【モバマス】ありす「待ちますよね?普通待ちますよね!?」 晴「落ち着けっての」
ありす「待てますか?いいから待てると言ってください」
ありす「とぼけるのは駄目です。聞こえないフリするのも」
ありす「言ってください。待てるって。ちゃんと待つって」
ありす「…」
ありす「聞きましたからね。ちゃんとこの耳で聞きましたから」
ありす「わからないフリをするのも駄目です」
ありす「……」
ありす「駄目です。もう言質取りましたから」フンスッ
ありす(15)「ふわぁ…」
ありす「……随分懐かしい夢を見ていたような…」
ありす「…」チラッ
ありす「……ふふっ」
ありす「ハッピーバースデー私。15歳おめでとう私」
ありす「あと1年…次の誕生日が来たら…にゅふふ」
ガチャッ
晴(15)「おーっす橘ー起きてるかー…って何だよ気持ち悪ぃ顔して」
ありす「天下の大人気JCアイドルに向かって気持ち悪いとは何ですか。おはようございます」
晴「おう、おはよう。んでどうした?変な夢でも見たのか?」
ありす「いえいえ、もうあと1年すれば長年の悲願が叶うなぁ、と思いまして」
晴「あと1年?何だそれ」
ありす「お子様の晴さんにはまだまだ縁の無い話でしょうかねえ。……むふふ」ジュルッ
晴「よく分かんねえけど凄い顔になってるぞお前」
ありす(入った途端熱烈な歓迎を受けました。正直予想はしていましたが回避不可能なのがこの事務所の祝い方ですね。ありすです)
ありす(天井まで届くんじゃあないかっていう大きなケーキには砂糖細工で精巧に作られた私の人形が飾られています。精巧すぎて小人になった私にしか見えません)
ありす(私のか細い腕の中に次々とみなさんからのプレゼントが積み重なっていきます。あ、あの…流石に重たいんですけど。あと文香さん、からくりサーカス全巻セットは無理です。えっ?確かに私もコロンビーヌの最期には泣いてしまいましたけど……ふぐぅ重たぁい!)
ありす(……はぁ、ようやく解放されました。すっかりもみくちゃです…。特にフレデリカさんと周子さんと一ノ瀬志希は覚えておいてください)
ありす(えっ?…あ、ありがとうございます…。くしゃくしゃになってしまっていた髪をプロデューサーさんが整えてくれました。えへへ)
ありす(はい、誕生日のありすです。もうすぐ橘では無くなるありすです)
ありす(………プロデューサーさんから、みなさんとはまた別にプレゼントを頂いてしまいました)
ありす(あ、まだ指輪は気が早いですよね?ええ、わかってます。わかっています。察しの良さに定評があるありすです)
ありす(ありがとうございます。これは大事に厳重に保管しておきますね。式の日にはつけてみても良さそうですね。にゅふふ)
ありす(え?そんなに喜んでくれるとこっちも嬉しい?当たり前じゃないですか)
ありす(…今日は嬉しい事が沢山あって幸せだ?あ、他にも何か良い事があったんですか?いつにも増して顔が緩んでますもんね)
ありす(いいじゃないですか。教えてくださいよ。…今日は私が主役だから?じゃあ主役様権限です。白状してください)
ありす(ほらほら、いいじゃないですか。嬉しい事はみんなで共有すれば倍になるって言ったのはプロデューサーですよ?)
ありす(はい。聞かせてください)
ありす(はい……はい。………はい?)
ありす(えっと、あの……すみません。ちょっと一瞬耳が遠くなってしまったみたいで…あり得ない幻聴が聞こえたような)
ありす(あ、もう一度ですか?ありがとうございます。お手数をおかけします)
ありす(はい。はい……えーっと…ごめんなさい。やっぱり耳がおかしくなってしまっているみたいですね)
ありす(あ、やっぱり駄目です。幻聴が酷くて)
ありす(おかしいですよね?だってプロデューサーさんが結婚するだなんて言ってるように聞こえるなんて)
ありす(……は?おかしくない?さっきからそう言ってる?)
ありす(……)
ありす(……ああ、そうでしたか。おかしいのは私の耳じゃなかったみたいですね)
ありす(すみません。私とした事が変な勘違いをしてしまって)
ありす「おかしいのはこの世界の方ですね?」フッ
P「お誕生日様のハイライトが!?」
ありす(18)「おめでとうございます私の誕生日が婚約記念日ですねえ!」シャーッ!
晴(18)「声がデケェよ!あっスイマセンスイマセン。えっ?いやいや違いますってこんなアイドルがいる訳無いじゃないっすか。あははは」
ありす「お陰様で良くも悪くも一生忘れられない誕生日になりました…はい、18歳になったありすです。苗字は橘のままのありすです…」
晴「お前の誕生祝いの7次会だって言うから付いてきてやったってのに…何だよまたいつもの愚痴り会かよ」
ありす「お付き合いくださりありがとうございます」
晴「んじゃ帰るわ」スッ
ありす「まだまだ夜はこれからですよ」ガシッ
晴「嫌だよこのモードの橘ムチャクチャ面倒臭ぇし!」
ありす「ここは私が奢りますから!」
晴「サ〇ゼリヤだけどな!?」
ありす「ほら、好きなもの飲んでください。飲み放題ですよ?」
晴「ドリンクバーだもんなぁ!」
ありす「いいじゃないですか少しくらい付き合ってくださいよぉ!」
晴「あー引っ張るな!掴むな!あっコラ噛むな!わーったよ!もうちょっとだけ構ってやるから少し落ち着け!」
ありす「本当はプロデューサーさんと付き合いたかったんですけどね…」
晴「あ」
ありす「どうしてもう1年くらい待ってくれなかったんですかぁああああああああああああ!!」ビエーーン
晴「だから声がデケぇっての!周りのお客に迷惑だろ!…え、お構いなく?……あの、何かスンマセン」
ありす「うぐ…ヒグッ…グスッ…おうおう…」
晴「もう顔グチャグチャじゃねえかよ…ほら拭いてやるからこっち向け」
ありす「んぶぶっ」
晴「ったく…Pが結婚してもう3年だぞ?未だにその情緒は正直どうなんだよ」
ありす「グスッ…私なんてまだまだ可愛いものじゃないですか」
晴「そんな事も無……くもないんだよなぁ」
晴「あれでも随分落ち着いてきた方だけどな」
ありす「まゆさんはショックのあまり一時は幼児退行しちゃいましたし」
晴「あれも酷かった。事務所で何のプレイ見せられてんだよって思ったわ」
ありす「千夜さんは今も笑顔が張り付いたまま戻らないですし」
晴「感情が振り切っちまったんだろうなぁ」
ありす「蘭子さんは何言ってるのかわからないですし」
晴「平常運転だよ」
ありす「りあむさんはクズだし」
晴「平常運転だよ」
ありす「晴さんは他人事みたいな顔してますし」
晴「平じょ…そ、そりゃ実際他人事だろ?」
ありす「ハッ、笑わせよる」
晴「お前酔ってんの?イチゴジュースで酔ってんの?」
ありす「あれだけプロデューサーさんにベッタリだった癖に結婚した途端露骨に距離取ってるじゃないですか」
晴「そりゃ当たり前…」
ありす「他の人の目がある時限定ですけどね」
晴「はぁ!?おま、何で……って違っ…!」
ありす「はい、こちらに事務所に2人きりで打ち合わせしてる際やたら密着したりボディタッチする晴さんの証拠映像が」ピッ
晴「何撮ってんだよ!!」
ありす「盗み撮りですよ!!」
晴「消せよっ!消せっ!このっ、このっ!」
ありす「この動画いらないんですか?」
晴「・け、消せっての!」
ありす「今の微妙なタイムラグを見逃してあげるとでも?」
ありす「今や事務所トップクラスの女子力ですもんねぇ。料理は上手ですしバインバインですし」
晴「どこ見て何言ってんだよ!?」
ありす「胸に決まってるじゃないですか!」クワッ!
晴「だからオレの事はいいんだっての!ほ、ほらお前の話聞かせろよ。なっ?」
ありす「結婚発表の後日ばっさりショートカットにしたのにまた髪伸ばし始めたのもプロデューサーさんのためですか?」
晴「チクショウ矛先がビクともしねぇ」
ありす「…」
ありす「……」サスサス
ありす「私だってこれからきちんと育ちますよぉ!」
晴「だから大きな声出すなっての!ほら、デカくたって邪魔なだけだぞ?サッカーはやり辛ぇし中々サイズが合う下着見つからないし…」
ありす「持つ物の贅沢な悩み自慢ですかそうですか。…もげませんかね?」
晴「すいませーん!このジュースもしかしてアルコール入ってませんかー!?」
ありす「お邪魔します」ガチャッ
晴「ったく…お前が騒ぎまくるから店に居辛くなっちまったじゃねえか」
ありす「反省はしています」
晴「頼むから学習もしてくれよ…。ん、テキトーに寛いでてくれ」
ありす「晴さんお茶ー」グデーン
晴「既に遠慮の欠片もねぇ」
ありす「はあ、あったかいものどうも」ズズッ
ありす「…相変わらず奇麗な部屋ですね」
晴「お前の部屋が汚すぎるんだよ」
ありす「晴さんってどう見てもガサツなイメージなのに、人は見た目では分からないものですよねえ」
晴「仮にも清楚系知性派女子高生アイドルで売ってる橘もな」
ありす「巷で話題のジーニアスビューティー・タチバナです」フンスッ
晴「あはは、ウケるウケる」
ありす「ギャグじゃありませんよ!?」
晴「しっかし、とうとう橘も18歳かぁ…」
ありす「晴さんだってついこの間誕生日で18歳になったばかりじゃないですか」
晴「まさかスタジアム貸し切りでプロチームと試合させて貰えるとは思って無かったわ」
ありす「あの人にはいつもいつも驚かされますよね。サプライズ好きと言いますか」
ありす「…まぁ、良くも悪くもですけど」
晴「あ、やべ」
ありす「もう一年だけ待っていて貰えますか?万感の思いをこめてそう告げようとした私にまさかの婚約報告サプライズ!」ダンッ!
晴「マグカップでテーブルを叩くなっつーの割れるだろ!」
ありす「驚かされました!それはもうビックリしました!え、この人よりによってこの日に言うの?って!」
晴「デリカシーあるようで無いように思えて実はちゃんとある風だけど時々欠けてるんだよな、アイツ」
ありす「乙女心を何だと思ってるんですかあの人は!」
晴「おーおー言え言え。言いたい事全部ぶちまけちまえ」
ありす「この前だって私のプロポーズを断るし!」
晴「妻帯者に対して何やってんだよお前は」
ありす「ただのプロポーズですよ!」ダンッ!
晴「壊れるわ!マグカップも!Pの家庭も!」
ありす「そんな簡単に割り切れる話じゃないんです…」
ありす「だって、私はずっと待っていたんですから。ずっと、ずっと」
晴「…」
ありす「…でも、あの人は待っていてはくれませんでしたけどね」
晴「橘…」
ありす「ふふ、こういう時大人だったらお酒でも飲んで思い切り騒いだり出来るんですけどね」
晴「あの人たちは悪い見本なんだからな?絶対見本にしたりすんなよ?特に…あっ駄目だ全員アウトだわ」
ありす「失礼な。この理知的で理性的で清楚な私がお酒であの人たちみたいにみっともない姿を見せるとでも?」
晴「何となくだけどお前は酒飲んだら悪い良い方するタイプだと思うんだよ」
ありす「何ですかそれ。ありえませんよ」
晴「だといいんだけどなぁ」
ありす「…」
ありす「……どうして待ってくれなかったんでしょうね?」
晴「どうしてって、そりゃあ…」
ありす「こんな容姿端麗で頭脳明晰なピチピチの美少女がすぐ傍にいたと言うのに」
晴「人気アイドルばっかりだったからなぁ、Pの周りって。まぁ誰とくっついたっておかしくは無かったしな」
ありす「だったら私でも良かったじゃないですかぁ!」ダダンッ!
晴「叩きつけるな!カップも!情念も!」
ありす「ううぅぅ~…プロデューサぁ…Pさん…あなたぁ…」シクシク
晴「段々図々しくなってやがる」
ありす「…やはり今からでも桃華さんに協力してこの国を一夫多妻制に…」
晴「国を巻き込むなよ!ってかあいつもまだ諦めて無かったのか!?」
晴「そこを躊躇う良心があるなら法律を書き換える事も躊躇ってくれよ」
ありす「うぅぅぅ~…」
晴「泣くな泣くな。もういいじゃねえか。Pだってようやく幸せになれたんだし」
ありす「出来る事ならばあの人の隣で私が幸せにしたかったんですよぅ…」グスッ
晴「はぁ…お前に限った話じゃねえけどみんな本当にPに懐き過ぎだろ」
ありす「当時年少組トップクラスに懐いてたクセに」
晴「ハァ!?ち、違ぇし!って、だからオレの事はいいんだっつの!」
ありす「そう言えば前から聞きたかったんですけど、晴さんスポーツ推薦蹴って一般受験するんですよね?何でですか?」
晴「えっ?そりゃあ…ほら、オレも一応アイドルとして活動もしてるし大学でそこまで本格的にサッカー出来るかどうかわかんねぇしさ」
ありす「ではどうしてプロデューサーの出身大学を選んだんですか?」
晴「ブフッ!!」
ありす「うわっ、コーヒー噴き出さないでくださいよ」
晴「ゲホッ…わ、悪ぃ…って違う!橘がいきなり変な事言うからだろ!?」
ありす「でも事実ですよね?」
晴「…た、たまたまだよ偶然だよ!オレだって後からあいつの母校だって知ったんだからな」
ありす「えっ?前にプロデューサーにどこの大学だったのかって聞いてたじゃないですか」
晴「何でそれ知って…!お、お前誰からその話…!」
ありす「あの時丁度プロデューサーのデスクの下にいたので」
晴「だから乃々があんなはみ出してたのかよ!ずっと気になってた謎が解けたわ!」
ありす「同じ大学を受けたいという口実を作って卑劣にもプロデューサーに勉強を見て貰ってるとは、何とまぁ卑しい」
晴「お、お前みたいに変な下心はねぇよ!ただ普通に勉強見て貰ってるだけだっての!」
ありす「またまた戯言を」
晴「…もしもし梨沙?悪ぃけど今すぐオレの家に来てくれよ橘がアレすぎてオレ1人じゃあ……もしもし?もしもーし!?アイツ留守電に切り替えやがった!」
晴「え、別にいらね」
ありす「即答っ。そうですかそうですか。そんなにプロデューサーに手取り足取り個人レッスンをして欲しいと」
晴「どうしてそうなんだよ!?それにいつも二人きりって訳じゃねえよ!千枝もよくPに勉強見てもらってるし」
ありす「あの人が本当に教わりたいのは絶対保健体育でしょうけどね」
晴「他にも…梨沙もたまに来てるし」
ありす「出た、ビジネスファザコン」
晴「莉嘉も今年受験だからって頻繁に混ざってくるし」
ありす「出た、2代目純情カリスマ」
晴「あとヒョウ君」
ありす「小春さんは!?」
晴「てか、羨ましいなら橘も頼めばいいじゃねえか」
ありす「そんな事出来る訳ないじゃないですか。巷では頭脳明晰、博学才穎、眉目秀麗と専らの評判の私が今さら勉強を教えてくださいなんて言えるわけ…」
晴「テレビつけていいか?見たいドラマあるんだよ」ピッ
ありす「聞いてくださいこの乙女心」
晴「…泰葉凄ぇよなあ。元々演技力のバケモンだったけど」
ありす「最優秀主演女優賞だしたっけ、凄いですよね。目のハイライトは婚約発表の日からまだ戻らないですけど」
晴「んな事言ったら飛鳥のエクステもきらりの口調も凛の情緒も戻らないままだろ」
ありす「あ、クライマックスですよ。いつもの断崖絶壁です」
晴「面白いよなぁ芸歴探偵。橘は今度の映画版に出演するんだろ?」
ありす「ええ、犯人役です」
晴「言うなよ!!」
ありす「ああ、楓さんとまゆさんがぶっちぎりで1位取ったってアレですか」
晴「事務所きっての歌唱力コンビ組ませたもんなぁ。て言うか出演者の半分以上346だったけど」
ありす「それなら先月から始まった新しいライダー観ましょうよ。光さんが主演なんですよね?」
晴「おー、そっちも当然録画してあるぞ。前回で麗奈が2号ライダーになって盛り上がってるところだな」
ありす「ちょ、私まだ1話も見てないんですけど!?」
晴「さっきの仕返しだっつの」
ありす「ネタバレされました…やむ…。もういいです。外に何かありませんか?」
晴「輿水チャレンジと五十嵐獄卒クッキングどっちがいい?」
ありす「普通に今やってる番組観ましょうか」
ありす「暑いですね…扇風機くらいじゃ全然です」
晴「エアコンつけるか?」
ありす「私エアコンだとすぐ体が冷えてしまうので。ええ、晴さんみたいにムッチンムッチンにお肉が付いてる訳じゃないですし」
晴「18度に設定してやる」ピッピッ
ありす「やめてくださいクール・タチバナをチルド・タチバナにする気ですか」
晴「じゃあアイスでも買いに行くか?」
ありす「もうこんな時間ですよ?年頃の女の子2人では危なくありませんかね」
晴「すぐ近くだし大丈夫だって」
ありす「それもそうですね。でもいざという時はサッカーで鍛えたキックでお願いします」
晴「ハハッ、オレ財布置いていくわ」
晴「おぅ、悪い悪い」
ありす「何を読んでいたんですか?」
晴「いやぁ表紙が千枝だったからつい何となく。ファッション雑誌だったから内容全然分かんねぇけど」
ありす「仮にも人気アイドルがそれでいいんですかね」
晴「よくはねぇんだろうけど、やっぱスタイリストさんとかPに任せた方が楽だし手っ取り早いからなぁ」
ありす「隙あらばジャージですもんね、晴さんって」
晴「楽だからいいじゃねぇか。動きやすいし」
ありす「料理とか洗濯とか花嫁修業にあれだけ精を出していたのにどうしてこう自分のファッションには無頓着なんでしょうかねえ」
晴「そういうお前だった部屋じゃ中学時代のジャージ着てるじゃねぇかよ」
ありす「オンオフがしっかりしている女と言ってください」
晴「スマホ届けに来たPをジャージ姿で出迎えちまった時は「いっそ殺せ」とか言ってた癖に」
ありす「ふふ、何を言ってるんですか?もしかしてもう寝惚けてます?」
晴「うわ、記憶から既に消去してやがるこいつ」
ありす「さてと、お喋りばかりしていないで早く部屋に帰りましょう。アイスが溶けちゃいます」
晴「ピノと雪見だいふくは半分こだからな」
ありす「雪見だいふくと言えばこの前プロデューサーさんが作ってましたよね」
晴「あー、等身大雪美型雪見だいふくか。凄かったよな…色んな意味で」
ありす「溶け始めたら途端に単なるグロテスクなクリーチャーでしたもんね…私ライラさんがマジギレしたところなんて初めて見ましたし」
晴「てか思い出させんなよ…アレ結構トラウマなんだよ」
ありす「あの人は時々突拍子もない事しますよね。もういい大人なのにどこか子供っぽいというか…やはり知的で理性的で才色兼備な伴侶が必要なのではないでしょうか」
晴「伴侶はもういるだろ」
ありす「ふふ、何を言ってるんですか?」
晴「こらこら記憶消去すんな!」
ありす「おかえりなさい」
ありす「お邪魔します」
晴「あいよ」
晴「何だこの茶番」
ありす「そう言えば晴さんも何か買ってましたよね」
晴「ん?あぁ、売ってたからつい何となくな」
ありす「ケーキですか?またこんな時間に…。太りますよ?特に胸が」
晴「これ以上はいらねぇよ!てかお前の誕生日なんだからケーキくらいあった方がいいかなって思っただけだよ!チクショウ全部オレが食ってやる」
ありす「ああぁぁ食べます食べます頂きます」
ありす「ああ、そうですね。今日って私の誕生日だったんですよね」
晴「昼間あれだけ豪勢に祝われてたろうが。忘れんなよ…」
ありす「いえ、もうこの日はプロデューサーの婚約記念日としか認識してなくて」
晴「自分がこの世に生を受けた日って認識してくれよ」
ありす「まぁ、事務所で皆さんにお祝いして頂いた後でプロデューサーにも祝って貰ったんですけど」
晴「はいはい良かったな」
ありす「「祝え!いや…もはや言葉は不要。ただこの瞬間を味わうがいい!」って。それはもう情熱的に」
晴「思い切りネタに走ってんじゃねえか」
ありす「でもあの流れで普通お誕生日様の告白を断りますか!?」
晴「調子に乗って何やってんだよお前」
ありす「誕生日は1年で一番幸せな日であるべきだって言ってたじゃないですかー!」
晴「お前ってアレだろ。サンタに「その袋ごとください」とか言っちゃうタイプだろ」
ありす「ううぅ~…」
晴「ほら、ケーキ食べるだろ?用意してやるからテーブルの上片付けといてくれよ」
ありす「食べゆ…」グスン
ありす(20)「ただいま」ガチャッ
晴(20)「オレん家だっつーの」
ありす「お酒、よく分からなかったんで色々と適当に買ってしまいましたね」
晴「いいんじゃね?橘も今日で晴れて20歳になった記念での試し飲みなんだし」
ありす「他の成人組プロデューサーさんと一緒に飲みに行く前にしっかり下準備はしておかないといけませんしね」
晴「そうそう。実際飲んだらとんでもなく酒癖悪かった、なんて事になったら目も当てられねぇだろ?」
ありす「でも幸子さんや輝子さんじゃあるまいし、この才色兼備・タチバナがアルコールくらいでどうにかなるとは思えませんけど」
晴「そういう奴に限って飲むとヤバかったりするんだけどな…よし、こんなもんでいいか。準備出来たぞー」
ありす「わぁ、ちょっぴりずつ買ったつもりですけどこうして並べると壮観ですね」
晴「んじゃ、橘の20歳誕生日おめでとう祝い兼飲み会練習ってことで」
ありす「ありがとうございます。わざわざパーティーの後にまでこうして付き合ってもらって」
晴「気にすんなって。長い付き合いなんだし」
ありす「晴さん……」
晴「それにジャンケンで負けただけだし」ボソッ
ありす「こら晴」
ありす「乾杯」カチンッ
晴「んぐ……くあっ!喉が熱っ!」
ありす「んっ……何だか変な味ですねえ」
晴「うぇ~…何だこれ。こんなモン大人はあんな美味そうに飲みまくってんのかよ」
ありす「ふふ、晴さんはお子様舌なんですね」
晴「あ、コーラで割ったら飲めるわ」
ありす「迷い無くビールにコーラ混ぜましたね」
晴「かっ!結構キツいなコレも。コーラ…は流石にやめとくか。えっとファンタどこだっけ…」
ありす「楓さんお勧めの日本酒も試してみましょう。…けふ、ちょっとキますね」
晴「コーラたっぷり入れると飲みやすくなるなこれも」チビチビ
ありす「次はウイスキーを…。あ、いい香り。味は……うん、結構好みかもしれません」
晴「コーラ無くなっちまったからサイダー入れてみるか」ドボドボ
ありす「菜々さんから頂いた梅酒もこの際飲んでみましょう。あぁ…いいですねこれも。お母さんみたいな優しい味です」
晴「くはっ、これもクるなぁ。もうちょい薄めとくか」ダバババババ
ありす「最後は缶チューハイですね。ではでは………うん、飲みやすいですし凄くしっくりきます」
晴「…うぇ、最初はジュースみてぇだけど後からアルコールがくるなこれ」
ありす「一通り試してみましたけど私は缶チューハイが一番好きかもしれませんね。晴さんはどうでした?」
晴「んー、正直よくわかんねぇ」
ありす「でしょうね」
晴「って言うか多分オレ酒そのものがあんま好きじゃないっぽいわ。美味さが理解出来ねぇって感じだ」
ありす「お子様ですねぇ晴さんてば。大人なのは体付きだけですか?」
晴「Pだって酒苦手だろうが!飲めるからって大人とは限らねえだろ!」
ありす「あの人は中身が割と子供ですよ!」
晴「否定はしねえけど酷いなお前」
ありす「私もうちょっと飲み比べてみますけど晴さんも折角なんですしもう少し試してみたらどうですか?今後お酒の付き合いもあるでしょうし」
晴「え~…、でも確かにそうかもなぁ。んじゃ、もうちょこっとだけな」
ありす「そうこなくては。ささ、ぐいっと」
晴「少しって言ったろ少しって!」
晴「ったく、調子乗って友紀みたいにへべれけになんなよ?」
ありす「なりませんよ絶対。失礼な」プンスコ
ありす「待てますかって聞いたんですから察せるでしょう待っていてくれるべきじゃないですかぁー!!」エーン
晴「そうだそうだぁ!橘だって拗らせてるなりの精一杯だったんだぞ朴念仁ー!」
ありす「と言うか清楚で可憐な美少女にそこまで言われたらその時点でルート突入確定じゃないですか!攻略してくださいよ!」
晴「フラグ建てるだけ建ててほったらかしすぎんだよスケコマシー!トップアイドル育成マシーン!」
ありす「あー…何だか暑くなってきましたね……」
晴「そういやそうだな…よしエアコンつけるか」
ありす「まどろっこしいです!こうすれば簡単に涼しく…うんしょっ」ヌギッ
晴「アハハハ!橘えっぐい下着付けてるのな!」
ありす「いつ何時何が起こるか分かりませんので勝負下着は欠かさないようにしています」フンスッ
晴「で?誰と勝負すんだ?」
ありす「」
晴「あ、やっべ」
ありす「待ちますよね?普通待ちますよね!?」ダンダンッ
晴「落ち着けっての。ほれ橘もっと飲め飲め。この際全部溜め込んでたもん吐き出してスッキリしちまえ!」
ありす「グスッ…ありがとうございます……晴さんすき」グビグビ
晴「オレもちょっと酔ってきちまってるのかな、頭フラフラするわ……あれ、メールいつの間に」ピッ
ありす「…ぷはぁっ!」
晴「…これでよし、っと」
ありす「どうして4年間くらい待ってくれなかったんですかぁぁああ!!」ビエーン
晴「あーはいはい、吐き出せ吐き出せ。その半分怨念じみてる情念全部出しちまえ」
ありす「……うっぷ」
晴「吐き出せってそういう意味じゃねぇぞ!?」
晴「みんなで飲みに行く前に予行練習しといて本当に良かったな…由希りずっと酷ぇぞ橘の酒癖」
ありす「ありすでふ…」
晴「はいはい、いいからそろそろ服くらい着ろって。腐っても大人気女優が下着姿でグデングデンになってんじゃねぇよ。ほらジャージ」
ありす「酔ってまへん…」
晴「おーいオレこっち。ったく、一瞬で酔い覚めたわ。お前あれだ。極力飲むな。橘は酒飲んだらダメなアレだ」
ありす「ありしゅでふ…」モゾモゾ
晴「ジャージ上下逆ぅ」
晴「しょうがねぇな。ちょっと待ってろ。酔い覚ましに何かお茶でも持ってくるから」
ありす「綾鷹でお願いします…」
晴「綾鷹しかねぇよ」
ありす「うぐぅぅ…Pさぁん…どうしてですかぁ…なんで待ってくれなかったんですかぁ…」
晴「…」
ありす「どうして…ぐすっ、私じゃ、だめだったんですかぁ…」
晴「ほらお茶。これ飲んで少し落ち着け」
ありす「ありがとうございまふ…」
晴「…ま、お前の気持ちもわからなくはねぇからさ」
ありす「…そうですよね」
ありす「晴さんだって陰で散々大泣きしてましたもんね…」グスッ
晴「お前と一緒にすんなよ!」
ありす「ギャン泣きしながら「結婚なんてするなー!」と駄々を捏ねてプロデューサーさんを困らせている当時の晴さんの映像がこちらです」ピッ
晴「おまっ」
ありす「グスッ…正直、当時は若干引きました」
晴「橘ァ!何故見てるんだよ!?」
晴「まだガキだったからだろ?」
ありす「…これほどの優良物件なのに」
晴「こんな事故物件人に勧めたら凪がキレるわ」
晴「橘も少し落ち着いてきたみたいだし、俺ちょっと片付け始めるわ。どうせお前今日も泊まってくんだろ?」
ありす「では久しぶりに、お言葉に甘えて」
晴「久しぶらねえよ。稼ぎ盛りのアルバイター並みのペースで毎週来てるじゃねえか」
ありす「あ、ジャージこのままお借りしますね。パジャマ代わりに」
晴「おー、好きにしろよ」
ありす「すんすん…レノア使ってますね?」
晴「使ってるけども」
ピンポーン
晴「あれ、こんな時間に誰だ?あー…多分梨沙か千枝かも。橘、悪いけどちょっと出てくれ」
ありす「はいはいジャージ姿の清純派人気女優が出ますよ」ヨッコラタチバナ
晴「…しかし大分飲んだなあいつ。将来飲だくれになりそうで怖…もう遅いか」
ありす「はいはーいどちらさまですかー?ビジネスファザコンさんですかー?2代目サキュバスアイドルですかー?」ガチャッ
晴「あ、そうだ。そう言えばさっきメールで…」
モバP(以降P表記。意見は求めん)「ヘーイ」
ありす「」
P「橘さん誕生日おめでとう。ほらこれ、事務所にスマホ忘れてったろ。晴に連絡したら晴ん家にいるって言うからさ」
ありす(ジャージ)「」
晴「…おっす」
P「晴もこんばんは。相変わらず仲が良いね君たち」
晴「まぁ、話が合うんだよ。色々と」
P「…あれ、どうした橘さん。橘さん?おーい?白目は怖いぞー?」
P「ん、じゃあ頼む。そっか、もう2人とも20歳だもんな。あまりうるさく言うつもりは無いけど程々にな?」
晴「うっせ。もうガキじゃねえっつーの」
P「そういう割にはこの前ホテルにディナー食べに行った時はシンデレラガールになった時より大はしゃぎしてたような…」
晴「う、うっせえ!ほらもう用事は済んだだろ早く帰れ!嫁さんとこ帰れ!」
P「へいへい、年頃の娘さんの部屋の前にいつまでもオッサンがいる訳にもいかんしな。奥さんの元に帰るでごぜーますよ」
晴「」
P「じゃあ、また事務所でな晴。あと橘さんも」バタンッ
晴「…」
晴「…ハハッ、奥さんだってさ」
晴「……」
晴「………」
ありす「…ハッ!?」
晴「おぅ、意識戻ってきたか橘」
ありす「い、いっそ殺せ!!」
晴「Pならもう帰ったよジャージ姿の清純派人気女優さん」
ありす「い、一度ならず二度までも…こんな醜態を…!」
晴「別にいいじゃねえかジャージくらい」
ありす「…どうして晴さんはいつの間にか着替えているんですか?しかも結構気合入った感じに」
晴「そんな事よりもさ」
ありす「そんな事じゃなくて気になるんですけど」
晴「そんな事よりもよ」
ありす「は、はい?」ビクッ
晴「飲み直すぞ。付き合え橘」
ありす「は、はい。…はい?」
ありす「え、いやあの…晴さんあんまりお酒好きじゃないって言ってたじゃあ…あっあっ、そんな一気に」
晴「ぷはぁ!」ダンッ
ありす「ヒィ」
晴「橘ァ!酌ぅ!」
ありす「ぴゃい!」
晴「足りねぇぞ橘ァ!お前も飲めやオラァ!」
ありす「あ、あの晴さんも20歳になったばかりなんですからお酒は用法用量とペースと節度を守って…」
晴「チクショウ待つだろ!?普通は待つもんだろ!?」ダンダンッ
ありす「あわわわわわわ」
晴「橘ァ!今日は寝かさねぇからな橘ァ!」
ありす「そ、そういう台詞は是非プロデューサーさんに言って貰いたかっ…」
晴「幸せそうで何よりだよチクショー!!なぁ橘ァ!」
ありす「は、はひっ!」
晴「人の気持ちも知らないであんにゃろ……やってられっか橘ァ!」
ありす「お、落ち着いてください晴さん、晴さん。いいですか?まず手のひらに素数を3回書いてですね…」
晴「橘ァゥ!!」
ありす「ど、どこまでもお付き合いさせていただきますっ!」
アッキー「終わりだ」
優「アッキー、明日は株主総会の後で予防接種だからねー」
アッキー「クゥゥゥゥン」
橘さん誕生日に間に合わなくてスマン…全部地球が暑いのがいけないんや…チョコモナカジャンボとコーラぐらいじゃ乗り切れんのや…。
何だかんだでこの2人の誕生日ネタはシリーズ化っぽくなりつつありますが別に繋がりはあるようでナイうなものなのでお気軽に頭カラッポにしてお楽しみください。多分書いてる当人も深く考えてません。
次回は夏休みネタかミツボシSSになるかと思います。はい、埼玉の風習です。
オツカーレ
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「ランダム」カテゴリのおすすめ
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