『シン・ゴジラ』『ゴジラ-1.0』監督らが明かす…70年前に誕生した「ゴジラのメインテーマ」が代替不可能である理由
1954年に第1作『ゴジラ』が公開されて以来、日本のみならず世界中から支持されて特撮映画作品の象徴となっているゴジラ。この度、ゴジラ生誕70年、ゴジラの数々の映画音楽を担当した伊福部昭生誕110年記念企画として、2014年にアナログ盤で発売された『ゴジラ』と『キングコング対ゴジラ』のオリジナル・サウンドトラックがキングレコードから初CD化される。
発売を記念して、独自の世界観で数々の現代音楽、映画音楽を残し、人々へ多大なる影響を与えた音楽家・伊福部昭が生み出した音楽との出会いやその魅力について、伊福部昭の音楽を敬愛する11名の方々から寄稿文を寄せていただいた。
※この記事は2024年12月5日にキングレコード発の音楽メディア「SOUND FUJI」に掲載された記事を再編集したものです。
井上誠
40年前に『ゴジラ伝説II』を発表した時、某音楽評論家が「驚いたよ、だってこれロックでしょ?ボク、キングにはロックを扱うセクションが無いと思ってた」と言いました。私は「いや、これはロックとかサントラとかクラシックとかのカテゴリーに収まらない、地球上に唯一無二のTHE IFUKUBEを探求する愚直な試みです」と答えましたが、実際にキングは伊福部昭さんの作品であれば純音楽も映画音楽も分け隔てなく次々とリリースし、そのおかげで双方の研究者やファンの交流が生まれ、世界的な伊福部ルネサンスの時代が訪れました。キングの功績は計り知れません。これからも至宝の発掘と音盤化に邁進してください。楽しみにしています!
上野耕路
【伊福部昭への細やかなコンテキスト的眼差し】
伊福部昭は今日性とともにあった。前衛から無視されたことをその反論とされそうだが、彼はブーレーズの「主なき槌」のスコアを研究し音楽が観念だけで出来ていたというショックについて語った。そしてクセナキス、ケージ、またセットセオリーについても知っていた。
アーティストには創作動機を奮発させるものが必要だ。それが賛同か反発かはさておき。彼は前衛に反発した。とはいえ彼は戦前においては彼より少し先輩の西欧のアーティストたちに創作動機を奮発させられる。それは彼のそのときの今日性であった。
そんな彼は怪獣映画でしかセリーを採用しなかった。E-G#-D-Eb-A-Bb-Db-C-B-B-Bb-A-F-F#-G-Abという有名なフレーズ。(そこでぼくはE-G#-D-Eb-A-Bb-B-C-F#-G-C#-Fというヴェーベルン的なセリーを作り、さる怪獣映画で使用した。)
現在作曲、絵画制作を続けながら日本大学芸術学部映画学科非常勤講師、映画音楽、舞台音楽、TVCM音楽などに携わる。
映画:『のぼうの城』『ヘルタースケルター』,etc.
TVCM:『QPあえるパスタソースたらこ』『綾鷹』,etc.