2023.07.20
アインシュタインも認めた「別格」の科学法則「エントロピー増大の法則」を正しく説明できますか?
コップから水がこぼれたら元には戻らない。部屋は放っておくと必ず散らかる。サンマをコンロで焼くと、臭いは必ず部屋中に広がる……。これらの「当たり前」のことは、じつは同じ科学法則で説明することができる。
そしてその科学法則は森羅万象、あらゆることにおよび、私たちの生活・社会・生き方にじつは大きな影響を与えている。つまり、この法則に反するようなことは、やっても必ず失敗するのである。
その科学法則ーー「エントロピー増大の法則」について知るための格好の教科書『教養としてのエントロピーの法則ー私たちの生き方、社会そして宇宙を支配する「別格の法則」』より、一部を紹介する。
第一回目は「エントロピーの法則」はどんなものなのか、について。
本記事は後編記事です。前編記事『あなたは「ジュースは床にこぼれたら元に戻らない」ことを科学法則で説明できますか?』も合わせてご覧ください。
ほとんどすべての学者が正しいと認識している唯一の物理法則
それでは、熱力学第2法則とはどの程度信頼できるものなのでしょうか? 数学と異なり、科学法則の正しさは論理だけではなく、現実の現象とも符合しなければなりません。
有名かつ重要な物理学の理論である相対性理論にしても量子論にしても、それらがまだ理論の完成形には至っていないと多くの科学者は考えています。
もちろんこれらの理論が間違いと言う訳ではなく、それらをさらに包含し、より広域をカバーする理論の可能性があるということです。宇宙の話によく出てくるビッグ・バンは、確実性という意味からは、まだ仮説の領域にあるといえます。
しかし、熱力学第2法則は、ほとんどすべての物理学者が正しいと認識している唯一ともいえる科学法則です。