テクノロジー

2024.12.06 16:45

成層圏を飛び続ける飛行機の役割 ヒロ松下のスウィフト社が開発中

プレスリリースより

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人工衛星と通常の航空機の隙間をつなぐものとして成層圏に滞空する高高度長期滞空型無人航空機(HALE)への期待が高まっている。JAXAを含む世界の企業や研究機関が開発を競っているが、アメリカの航空宇宙企業Swift Engineering(スウィフト・エンジニアリング)は、独自開発のHALE「SULE」(Swift Ultra Long Endurance)で24時間の滞空記録を達成した。

HALEとは、地上からおよそ1万〜5万メートルの成層圏を長時間自律飛行して、通信ネットワークの拡大や地上の観測などを目的とした航空機のこと。人工衛星のように長時間滞空して通信プラットフォームなどに活用できるが、人工衛星と違って自由に目的地の上空に移動できる。比較的地表に近いので、通信の効率や写真撮影の解像度も高くできる。飛行機と違い、雲などの天候の影響も受けにくい。だいいち、人工衛星にくらべて運用コストが格段に安い。

SULEは、機体重量82キログラム、太陽光パネルを搭載した翼の長さが22メートルという機体で、高度2万1000メートルを飛行して「商業、モニタリング、通信、防衛などの多用途での使用」を想定している。機体に太陽電池を埋め込む技法などで2つの特許を取得している。

HALEは、成層圏でどれだけ長く滞空できるかが運用の鍵となる。エアバスが開発した「Zephyr」(ゼファー)は、2021年に高度約2万メートルで18日間の連続飛行を記録しているが、SULEは、2025年には段階的に7日間の滞空時間を目指すということだ。

スウィフト・エンジニアリングは、レーシングカーの開発からスタートし、現在は先進的な航空機やロボットの開発を行っている。CEO兼会長を務めるのは、松下幸之助氏の孫で元レーシングドライバーとしても知られるヒロ松下氏。「成層圏に関しては、まだまだ未知な分野が多くあります。しかし、HALEは人類のさらなる発展のためにかならず必要な技術です。 それを実現するためにさらなる挑戦を続けていきたいと考えています」と松下氏は話している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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