ひらがなIMEの手びき
はじめに
「ひらがなIME」は、ひらがなの割合のおおい文章を入力しやすくした日本語インプットメソッドです。インプットメソッドというのは、コンピューターに文字を入力するためのソフトウェアのことです。
これまでの日本語インプットメソッドでは、むずかしい漢字の割合がおおい文章をかいてしまいがちでした。かきおわってから、自分でもよめないような漢字をつかってしまっていることもよくありました。
「ひらがなIME」であれば、キーボードでうったとおりに、ひらがなを本文に挿入することができます。しらずに、ひらがなが漢字に変換されていることはありません。わざわざEnterキーをおして入力を確定する必要もありません。漢字をつかいたいときは、本文中のひらがなをあとからいつでも漢字におきかえることができます。
「ひらがなIME」を「ふりがなパッド」といっしょにつかうと、総ルビの文章をかんたんにかくことができます。いまでは、だれもがかんたんに漢字をよめるわけではないことがわかってきました。そのため総ルビのデジタル教科書なども用意されるようになっています。
「ひらがなIME」は、FedoraやUbuntuなど、IBusに対応したオペレーティング システム(OS)で利用できます。
モードレス入力方式
「ひらがなIME」のような入力方式は「モードレス入力方式」とよばれています。従来のインプットメソッドにあった「よみの入力モード」をなくしているためです。
モードレス入力方式は、つぎのようなしくみでうごいています。アプリがわのテキストカーソル前後のテキストのことを「周辺テキスト」といいます。いまのOSは、この周辺テキストをインプットメソッドからしらべられるようにしています。「ひらがなIME」で漢字に変換するときは、アプリがわの周辺テキストを対応する漢字におきかえています。
以前はこのような機能がOSにありませんでした。そのために、インプットメソッドがわで、よみを漢字に変換してから入力するしかなかったのです。
モードレス入力方式では、テキスト エディターやワープロの「元に戻す (Undo)」をつかって、変換した漢字をひらがなにもどすことができます。インプットメソッドをつかうために、おぼえないといけないキー操作はとてもすくなくなっています。
モードレス入力は、「ふりがなパッド」のようなテキスト エディターだけでなく、FirefoxやLibreOfficeなどでもつかうことができます。しかし、モードレス入力に対応していないアプリもまだのこっています。英語であれば、特別なインプットメソッドがなくても文字を入力することができます。そのため英語でつかわれることがおおいソフトでは、インプットメソッドのサポートが不十分なことがあるのです。そうしたソフトでは、「ひらがなIME」でも「よみの入力モード」をつかって文字を入力します。
かな漢字変換での大規模言語モデルの利用
「ひらがなIME」には、大規模言語モデル(LLM)を利用して、かな漢字変換をアシストする機能があります。この機能を有効にすると、変換するとき、文脈にあった変換候補があらかじめ選択されているようになります。
たとえば、「かいとう」という語を漢字に変換するときは、つぎのように選択されている候補がかわります。
- アンケートにかいとう変換 → アンケートに回答
- 問題のかいとう変換 → 問題の解答
この機能はおくりがなのある単語を変換するときも有効です。
- 車にの変換っ → 車に乗っ
- 新聞にの変換っ → 新聞に載っ
注意: LLMを利用するこの機能は、LLMが学習している内容で候補の出現確率を計算しています。つかいたい候補がいつもえらばれるというわけではありません。また、従来の方式よりも計算に時間がかかるので、デフォルトではオフになっています。この機能を有効にするには、追加でインストールが必要なパッケージがあります。くわしくは、「大規模言語モデルのインストール」をみてください。
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