デフレよりはマシだろと、開き直り始めた黒田総裁〔PHOTO〕gettyimages
アベノミクスが3年目に突入した。株高・円安が進めども、景気は上向かず、庶民の暮らしはラクにならない。安倍総理の言う「この道」はいったいどこにつながっているのか? 行き先は地獄か、天国か。激動の日本経済を全角度から読み切る!
不気味なサインが出てきた
「'90年代末と似てきた」
英エコノミスト誌のそんな指摘がいま、世界中の政策当局者の間に波紋を広げている。
強い米国が復活する一方で、日本では消費増税が断行されたショックで景気が失速。欧州は不振から脱せられないまま、新興国も勢いを失う。さらにロシアで危機が勃発し、世界を震撼させる……。
こうして列挙すれば一目瞭然。'90年代後半に世界で起きていたことがそのまま、現代の世界の姿と重なり始めたのだ。
もちろん、この不気味な一致は、グッド・サイン(良き兆候)ではない。
というのも、「強い米国」はその後、ドットコム・バブルが弾けて不況に突入。リーマン・ショックに至る破滅の道を歩んだ。日本でも「増税ショック後」、不況対策のために日本銀行が量的緩和策を打ち出して円安が進行。輸出企業は業績が回復するも、庶民にとっては実感なき景気回復が続き、格差大国への道を突き進むことになった。
「歴史は繰り返す」のならば、'15年は世界全体が危機への足取りを速める悪夢のアニバーサリー(記念すべき年)となるかもしれない。