一番罪深いのは…
故・ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、大手企業によるジャニーズ所属タレントの広告起用見送りが続いている問題。
前編記事『「日本のメディアは問題に蓋をして、事が起こってから白々しく報じる体質だと理解しておくべき」...ジャニーズ問題に20年以上前から「NO」を示してきた企業経営者の見識』でも紹介したように、ネスレ日本元社長の高岡浩三氏が自身のSNSで「今更、ジャニーズ事務所のタレントと契約しないという大手クライアントこそ、この手の問題を知っていたはずだし、知らなかったとしたら恥ずべきことだ」と指摘したことが話題になっている。
踏み込んだ発言に込められた思いとは何か。高岡氏に話を聞いた。

―踏み込んだ発言でした。こうした内容を投稿した思いについて伺いたい。
外資系の場合、広告は工場建設といった大型投資と同じぐらい重要視されていて、社長案件なんです。それゆえタレントさんの起用も自分で判断していました。
ジャニー氏の性癖については、単なる噂とはいえ昔から耳にしていました。グローバルの常識では、噂の段階でもNGです。
少し話は逸れますが、東京五輪の際、スポンサー依頼がありましたが、お断りしました。理由は高橋(治之)さん(元電通専務で東京五輪組織員会理事を務めていたが、受託収賄で逮捕された)の存在です。いろいろ噂が耳に入っており、リスク管理の面からそうした判断をしました。
今回の件について「(ジャニー氏の)性加害が本当かどうかわからなかったので起用していました」と弁明している企業もありますが、言い訳にならないと思います。
騒動を受け、急に「起用をやめます」「契約を切ります」などと言っていますが、「その前に反省しましょうよ」というのが、今回投稿したきっかけであり、私が一番伝えたかったメッセージです。
クライアント企業だけではありません。メディアの方とか広告代理店も同じです。故人を責める、あるいはジャニーズ事務所を責める。これも必要かもしれません。しかし、ジャニー氏の性癖を知りながら、あまりの人気に忖度して知らないふりをして蓋をしてきたことのほうが罪深いと考えています。
本来、業界全体が反省をしなければいけないと思います。ところが、現実にはジャニーズ事務所だけが悪者になっています。この現状に対して、私は非常に違和感があります。