2月16日、韓国の進歩(革新)系の最大野党「共に民主党」の李在明代表について、特別経済犯罪加重処罰法や利益相反防止法などに違反した疑いで、ソウル中央検察庁が逮捕状を請求した。野党第1党の党首への逮捕状請求は韓国憲政史上初めてとなる。
李氏は韓国の国会議員を務めているが、韓国では、現行犯を除き、国会の開会中に議員を逮捕・拘禁するためには国会の同意が必要になる。共に民主党は定数300の国会で169議席を占めており、李在明氏の逮捕同意案が可決される可能性は低いとみられる。
この韓国内部の対立の詳しい経緯について報じた前編『韓国史上初の「現職野党第1党党首への逮捕状請求」…今あの国の対立が「ヤバすぎる絶頂」を迎えているワケ』より続く。
尹政権が進める「進歩殺し3大作戦」
これに続いて、尹錫悦政権は、どのような「進歩殺し」を考えているのだろうか。
その第1が「頂上作戦」。進歩トップに位置する李在明氏の逮捕だ。尹政権の政治ブレーンたちは昨年5月の政権発足前後、「李在明だけは許さない」という合言葉で一致していた。側近の1人は「これまでのように退任した大統領を追及する考えはない。文在寅は終わった人物だ。それよりも、李在明をつぶす」と息巻いていた。
確かに、「共に民主党」内部では、李氏の逮捕状請求に反発する声が上がっているものの、一枚岩というわけではない。関係筋の1人は「文在寅支持派からは、疑惑をかけられている以上、李在明は代表職を返上し、白衣従軍(一兵卒として働くこと)すべきだ、という声が上がり始めている」と語る。
来年春には総選挙がある。李在明氏が逮捕され、共に民主党で主導権争いが起きれば、今年後半に予定される総選挙の後任候補選びが紛糾するだろう。調整に失敗し、総選挙で敗北することになれば、進歩勢力は2027年の大統領選で結束することが難しくなる。