「ブルーバックスの一時代が終わった…」延べ200冊以上に唯一無二のイラストを描いてくださった永美ハルオさんを悼んで

1963年に創刊されて以来、「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、これまで2000冊以上のラインナップを世に送り出してきたブルーバックス。

創刊直後の1966年から今年8月に刊行した作品まで、延べ200冊以上のブルーバックスに挿し絵を描いてくださったイラストレーターの永美ハルオさんがご逝去されました。

60年近くにわたってお力添えをいただいた永美さんは、ブルーバックスの紙面を楽しく彩ってくださっただけでなく、科学ファン、ブルーバックスファンの裾野を広げ、大きく育ててくださった大恩人です。

心からの敬意と哀悼の意を込めて、ここに追悼の一文を捧げさせていただきます。

ブルーバックス編集部

©講談社
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初登場は1966年

去る9月30日、イラストレーターの永美ハルオさんがご逝去されました。享年90。

永美さんとブルーバックスのご縁は深く、初めてご寄稿いただいたのは1966年、通巻77冊目の『創造的経営法』(城功著)でした。以来、延べ200冊以上のブルーバックスにイラストを描いてくださいましたので、およそ1割近い既刊に永美さんの作品が掲載されていることになります。

なかでも人気を博したのが物理学者・都筑卓司さんとの名コンビで、『マックスウェルの悪魔』や『四次元の世界』をはじめ、数えきれないほどのベストセラーを世に送り出してくださいました。お二人の作品を通して、ブルーバックスファンになったという方も数多くいらっしゃることと思います。

「必ず永美さんのイラストを」

そんなお一人が、東京理科大学教授の武村政春さんです。

初めてブルーバックスにお書きくださった『DNA複製の謎に迫る』の刊行時、大ファンでいらした永美さんのイラストをぜひ掲載してほしいと熱望され、以降のご著作にも必ず永美さんのイラストをと、リクエストしてこられました。

そしてはからずも、永美ハルオさんの最後のお仕事は、8月に刊行した武村さんの最新刊『DNAとはなんだろう』へのご寄稿となりました。

【写真】最後のお仕事は、8月刊行の『DNAとはなんだろう』だった最後のお仕事は、8月刊行の『DNAとはなんだろう』だった

じつは、同書へのイラストをお願いした直後に体調を崩され、緊急入院されるという事態がありました。「ブルーバックスのためなら」と気力を振り絞って、4点のイラストを描き下ろしてくださった次第です。

ご退院なさった際には「とてもユニークで面白い本に参加させていただき、ありがとうございました」とおっしゃってくださったのですが、その何倍も感謝しなくてはならないのは私たち編集部です。ありがとうございました。

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