「ドイツがアメリカから買っている天然ガスの値段はロシアの4倍」「日本はこのままではウクライナと同じ立場に」…戦争が終わらない「納得の理由」と私たちが見つめるべき現実

数十年後に2023年を振り返ったとき、今回の「戦争」は歴史家からどのように評価されるだろうか。そしてこれから21世紀の世界史はどうなっていくのか。ロシアの ”プロ” 佐藤優氏が解説する―。

3つめの記事『日本のウクライナへの援助は「高速道路1kmの建設費」にも満たない額だった…戦争が終わらない「意外な理由」《佐藤優がひも解くウクライナ戦争の真相》』より続く。

ビジネスとしての戦争か

2024年の大統領選挙で、トランプかデサンティスが当選すれば、停戦交渉が一気に前に進むかもしれません。

停戦を前に進めるもう一つの可能性はヨーロッパです。対露経済制裁によって、ドイツはロシアから天然ガスを輸入できなくなりました。代わりに以前の4倍もの値段で、アメリカからガスを買わされています。

2022年9月には、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」が破壊されています。破壊工作に関与したのがウクライナの親米派勢力とアメリカなのか。はたまたロシアなのか。いずれにせよ、ドイツは今後パイプラインを通じてロシアからガスを送ってもらうことができなくなってしまいました。

ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国がエネルギー高で参ってしまい、あちこちで政権交代が起きて内政が大混乱に陥る。こういうドミノ倒しのような事態が起きれば、2024年秋ごろまでに戦闘が全部治まっているかもしれません。

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対露経済制裁が続く限り、アメリカは法外な値段の天然ガスをヨーロッパ諸国に買わせ続けることができる。そしてウクライナに兵器をどんどん供与すれば、アメリカの軍産複合体は潤う。

アメリカの参戦はありえませんから、アメリカ人の血は一人も流れない。戦費の未払い伝票は、ヨーロッパ諸国と日本に回ってくるのでしょう。アメリカはビジネスとしての戦争を、エゲツないまでに継続しているのです。

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