「万博・IR」という爆弾
統一地方選で地方議員の数を1・7倍に増やし、次の衆院選で立憲民主党を追い上げて野党第一党の座を伺う勢いだった日本維新の会に陰りが見える。
後輩の大阪市議にセクハラを繰り返していた府議、市議2人を公設秘書にしていた代議士がいて、所属議員に相次いだ政治資金収支報告書の不記載や修正は藤田文武幹事長に及んだ。馬場伸幸代表にも社会福祉法人の乗っ取り疑惑が報じられている。
党に無断でロシアを訪問した鈴木宗男参院議員は、除名の前に離党し、馬場代表の顔色を失わせた。人気が高いとはいえ共同代表の吉村洋文氏は大阪府知事で自治体首長。党務を担う馬場代表、藤田幹事長の軽量感は否めない。

加えて維新は、「万博・IR」という爆弾を抱える。既に、建設費増額、工事遅延が確実となり、報じられる度に維新人気は下がる。
10月20日、万博主催者の日本国際博覧会協会(万博協会)は、会場建設費が最大2350億円になることを3者で建設費を分け合う国、大阪府・市、経済界に伝えた。2度の増額で1・9倍。加えて工事遅延は深刻で、「万博の華」といわれる海外パビリオンの数は、建設予定の約60ヵ国から急減するのは避けられない。
事態を憂慮した岸田文雄首相は関係閣僚に「政府主導で作業を加速するように」と指示した。この情報に維新幹部はいっせいに反応。吉村府知事は「政府主催やから当たり前」と語り、馬場代表は「国のイベント。大阪の責任じゃない」と言い放った。維新は、大阪府・市の遅れを政府が尻拭いする印象となるのを恐れた。
維新は、地域政党「大阪維新の会」として10年4月、当時の橋下徹大阪市長を代表に結成された。以降、「身を切る改革」で首長や議員の給与を削減する一方、高校授業料の無償化、子供の医療費補助、給食費無料化などに取り組んで人気を集めてきた。幹事長は今年4月、政界を引退した松井一郎氏だった。