【全文公開】『ジャパネットたかた』創業者 髙田明が語る…剛腕経営者の″原点″と″軌跡″ | FRIDAYデジタル

【全文公開】『ジャパネットたかた』創業者 髙田明が語る…剛腕経営者の″原点″と″軌跡″

社長退任から今年で10 年、11 月に喜寿を迎えた——「永遠に変わらない信念も必要です」

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長崎県出身。国内屈指の通信販売会社『ジャパネットたかた』創業者。’15年に息子・旭人氏へ社長の座を譲り、経営から完全に引退。現在は自身が代表取締役を務める個人事務所で、講演活動などを中心に行っている
長崎県出身。国内屈指の通信販売会社『ジャパネットたかた』創業者。’15年に息子・旭人氏へ社長の座を譲り、経営から完全に引退。現在は自身が代表取締役を務める個人事務所で、講演活動などを中心に行っている

髙田氏の原点

「ここで、小さなカメラ店を経営していてね。開店前の早朝にお客様がいらして私たちが対応していると、起きた息子(現社長)が親を探し回って、2階のこの階段から2回も転がり落ちたんですよ」

目の前に置かれたかつての自宅兼店舗の精巧な模型(1枚目写真)。その小さな階段を指さして楽しそうに語るのは、誰もが知るテレビ通販の顔で、『ジャパネットたかた』創業者・髙田明氏(77)である。

今年で社長退任からちょうど10年が経った。髙田氏は’86年に父親が経営するカメラ店から分離独立して『株式会社たかた』を設立。地元のラジオでコンパクトカメラを販売したことをきっかけに全国へネットワークを広げ、’94年にテレビショッピングへ進出した。その後、紙媒体やインターネット等のメディア戦略を随時展開。’99年に現在の『ジャパネットたかた』へ社名を変更し、通販事業の礎(いしずえ)を築いた。Amazonをはじめとする巨大EC企業が台頭するなか、ジャパネットはなぜ今もテレビショッピングにこだわり、成長を続けられているのか。

「会社は『不易流行』でなければならないと思います。時流に敏感である必要はありますが、永遠に変わらない企業信念も必要です」

「不易流行」という言葉は、変わらない本質(不易)と、変わり続ける時勢(流行)の両方を捉えるべきとし、髙田氏はこの考え方を経営哲学の根幹に据えている。その信念の原点は、40歳まで観光ホテルの宴会場で記念写真を売り続けた、16年間の経験の中にある。

「40歳まではずっとホテルの宴会場を回り、撮影した写真を宿泊中のお客様に販売していました。夜の宴会後は急いで店へ戻って、夜通し現像に追われ、翌朝の朝食会場に並べて買っていただいて。睡眠時間が2〜3時間の日も少なくなかったですが、売れ残れば全部こちらの損ですから。この時の経験は私の原点で、今のジャパネットに活(い)かされていることがたくさんあります」

どうすれば写真は売れるのか。販売を積み重ね、髙田氏はとある本質に気づく。

「お客様は厳しいですよ(笑)。お客様にとって良い顔で写っていなければ、その写真に500円の価値はないんです。だから、『奥様ですよね』ってその方が写った写真をお見せしても、『私じゃない』って言われるし、彼女のお友達が『あなたよ』と言っても、『私はこんな顔してない』と不機嫌になられることもありました。そこで私は、撮る時に『こっち向いてください!』と、明るく元気な声をかけ続けることにしました。5人いれば5人全員がこっちを向く。そうすれば5枚プリントして、すべて買っていただける。500円の中にお客様が支払った価値を我々が本当に提供できているかどうか。それが一番大事なんだ、と骨身に沁みました」

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