Netflixドラマで話題に火が点き、もはや国民的関心事となっている「地面師」。あの人気番組「金スマ(金曜日のスマイルたちへ)」や「アンビリ(奇跡体験!アンビリバボー)」でも地面師特集が放映され、講談社文庫『地面師』の著者である森功氏がゲスト出演した。同書はすべて事実を書いたノンフィクションであり、ネトフリドラマの主要な参考文献となっている。
不動産のプロですらコロッと騙されるのだから、私たち一般人が地面師に目をつけられたらひとたまりもない。そのリスクを回避するためには、フィクションであるドラマよりも、地面師の実際の手口が詳細に書かれた森氏のノンフィクションを読むほうが参考になるだろう。
地面師たちはどうやって不動産を騙し取るのか。森功著『地面師』より、抜粋してお届けしよう。
『地面師』連載第71回
『見た目も性格もバラバラな者たちが「詐欺」のために団結する…「なりすまし事件」を起こし続ける「地面師集団」とは』より続く
本物の地主と親族を引き入れる
現代の地面師集団は、まるで江戸時代の盗賊のオツトメのように機略縦横、変幻自在に策を巡らす。地面師集団の後ろには、常に内田クラスの大物詐欺師が控え、犯行を指揮しているケースが少なくない。
ときに彼らは本物の地主に協力を仰ぎ、ときに地主の親族を一味に引き入れて犯行を企てる。地主の親族といっしょに動けば、被害者と加害者の境があいまいになるからだという。逗子の場合は、正真正銘の地主の息子だ。自らタッチしたというその地面師事件について、当の本人が次のように告白した。

「自分はこれまでいろいろやってきましたけど、あの当時は競馬の予想会社がずいぶん流行っていましてね。友人がやっていて、月曜日になると、外れた、当たった、で客とのあいだでトラブルになることがしょっちゅうでした。当たり馬券の予想料金をめぐる訴訟も多く、いつしか自分がそのトラブルの相談に乗るようになった。弁護士を仲裁に立てて和解するのですが、実際は弁護士の名前を借りるだけでした。それでこの際、弁護士事務所を経営すれば儲かるのではないか、と思いついたのです」