2014.09.11

「講座:ビジネスに役立つ世界経済」
【第58回】 スコットランド独立問題がマーケットにもたらす影響

〔PHOTO〕gettyimages

独立賛成派多数となったスコットランド独立問題

筆者は8月末にある顧客から、「スコットランドの独立問題は、マーケットに何らかの影響をもたらすのでしょうか?」という質問を受けた。その時には全くノーマークだったので、「リーマンショック後のイギリス経済の回復局面の中で生じた所得格差が政治的不満に発展したもので、いわば必要悪であり、大した問題はないですよ」と回答した。

だが、筆者の考えはどうやら間違っていたようだ。住民投票が実施される9月18日が近づくにつれ、次第にマーケット(特に欧州)に暗い影を落とし始めている。そこで今回は、住民投票を前に、スコットランド独立問題の経済やマーケットに与えるインプリケーションを網羅的に考察したい。

スコットランド独立に関する住民投票自体は、2012年10月15日に、キャメロン・英首相とサモンド・スコットランド自治政府首相との間で交わされた合意書(「エジンバラ合意」)に基づくものであり、以前から予定されていたものであった。

ここにきて、マーケットの注目を浴びるようになった理由は、英民間調査会社YouGovと英高級日曜紙サンデータイムズが共同で実施した直近の世論調査でスコットランド独立を支持する意見が全体の51%、初めて反対意見(同48%)を上回り、スコットランド独立の可能性が高まったためである。

サンデータイムズによれば、エリザベス女王もこの世論調査の結果を憂慮しており、政府に関係情報を毎日報告するように要請したとのことである。キャメロン首相も独立を阻止するために、新たな自治権拡大を提案する用意があるとの報道もあるようだ。

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