石原新党は右傾化強める日本を象徴する「極右政党」の先駆けか?

田崎 史郎

日本維新の会が分党することが先月末、決まった。これに伴い、共同代表・橋下徹(大阪市長)が継承する新「日本維新の会」と、共同代表・石原慎太郎(元東京都知事)が率いる「石原新党」が誕生する。橋下維新は結いの党と今夏にも合流し、野党再編が進むことになろう。

この野党再編に目を奪われがちだが、日本政治のトレンドを見る上で、石原新党の動向がより重要だ。1955年の保守合同により自民党が生まれて以来初めて、自民党よりも右に位置する政党が誕生することになり、欧州で広がる「極右」政党のようになる可能性があるからだ。

石原の背中押した「血判状組」の8人

日本維新の会には衆院53人、参院9人の計62人が所属している。同党議員は5日までにどちらの新党に参加するか、党執行部に申請することになっているが、維新には約40人、石原新党には20人前後が参加する見通しだ。石原新党には2月の東京都知事選で「将軍」と呼ばれ、注目を集めた元航空幕僚長・田母神俊雄が参加する。

石原が5月28日、名古屋で橋下に会い「分党」を提案した時、石原の背中を押したのが衆院当選1回の若手8人だった。彼らは①自主憲法制定という旗を降ろさない②結いの党との合流はしない──という文書に署名し、名古屋に出向く前の石原に手渡した。実際に血判を押したわけではないが、それぐらいの決意を示したという意味で「血判状組」と呼ばれている。そのメンバーは次の通りだ。

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今村洋史(比例東京)、桜内文城(比例四国)、田沼隆志(比例南関東)、中丸啓(比例中国)、西田譲(比例南関東)、西野弘一(大阪13区)、松田学(比例南関東)、三宅博(比例近畿)

名前が知られている人は少ないが、いずれも右寄りで、新党ブームに乗って当選してきた比例代表選出議員がほとんどだ。

一方、日本維新の会とみんなの党の国会議員有志でつくる勉強会「自主憲法研究会」の設立総会が同30日に開かれ、顧問に石原と、みんなの党代表・浅尾慶一郎が就任した。石原は8億円借り入れ問題で失脚した前代表・渡辺喜美とも連絡を取り合っており、将来、合流する可能性がある。これに反発するみんなの党の一部は、維新と結いの党が合流する新党に参加する見通しだ。

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