みなさんこんにちは、イノベーションセンターの益本(@masaomi346)です。 Network Analytics for Security (以下、NA4Sec) プロジェクトのメンバーとして活動しています。 この記事では注意喚起を兼ねて、特殊詐欺を例に犯罪者のコミュニティで行われている活動を紹介します。 ぜひ最後まで読んでみてください。
警告
この記事では犯罪者のコミュニティに関する話が出てきますが、気軽に犯罪者のコミュニティへアクセスすることを推奨しているわけではありません。 相手と直接接触しない場合であっても、犯罪者から捕捉される可能性があります。その点を念頭に置いてください。
特殊詐欺について
特殊詐欺とは、さまざまな手口で被害者と対面することなく信頼させ、最終的には現金などをだまし取る詐欺犯罪をいいます。
特殊詐欺の事件はよく話題になり、特に闇バイトで詐欺の実行役として犯罪に加担する人達が問題になっています。 闇バイトという単語をXのトレンドで定期的に見かけるぐらいに注目されています。 特殊犯罪による被害や詐欺に加担してしまう人を減らすべく、各所で注意喚起が出ています。
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— 政府広報オンライン (@gov_online) 2022年5月2日
実家にこまめに電話を!
特殊詐欺対策にもなります
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オレオレ詐欺などの特殊詐欺。家族が被害に遭わないか心配ですね。まめに電話で連絡を取り合っていると安心です。在宅時でも留守電にしておく、公的機関の名を出されても信用しないなどの対策も教えてあげましょう。https://t.co/sAi8dZnB1t pic.twitter.com/oW8f7wbxcA
【SNSなどで求人情報を探している方へ】
— 警察庁 (@NPA_KOHO) 2024年10月25日
本年8月以降、相次いで発生している凶悪な強盗事件について、具体的な事例や特徴等をまとめました。参考にしていただき、この種の求人には応募しないようにしてください。#警察 #強盗 #犯罪 #求人 #高額 #高収入 #即日 #運び #送迎 #ホワイト #簡単 pic.twitter.com/bd5ADjG5iO
どのように詐欺に加担させようとするのか
闇バイトや裏バイトなどとして、以下で募集されています。
- SNS
- 掲示板サイト
- 求人サイト
- etc.
特に、SNSで募集されているのをよく見かけます。 以下の画像のように、さまざまなキーワードで募集をかけて犯罪に加担させようとします。
また、口座買取やアカウント買取という形で、犯罪に加担させようとすることもあります。
特殊詐欺の裏で行われていること
特殊詐欺に関わっている犯罪者達がどのような活動をしているのか、あまりピンとこないと思います。 特殊詐欺のコミュニティで行われている活動内容を実際のメッセージを見ながら紹介していきます。
※ここに書かれているものはほんの一部であり、すべてこうというわけではありません。
1. 案件の紹介
リクルーターや実行役向けにさまざまな案件が紹介されています。
受け子・出し子・かけ子
かけ子の仲介
荷受け・空き家の確認
SIMカードの契約
電話番号の契約
本人確認のなりすまし
偽造免許作成
2. 犯罪で使う道具の販売
犯罪を支援するための道具を販売している人達が存在しています。
空き部屋の紹介
銀行口座の販売
SIMカードの販売
3. 銀行口座や決済サービスのアカウントの買取など
買い取ることで、詐欺などで使う振り込み先の口座を確保しています。
銀行口座の買取
メルカリアカウント買取・レンタル
4. 違法薬物の販売
闇バイトの募集から違法薬物の販売や配送に加担させられることがあります。
犯罪に加担するとどうなってしまうのか
犯罪に加担すると、いろんなものを失うことになります。
- 実名報道されて名前が残り続けることになる
- 実刑判決を受ければ、膨大な時間を失うことになる
- 場合によっては賠償金を支払わなければならなくなる
- 家族や友達含め誰からも信用されなくなる
ここ最近闇バイトによる強盗が話題になっていますが、強盗による量刑は皆さまが想像されるよりも重く、特に強盗殺人罪や強盗致死罪の場合だと最低でも無期懲役になります。 また、強盗の準備をするだけでも強盗予備罪に問われる可能性があります。 闇バイトに加担して逮捕された人が口を揃えて後悔していることを語る記事が出ています。
特殊詐欺を減らす取り組み
注意喚起以外にも、特殊詐欺を減らすためにさまざまな取り組みが行われています。 ほんの一例を紹介します。
SNS上の闇バイトの募集に警告
SNS上の闇バイトの募集ポストに対して、以下の画像のように警告を発信している取り組みが見られます。
日夜闇バイトの募集が行われていないか監視しています。 目立つように返信や引用して警告することで、被害を減らそうとしています。
AIを使った闇バイトの募集検知
投稿されたものが闇バイトの募集かどうかの判断を効率化するためにAIを活用する取り組みも見られます。 目視で確認すると時間がかかるため、ある程度の自動化も重要になっていきます。
金融機関との連携
不正な口座情報を共有したり、特殊詐欺のアポ電発生時に自動音声で連絡するなど、さまざまな方法で被害を減らそうとしています。
何かあったときの相談先
もしあなたが、特殊詐欺の実行役として犯罪をさせられそうになっていたら、何も怯えることなく警察に相談しましょう。 警察が犯罪に加担しないように呼びかけており、相談した後にさまざまな対策をとってくれています。 また、あなたがもっている情報が犯罪組織の撲滅につながることもあります。
状況によっては匿名で通報したい時もあるかと思います。 そのときは、下記の匿名通報ダイヤルへ通報するという手もあります。
匿名で通報できるだけでなく、通報した後どうなったか確認できます。
さいごに
今回紹介した特殊詐欺に限らず犯罪の分業化が進んでおり、一部の人を逮捕してもなかなか犯罪がなくなりません。 そのため、犯罪を減らすには、犯罪者を逮捕するだけでなく犯罪で利益を出なくすることも重要になります。 犯罪を知ることで被害を減らすヒントにつながるかもしれません。 本記事により、被害を受ける人を少しでも減らせるといいと筆者は考えています。