2014.07.28
# 経済・財政

消費税10%への再増税めぐり、再び熱を帯びる官邸vs財務省

来年10月から消費税率を8%から10%に上げるかどうかをめぐり、首相官邸と財務省の攻防が次第に熱を帯びてきている。

首相・安倍晋三や官房長官・菅義偉ら官邸側は消費税率の再引き上げに慎重なのに対し、財務省や自民党税制調査会は何としても法律通りに実施すべく執念を燃やしている。

安倍が決断する時期は12月上旬。再増税は2016年夏の参院選、おそらく参院選と同時か、その前に行われる衆院選の勝敗に大きな影響を与えるだけに、この決断は文字通り政権の命運を賭けた決断となろう。

民主党が仕掛けた「時限爆弾」

消費税を今年4月から8%に、来年10月から10%に引き上げる法律は民主党政権下の2012年8月10日、民主、自民、公明3党の賛成多数で成立した。当時の首相・野田佳彦は成立させるために、自公両党党首に「近いうちに国民の信を問う」と約束。自公両党からこの約束の履行を迫られ、野田は同年11月に衆院を解散、同12月16日投開票の衆院選で敗れ、政権の座を明け渡した。

野田はまさに、政治生命を消費増税に賭けた。

一方、安倍は消費増税に自民党総裁選当時から慎重だった。12年9月15日、日本記者クラブ主催の候補者討論会で次のように語っている。

「税率を増やすのは、あくまで税収を増やすためだ。5%から10%に上げるのはもちろん賛成だが、時期を間違えると、結果として経済の腰を折ってしまう。(5%に引き上げた)1997年のことを反省しなければいけない。デフレがずっと今と同じように続いているならば上げるべきでない」

消費増税は税収を増やすためであり、デフレ脱却が前提となる考え方は安倍の持論と言える。今年6月24日夜、テレビ東京のインタビューでも次のように語った。

「法律で決まっているが、しかし、デフレ脱却をできるかもしれないという、やっとつかんだチャンスだ。このチャンスを逃してしまって、マイナス成長になったら、元も子もない。そうなってしまったら財政再建もできない。生活も厳しくなる。大切なことはやっとつかんだ、このチャンスを逃してしまうかもしれないのであれば、引き上げることはできません」

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