【ネタバレなし】「SUPER8スーパーエイト」エイブラムスが描くスピルバーグの肖像

スーパーエイト(2011)
SUPER8(2011)

監督:J.J.エイブラムス
出演:ジョエル・コートニー、
エル・ファニングetc

評価:75点

先日、どいらじを聴いていたら、夏休み映画として「スーパーエイト」が紹介されていました。あの「スター・トレック

」も「スター・ウォーズ

」シリーズも監督した唯一無二のブロックバスター監督J.J.エイブラムスが、尊敬するスピルバーグに愛を捧げまくった作品。とはいっても、公開当時、ブンブンの周りでは酷評が飛び交い知らず知らずのうちに観ず嫌いしていました。しかしながら、当時のカイエ・ドゥ・シネマベストテンでは難解な作品群に混じってランクインしている。これは果たしてと想い観てみました。

ちなみに当時のカイエ・ドゥ・シネマベストテンは下記です。
1.ローマ法王の休日
2.アンジェリカの微笑み
3.ツリー・オブ・ライフ

4.アウトサイド・サタン
5.エッセンシャル・キリング
6.メランコリア
7.灼熱の肌
8.スーパーエイト
9.メゾン ある娼館の記憶
10.ミークズ・カットオフ

「スーパーエイト」あらすじ

映画撮影に没頭している6人の子供達は、夜な夜な駅で映画を撮影していたら、列車の脱線事故に巻き込まれてしまう。衝撃的な事故の後、町では異変が起きていた。この町に…何かがいる…

スピルバーグの肖像

本作は、確かに酷評する人の気持ちは分かる。なんたって、「アレ」の正体が分かるのが終盤30分なのだから。それまでは、少年の達の話から、家族の物語、軍人の物語、過去と様々な話がラーメン二郎張りに張り巡らされてとっちらかっている。オマケに全体的に暗い場所でのシーンが多く、何をやっているのかわかり辛かったり、そもそもストーリーを進める起爆剤になっていない無駄なシーンも多い。

しかしながら、よくよく考えてほしい。あのスピルバーグだって、結構冗長な映画を作っていた。特に「未知との遭遇」は歪な脚本なのだから。ブンブンも今となっては巨匠で反論を辞さない風潮を持つスピルバーグ映画ですが、正直周りの人より化は熱狂しなかった。なんなら、「ジョーズ」や「未知との遭遇」は点で観たときこそ面白いが、線で観たらダメな映画だと想っている。

そう考えて観ると、この「スーパーエイト」はスピルバーグを愛するJ.J.エイブラムスだからこそ作れた作品。まるで画面から生きて現実に這い出てきそうな程リアルな肖像画だと言えよう。

スピルバーグといえば娯楽大作監督として知られているが、実は結構子どもにはトラウマな演出をすることがあります。例えば、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」では、虫やら目玉を食べさせられそうになるシーンがある。こういったところもJ.J.エイブラムスは惜しみなく再現している。後半登場する「アレ」はもちろん。町の破壊描写は「宇宙戦争」さながらの凄惨なカタストロフィー描写となっています。

映画好きはよだれが出る

冗長、詰め込み、悪趣味なところまで再現されている本作ですが、それだけなら本当にどうしようもない作品で終わってしまう。しかしながら、J.J.エイブラムスは本当に映画が好きな方。愛のある隠し味を仕込ませてくるから面白い。

なんたって、映画少年達が、夜な夜な機材を持って撮影するわくわく感に、エル・ファニングという犯罪級に可愛い少女の愛と熱演をねじ込んで来るのです。ゾンビ顔で迫真の演技をする少女。これぞ映画オタクな野郎の夢!こんな女の子と一緒に過ごしたいと渇望してしまうではないか!

正直、ここまで来ると多少のお粗末な脚本なぞどうでも良くなる。カイエ・ドゥ・シネマのお堅い方々も、本作を観ているうちにあまりに映画愛、スピルバーグ愛が強く、映画オタクに対する正義を振りかざした本作にノックアウトされたのでしょう。

決して万人にオススメできる作品ではありませんが、夏休み映画としてブンブンは大いに本作を推したい。

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