類稀なる高音質で、話題になったネットオーディオ。しかし、割高な価格とダウンロードのわずらわしさから一部のマニアにしか支持されませんでしたが、高音質定額制配信サービスの出現で、大きく変わろうとしています。
ベテランと言われるオーディオ愛好家の中にも、CDやレコードなどの「パッケージメディア(パッケージ音源)」によるオーディオなら知識も経験もあるが、ネットワークが重要になった最近のオーディオに関しては、専門用語の意味もわかりにくいと感じている人もいるかと思います。
はじめてネットオーディオに挑戦するオーディオファンや音楽ファンを対象に、機材の選び方、高音質ストリーミングのセッティング、煩わしいネットの設定などなど、聴き放題の“1億曲ライブラリー”を手にするノウハウをご紹介しましょう。
今回は、「圧倒的な音質」と「使い勝手がめちゃくちゃいい」驚きの実力を兼ね備えた音楽ソフトをご紹介します。「PCでオーディオ」というスタイルは、じつはなかなかの優れものでした。
※この記事は、『ネットオーディオのすすめ 高音質定額制配信を楽しもう』の内容を再構成・再編集してお届けします。
「パソコンで音楽を聞く」意外なメリットがあった
ネットオーディオの魅力についてご紹介した今回の一連の記事では、ネットワークプレーヤーを中心としたオーディオ機器で、ファイル再生やストリーミングを楽しむ方法を中心に説明してきました。その中で、パソコン(タブレット)は音楽データを再生する用途ではなく、パソコン専用アプリで操作するなどの、あくまでもオペレーションの用途に限って紹介しました。
サービスの登録か、『Qobuz』のように選曲をパソコンの専用アプリで行う場合に限って使っていますが、あくまで脇役。最近のネットオーディオでは、あえてパソコンを使わない人が増えているので、できるだけパソコンを使わずに準備と設定 ができる方法を取り上げ、拙著『ネットオーディオのすすめ』でもそのように工夫して執筆しました。
音楽再生にパソコンを使う人が減った最大の理由は使い勝手に課題があることですが、その一方でパソコンでなければ実現できない鑑賞体験や優れた音質を狙える例もあり、パソコンの操作に慣れているオーディオファンを中心にパソコンを主役として使いこなす再生方法は今も健在です。
総合音楽再生ソフト「Roon(ルーン)」がその代表的なものです。今回は、この「Roon」を例に、音楽再生ソフトを導入するメリットや具体的な使い方を紹介しましょう。
音楽再生ソフトの仕組み(「Roon」を例に)
「Roon」はコンピューター本体と複数のソフトウェア、そして操作端末と再生機器で構成されるシステム(プラットフォーム)です。
とはいえ、既存のネットオーディオのユーザーでパソコンを持っていれば、多くの場合「Roon」のソフトウェアをパソコンにインストールするだけで導入可能です。
コンピューターは手持ちのパソコン(Windows、Mac OS、Linuxなど)が使えますし、再生機器も「Roon」に対応した多くのネットワークプレーヤーやUSB-DACが利用できるため、それらの機器が手元にある場合は、「Roon」のソフトウェアをパソコンにインストールするだけで使い始めることができます。