2014.04.15
【第9回】第四章 エネルギー政策の未来---「脱原発」を主張するお花畑な日本人へ(前編)
~経常収支は黒字、世界最大の対外純資産国日本の貿易赤字を減少させる政策とは~
【第8回】はこちらをご覧ください。
経常収支とは何なのか?
本連載のタイトルは「第二次所得倍増計画」であるが、所得創出のプロセスは、
「国民が働き、モノやサービスという付加価値(生産面GDP)を生産し、誰かが消費、投資として支出・購入し(支出面GDP)、所得が創出される(分配面GDP)」
となっている。
上記「支出」において、国民の労働で生産されたモノやサービスを購入するのは、別に外国人でも構わない。例えば、日本国民が国内で働き、自動車を生産し、それをアメリカが輸入した場合も、日本のGDPは増える。すなわち、日本国民の所得が創出されるのだ。
逆に、日本が製品やサービスを外国から輸入した場合、それは「外国の付加価値」ということで生産国の所得となり、日本国民の所得にはならない。すなわち、日本にとって(どの国にとっても同じだが)、
「輸出はGDPの加算項目、輸入はGDPからの控除項目」
になるのである。
輸出入するのは、製品に限らず、サービスでも構わない。サービスとは、たとえば「観光」「医療」「教育」「金融」「保険」「建設」「知的財産」などになる。
アメリカ人が日本に観光旅行に来た場合、
「日本がアメリカに観光サービスを輸出した」
ものとして統計される。逆に、日本人がアメリカで医療サービスを受けた場合、
「アメリカが日本に医療サービスを輸出した」
ことになるわけだ。製品の輸出入同様に、サービスも「売った方が輸出」「買った方が輸入」として計上されるのである。
外国との所得や資産のやり取りを「国際収支」と呼ぶが、中でも国同士の経常的な所得移動の統計を「経常収支」と呼ぶ。製品の輸出入は「貿易収支」として、サービスは「サービス収支」として経常収支に計上される。