『遊星よりの物体X』ハワード・ホークス製作だが……

遊星よりの物体X(1951)
The Thing from Another World

監督:クリスティアン・ナイビイ
出演:ケネス・トビー、マーガレット・シェリダン、ロバート・コーンスウェイトetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

プライムビデオのクラシックホラーが最近充実している。『遊星よりの物体X』が入ったことなので観た。本作はジョン・カーペンターのリメイクが有名すぎて存在感が薄い作品であるが、ハワード・ホークスが製作しているので注目した方が良い一本である。とはいえ、実際に観てみるとなんともいえない気持ちになった。

『遊星よりの物体X』あらすじ

北極に程遠からぬ極地科学研究所では、極地に航空機らしいものが墜落し、以来磁力計が狂いはじめたことを発見して、アラスカ防衛軍に打電した。司令部からはヘンドリー大尉(ケネス・トビー)の操縦する捜索機が研究所長のヘンドリー博士を同乗して飛び立ち、氷に埋もれた大円盤を発見した。熱爆弾で掘り起こそうとしたため大円盤は爆発飛散したが、一行は放り出された「物体」を、研究所に持ち帰った。その夜、「物体」は威力を振るいはじめ、飼い犬3頭を噛み殺して逃走した。その残骸の一部を調べた博士は、この「物体」が遊星より飛来した植物組織の生物で、動物の血を吸って成長し、人類より知力、腕力に優れた怪物であることを突き止めた。しかもこの切りとられた残骸の一部も次第に成長してくる勢いに、ヘンドリーは人類保護のためにも即刻撃滅を決意したが、博士は重要な研究資料としてその培養を主張してやまなかった。博士の娘ニッキーは、ヘンドリーの恋人だったが2人の間に立って苦しんだ。しかし、研究所の温室に根を下ろした「物体」はやがて所員に向かって攻撃を開始してきたので、人々はガソリンによる火焔攻撃から、ついには電気まで動員して、やっとこの怪物を鎮圧したのであった。

映画.comより引用

ハワード・ホークス製作だが……

本作はハワード・ホークスお得意の「群」で物語るタイプの作品であるのだが、SFホラーにしては群の扱いがあまりにも雑である。もとい登場人物が多すぎて、怪物に対して捌き切れていないのだ。氷漬けとなった物体を部屋に入れる。様子を見に男が入ってくる。氷が解ける。怪物が現れるといったプロセスは丁寧なものの、研究施設の外という選択肢を簡単に取ってしまうので密室ならではのスリル。逃げ場がないはずなのに、標的は自由自在に動き回り、殺していく過程が描けていないのだ。これを踏まえると『エイリアン』におけるダクトの使い方に凄まじい進歩が見受けられる。

結局、本作の見どころは中盤以降の発火描写となる。人が死ぬレベルの豪華な業火と、感電攻撃に惹かれるものがあるが、怪物の動きが遅い上に、群も固まったままなのでやはりジョン・カーペンターに軍配があがるのは納得である。