「不適性検査スカウター」を採用に活用する企業への違和感

先日の記事では触れなかったけれど、転職活動中に受験した「不適性検査スカウター」という適性検査に強い違和感があったので書いておきたい。

異様な「適性検査」

ある企業の最終面接前に「適性検査」を受けてくださいということで、受けてみたところ、ギョッとするような質問が多数出題されて驚いた。「検査SS」、「検査SB」という奇妙な用語が画面に表示されていたのでググってみたところ、「不適性検査スカウター」という製品であることが分かった。

障害者排除的な質問を多数出題する「不適性検査スカウター」

YouTubeの宣伝動画を観るだけで、何とも言えない嫌な感じがするだろう。

実際に検査Sを受けた人によると「SPIに比べると質問内容が露骨」「虚偽回答に対して結構厳しい」「忘れた頃に似た質問が何度も出てくる」「能力検査についてはSPIに精通していればほぼ問題ない」といった体験談が出ています。要するに、露骨かつ厳格にストレス耐性や抑うつ傾向や注意力などをチェックしている訳です。

発達障害の診断でないのは製作会社が明言している通りなのですが「発達障害によくある事」や「ストレス耐性の弱さ」については露骨な質問で積極的に推理しようとしてきます。不適性検査が発達障害や精神疾患を落とすテストと言われるのは、この辺りが原因となりそうです。

一方、検査Sにおいて「資質検査」を受けたというBさんは「発達障害や精神疾患を排除する明確な目的がある」と断じています。印象に残った質問として「じんましん」「胃腸の調子」「破壊衝動」「独り言」を挙げており、その露骨さに驚いたそうです。

「不適性検査スカウター」をネットで検索すると、強い違和感を表明する記事が多数ヒットする。上の引用部分については私もまったく同じ印象を受けた。明らかに異様で、露骨に排除的な質問を多数出題してくるのだ。

このような製品を利用する企業に入社することは社会悪に貢献することにならないか

「不適性検査スカウター」を利用していた企業は、その他の点では印象が良く、第一志望群で検討していた。「不適性検査スカウター」を理由に選考辞退を切り出すわけにも行かず、結局最終面接を受けて、内定が出た3社のうちの1社になった。

この企業のオファー面談が最後の日程で、その他の2社の条件が出ている状態で、私はこの企業の提示条件が「悪くあって欲しい」という倒錯した願望を抱いていた。もしこの企業の条件が一番良かったとしたら、年収と社会正義のどちらを取るか選ばなければならない。幸い、この企業の提示条件は3社中2番目に高い条件で、スッキリと一番条件の良い企業に入社を決めることができた。この企業の条件が一番良かったとしたら私はどうしただろうか。「人事の一部の人間の権限で決まったのだろう」などと自分に言い訳して、この企業を選ぶことがなかったと言い切る自信はない。

また、最後のオファー面談時に、または転職エージェント経由で「不適性検査スカウター」についての悪印象のフィードバックを伝えることも考えたけれど、「こういうこと」を伝えてまともに通じそうな機会を見いだせず、言い出すことができなかった。

社会悪に直面した際の自らの不甲斐なさを痛感しつつ、ここに改めて抗議の意を表明したい。