「ベビーカーで電車に乗るな」という傲慢さ!それなら他人が産んだ子に将来の年金や社会福祉の負担を押しつけるな

 「エッ、出産に80万円!?」

 日本に住む従妹と話していて、椅子から落ちそうになるほど驚いた。娘がおめでたで、出産に80万円を用意しなければいけないのだそうだ。手続きをすると、あとでいくらか還元されるというが、たとえ7割戻ってきたとしてもまだ高い。そうでなくても、出産となると、産院に払うお金以外にも出費はかさむのだ。

 「なぜ、子供を産むのに、お金を払わなければいけないのよ」と私は言った。ドイツでは、出産前も出産後も検診は無料。18歳までの子供の医療もすべて無料だ。そう言うと、今度は従妹がびっくりした。「妊娠中の検診も、1度で1万円ぐらいかかる。あまり高いから、2度目の人は、2回に1回ぐらいにしちゃおうかって言っているって話よ」と、彼女は言った。

 さらに聞いてみると、生まれたあとの予防接種も自己負担だそうだ。それもまた、1本1万円ぐらいするという。保健所などで安価で済ませる方法はあるにはあるが、行列がすごいらしい。新生児や幼児を連れての行列はつらい。だから、よく祖母などが代わりに順番待ちをしているという。お金がなく、手伝ってくれる人もいない母親はどうすればいいのだ。

 こんなことをしていては、出生率が上がるわけない。日本の政府は本気で少子化対策に取り組んでいるのだろうか。

ドイツでは18歳まで医療費は無料

 日本の子育ては、医療費の他にも出費が多い。親が職場に復帰したくても公立の託児所は完備していないし、教育費も無料ではない。国立の大学でさえ授業料が高い。

 ドイツでは、子育て中は税金や社会保障費などが大幅に控除されるほか、子供手当が第1子と第2子にそれぞれ184ユーロ(2万円弱)出る。第三子からは手当はもっと増え、さらに来年から、そこに子育て金として一人に付き100から150ユーロが上乗せされる予定だ。子供手当は原則18歳までだが、それを過ぎてもまだ学生であれば、25歳まで延長して支給される。しかも、医療費は18歳まですべて無料。教育費もほとんどかからない上、貧乏な学生にはさまざまな奨学金の制度が整っている。

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