実施。前編では、学生時代にガイアックスに入ったことから、ミクシィ・リクルートメントへの転職、その後の独立までを振り返る。
Gaiaxソーシャルメディア ラボ立ち上げ、ライティングや編集は独学
――学生時代にガイアックスで働きはじめています。きっかけはなんだったのでしょう?
井出一誠さん(以下、井出):大学2年生の6月からガイアックスでインターンをはじめました。もともと中学~高校生くらいのときから起業したいという思いを持っていて、大学に1年間通ったものの、あまり意味がないと感じたんです。実際に働きたいと思うようになり、「インターン 起業」といったキーワードでネット検索したところ、学生の長期インターンをおこなっているNPO法人 ETIC.のサイトにたどり着いて・・・。ETICの方に相談するなかで、起業家志向の学生が多くいると言われたガイアックスでのインターンを選びました。
最初は週3ペースで出勤だったんですが、半年後くらいには週5になり、大学3年生からはほとんど大学に行かなくなりました。通っていた大学は単位を取得していなくても進級する仕組みだったので、気づいたら4年生になっていました。でも、卒業に必要な単位数の半分以下しか取得できていなくて・・・これは中退するしかないなと。
中退後はちょうどガイアックスで新卒採用があったので、インターンを経て社員となりました。当時は、現ピクスタ代表の古俣大介さんや元AppBank代表の村井智建さん、サイバーエージェント・ベンチャーズ北京オフィス代表の戴周頴さん、現LITALICO代表の長谷川敦弥さんなど、いまベンチャー界隈で活躍されている方々が多く在籍していたので、そういう方々の影響を受けながら、仕事をしていました。入社当初は営業に配属され、その後はWebマーケティングをやりながらメディアも担当するというかたちでした。
――ガイアックス時代にはソーシャルメディア・マーケティング情報を発信する「Gaiaxソーシャルメディア ラボ」を立ち上げています。
井出:Webマーケティングをおこなうなかで、お問い合わせを獲得してセールスにつなげないといけない、という状況にありました。その状況で、「〇〇だったら、ガイアックス」という、業界内でのブランディングをする必要があると感じ、メディアを立ち上げ、編集長になりました。
ブランドを確立することで「ガイアックスに相談しよう」「ガイアックスのツールを使おう」となる。そんな状況を作りたかったんです。数名の小規模なチームではじまり、最初は土日の趣味のような感じで運営していきました。
――当時はソーシャルメディア黎明期ということもあり、ヒット記事が多かったように思いますが、コンテンツづくりで意識していたことはなんでしょうか?
井出:コンサルティングもやっていたので、クライアントが困っていることや知りたいことをだいたい把握できていたことがよかったと思います。また、普通のまとめ記事だとブランディングにはつながらないので、「Gaiaxソーシャルメディア ラボは詳しい」ということを知ってもらうために「こうすれば効果が出る」「こういう課題があればこうすべき」などの切り口で徹底的に書くことを意識しました。もちろん事例のまとめなどアクセスをとれる記事を混ぜたり、バランスを取りながら運営しました。
――メディア運営にかかわるのは、ガイアックスでの仕事がはじめてだったのですか?
井出:そうですね。ライティングも編集も、独学でやっていました。いま振り返ると、当時のブログ記事はまだまだだったと感じてしまいますが、やりながらスキルを身につけていったという感じでしたね。でも、当時はオウンドメディアが少なかったこともあり、メディア運営を続けていくと効果を実感しました。もちろん「ちゃんと」運営しないと効果はないと思いますが。
たとえば、企業がプレスリリースを配信しても有名な企業でないかぎり、なかなか取り上げられませんが、メディアだと月間数万~数百万人に情報を届けることができます。こちらから営業しなくても、インバウンドで顧客側から関心をもっていただいたり、お問い合わせをいただくような状態をつくることができたのはよかったです。ガイアックスを辞めるまではGaiaxソーシャルメディア ラボが半分、Webマーケティングが半分という割合で働いていました。