2012.05.08
# 雑誌

どんな不況の中でもやり方しだいで、勝ち続けられる「うまくいってる」会社の社長たち12人がそのヒントを次々に話す(上)

GW特大号スペシャル 連続トップインタビュー

 元気のいい会社の社長は目が輝いている。経営の極意を隠そうともせず、明け透けに話してくれる。聞いてるだけで不況がウソのように感じる。こんな会社が増えれば、日本経済はきっと復活できる。

どんな時代でも利益を出す

アイリスオーヤマ
大山健太郎

競合を意識しないこと

おおやま けんたろう/'45年生まれ。大阪府立布施高校卒業後、'64年に父の後を継ぎ大山ブロー工業所(現アイリスオーヤマ)代表に就任。アイリスオーヤマは生活用品大手。売上高1000億円(2011年12月期)、従業員数2510名(2012年1月現在)。売り上げの約6割を新商品が占める市場創造型企業

 六重苦、七重苦とも言われる経済環境の下で、名だたる日本企業が青息吐息になっている。一方でそんな崖っぷちの状況の中でも、業績を伸ばしている絶好調企業がある。

 なぜ彼らは勝ち続けられるのか。その秘密を社長たちに聞いて回った。

「日本のメーカーって、電機メーカーは電機製品、自動車メーカーは自動車というふうに儲かる得意分野ばかりを作っていますよね。だから売れなくなると一気に経営が傾く。かつてはウチも人気商品に集中投資をしたものの不況が来て一気に在庫が溜まって、倒産しかかったことがある。オイル・ショックの時でしたが、これを機に発想を変えたんです。不況を前提にしたビジネスをやろう、と。

 そのためにやっているのはまず年間1000点以上の新商品を出し続けること。すべてがヒットすることはないけれど、これだけ商品があればどんなときでも何かが稼いでくれる。しかも不況時は小売店さんが起爆剤となる新商品を欲しがるから、ウチが重宝されて、不況のときほど成長する企業体質になれた。

 さらに企業にとって最悪なのは不況時に商品の価格が下がってしまうことでしょう。それを防ぐためにはどうすればいいかと考えた結果、ニッチ(隙間市場)でもいいから、オンリーワンの商品を作るというところに行き着いた。おかげさまで今期もいくつかのヒット商品が出て、売上高、営業利益ともに過去最高を更新できました。製造業の多くが円高や欧州危機などの予期せぬ事態が起きたから業績が伸びないと言っていますが、私には負け犬の遠吠えにしか聞こえません」

 日本列島が電力不足に悩まされた昨年来、従来の白熱灯などにくらべて消費電力が少なくて済むLED(発光ダイオード)電球に消費者が殺到し、家電量販店はいま大手電機各社がしのぎを削る・LED特需・に沸いている。ただ、このシェアトップを握るのは東芝でもパナソニックでも日立でもシャープでもない。宮城県仙台市に本社を置くアイリスオーヤマだ。

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