藤居朋「智絵里ちゃんがペットの犬をほたるちゃんって呼んでいる」
~プロダクション内・カフェ~
藤居朋「~♪」トコトコ
朋(やっぱり早起きは気持ちいいわね!)
朋(そしてカフェで優雅にコーヒーを飲みつつ、今日の台本の確認!)
朋(うんうん! 余裕のあるオトナって感じ!)
朋「あ、ホットコーヒーお願いします!」
~~~~~~~~~~
前作
緒方智絵里「朋さんにお酒を」白菊ほたる「飲ませたら?」
朋(さて、と……)キョロキョロ
朋(あ、あの席空いて……あれ?)
緒方智絵里「……」ポチポチ
朋(あ! 智絵里ちゃんだ!)
朋(最近はソロのお仕事も増えてきて何日か話せてなかったし……)
朋「おーい……」
ピリリリリリリリリリ
朋「って、あれ?」
智絵里「あ……もしもし?」
朋(あら……電話かかってきちゃったのね……。近くに座って、終わったら話しかけよっと)スッ
『もしもし?』
朋(誰からの電話かしら……)
智絵里「あ、かな子ちゃん。お疲れ様っ」
朋(ああ、かな子ちゃんね!)
智絵里「送った写真、見てくれた……?」
『うん、見たよ~』
智絵里「えへへ……可愛かったでしょ?」
『うんうん! すっごく可愛かったよ!』
智絵里「わたしとしても、ベストショットかなって!」
朋(写真……? 何のだろ?)
智絵里「本当に上手く撮れたな……あのホタルちゃん」
朋(ほたるちゃん!?)
朋(えっ、ほたるちゃんの写真が上手く撮れたからかな子ちゃんに送ったの!? ただの彼氏自慢する女子じゃない!)
『智絵里ちゃんが犬を飼い始めたって聞いて、一度見てみたかったんだ~』
智絵里「ふふ……、ちなみにメスなんだよ」
朋(いやその情報必要!? というか言い方!)
『へぇ~、そうなんだ~』
智絵里「寝顔がすっごく可愛くて、思わず撮っちゃったの」
朋(しかも寝顔……)
智絵里「よく見ると、よだれをちょっとたらしててね」
朋(あら、ほたるちゃん、恥ずかしがりそうね)クスッ
智絵里「拭いてあげようとしたらちょっと噛まれちゃった」
朋(噛んだの!?)
朋(ほたるちゃんの防衛本能、半端じゃないわね……)
『ふふっ、それもいい思い出になるんじゃないかな』
智絵里「そうだねっ」
『いつも一緒に寝てるの?』
智絵里「うんっ! いつも一緒に寝てるよ」
朋(本当に仲良しなんだから……)
智絵里「最初はホタルちゃんだけ家の外で寝かせてたんだけど……」
朋(なんで!? 可哀想じゃない!!!)
智絵里「やっぱりご近所さんに(鳴き声とか)印象良くないかなって」
朋(世間体で判断してるの!? そりゃ女の子を外で寝かせてたら印象最悪よ!?)
智絵里「あと、お風呂も一緒に入ってるんだよ」
朋(本当にずっと一緒ね……)
『でも、お水とか怖がるワンちゃんもいるって聞くけど……』
智絵里「うん、ホタルちゃんも最初にシャワーをかけた時はビックリしちゃったみたいで、濡れたままリビングまで走って行っちゃったの……」
朋(ほたるちゃん何してるの!? そんなキャラだったっけ!?)
智絵里「でも最近慣れてきたみたい。今まではあんまり入ったことなかっただけなのかな?」
朋(失礼でしょ)
『そういえば、ペットって衛生面が気になるんだよね~』
智絵里「うん、そうだね……、ホタルちゃんもけっこうドロだらけになって戻ることもあるし」
朋(そんなことある?)
智絵里「そういう時はもう、外でシャワーしてから家に入れるんだ」
朋(外でシャワーを!?!?)
朋(思いの外ヤバい会話を聞いちゃってるのかも……ど、どうしよう……)
『あと、最近ってペットに服を着せるのとか流行ってるけど、ホタルちゃんには着せてないの?』
智絵里「ホタルちゃんに? 服は基本的に着せてないかな」
朋(えっ基本的に着てないの!? 大丈夫!?)
智絵里「あっでも、この前首輪を買ってあげたのっ! それはつけてるから大丈夫だよ!」
朋(首輪だけ!?!? 大丈夫な要素がないわよ!!!!!)
朋(で、でも、2人で楽しんでいるなら……)
朋(……うん、歪んだ愛でも、あたしは応援しなきゃ)
智絵里「この前はその首輪をつけて、一緒にお散歩したのっ」
朋(やっぱダメでしょ!!!!!)
朋(何から何までアウトよ!!! スキャンダル間違いなしじゃないの!!!)
智絵里「散歩してると、同じような人との交流も増えるんだよ」
朋(同じような人がいるの!? この街大丈夫!?)
智絵里「たまにケンカを始めちゃうから困っちゃうんだ……噛みついたりして」
朋(さっきからなんでそんなに噛むことに対する理性が弱いの!?)
『そうなんだ~……って、あ!』
智絵里「どうしたの?」
『ごめん、そろそろお仕事だから、切るね~』
智絵里「うんっ。お仕事、頑張ってね」
『また写真送ってね~』
智絵里「もちろんっ! 次はシャワー浴びてる時の写真を送るねっ」
朋(ダメ!!!!!)
ピッ
智絵里「ふう……」
朋「あ、あの……智絵里……ちゃん?」
智絵里「あっ! 朋さん!!!」パァァァァ
朋「ひ、久しぶり……」
智絵里「お久しぶりですっ! 数日会ってないだけですけど、会いたかったです……!」
朋「う、うん、そうね……」
智絵里「?」
朋「えっと……ごめん、電話……ちょっと聞いちゃって……」
智絵里「あ、そうだったんですか……? 聞かれて困る話ではないので、大丈夫ですよ……?」
朋「どこが!?」
智絵里「ええっ」
智絵里「あっ、ごめんなさい……ホタルちゃんのこと、隠してたからですか……?」
朋「隠してたのかはわかんないけど……」
智絵里「朋さんをビックリさせたくて、何か芸を覚えてから話そうと思ってたんですけど……」
朋「もうどういう関係なのかあたしにはさっぱりわからないわ……!」
智絵里「?」
朋「芸って……例えば?」
智絵里「ううん……例えば、毎朝ポストから新聞を持ってきてくれるとかっ!」
朋「ただのパシリじゃないの!!!」
智絵里「と、朋さん……! よ、よくわからないですけど落ち着いてください……!」
朋「落ち着いていられないわよ!!!」
智絵里「え、えっと! かな子ちゃんに送った、ホタルちゃんの写真を見て癒されてください!」サッ
朋「そんなんじゃ誤魔化されないわよ! だいたい、ほたるちゃんの寝顔くら……い……は……」
智絵里「?」
朋「あ……」
智絵里「??」
朋「……」
智絵里「???」
朋「……」
智絵里「????」
朋「……智絵里ちゃん」
智絵里「は、はいっ!」
朋「あたしのほっぺたを思いっきりビンタして」
智絵里「ええっ!?!?!?」
智絵里「ど、どうしたんですか……!?」
朋「お願い! ”智絵里ちゃんならありえるかも……”って疑わなかったあたしを!!! 殴って!!!」
智絵里「い、意味がわかりませんっ……!?」
朋「あたしは自分が恥ずかしいわ!!!」
智絵里「お、落ち着いてください……!!!」
~~~~~~~~~~
朋「ごめん、落ち着いたわ……」
智絵里「よ、よかったです……」
朋「でも、可愛いわね……えっと、ホタルちゃん……?」
智絵里「はいっ!」
朋「一番気になるのは名前なんだけど……どうしてホタルちゃんなの?」
智絵里「……実はこの子、買ったわけじゃないんです」
朋「……捨て犬?」
智絵里「いいえ、あれは、この前の台風の日でした……」
朋「……」
智絵里「道を歩いていたら、この子が雨に濡れながら歩いていて……」
朋「うん……」
智絵里「でも、生きものを飼うって、簡単なことじゃないと思いますし、辛かったですけど、気にしないで帰ろうと思ったんです……」
朋(智絵里ちゃんにしてはマトモ……)
智絵里「?」
朋「つ、続けて!」
智絵里「そうしたらこの子、トラックに撥ねられちゃったんです……!」
朋「ええっ!?」
智絵里「思わずわたしも駆け寄ったんです。そうしたら……」
朋「そうしたら……」
智絵里「何事もなかったかのように歩き出して……」
朋「!?」
智絵里「3歩歩いた先で今度は自転車に轢かれて……」
朋「!?!?」
智絵里「やっぱり無傷だったんです……」
朋「!?!?!?」
智絵里「”あっ、これはもうほたるちゃんだな”って……」
朋「リアクションが難しいわね……」
智絵里「もしくはどこかでほたるちゃんが亡くなって犬に生まれ変わったかなって……」
朋「智絵里ちゃん」
朋「そんなことがあったのね……」
智絵里「はい……」
朋「ほたるちゃんは知ってるの?」
智絵里「いえ、まだです」
朋「そうなんだ……まあ、たしかに可愛いわね……」
智絵里「ですよね? 他にも、エサを食べてる写真とか、座ってる写真とか……」
朋「わ! 可愛い……!」
智絵里「食べちゃいたいくらいですねっ」
朋「智絵里ちゃんが言うとシャレにならなそうなのよね」
~同時刻・カフェ周辺~
白菊ほたる(今日は珍しくトラブルもなく来れた……)
ほたる(時間は……まだある……)
ほたる(ちょっと休んでいこうかな……)
ほたる「あ、ホットのミルクティーをお願いします……」
ほたる「えっと……あれ?」
「ねえねえ、もっと他にないの?」
「他にはですね……」
ほたる(あっ! 朋さんと智絵里さん!)
ほたる「おはようございま……」トコトコ
「本当に可愛いわね! ホタルちゃん!」
「はいっ! 思わず抱きしめたくなりますっ!」
ほたる「!!!!!」サッ
ほたる(お、思わず隠れちゃった……)
「いやー、カメラ栄えするわねー!」
「どの角度でもかわいいんですよね……!」
ほたる(そ、そんな……えへへ……)テレテレ
「写真によってはカッコいい感じもするわね!」
「そうなんですっ!」
ほたる(えへ……えへへ……)テレテレ
「ホタルちゃんって雑種?」
「恐らくそうですね」
ほたる(急に雑種呼ばわり!?!?!?)
ほたる(えっ、雑種ってけっこうな悪口なんじゃ……)
「今度、ホタルちゃんを公園に連れて行こうかと思うんですっ。行ったことないかなって」
ほたる(あ、ありますよ!? バカにしないでくださいっ!!!)
「それはいいわね!」
ほたる(朋さん!!!!!)
ほたる(朋さんが乗っかり始めたらおしまいです……!)
「あとホタルちゃん、頭もいいんですっ」
「へー、そうなの?」
「ドアを自分で開けられるんですよっ」
ほたる(さっきからバカにしすぎでは……!?)
「そうなんだ!」
「はいっ!」
ほたる(疑問を持ってください……!)
「今度は、服を着せてみようかな……」
ほたる「ふ、服くらいいつも着てます!!!」バッ
朋「え?」
智絵里「?」
ほたる「あっ……」
朋「あれ、ほたるちゃんじゃない! 奇遇ね!」
智絵里「どうしたの? そんな大きい声出して……」
ほたる「で、ですから、さっきから話が……」
朋「そうそう! これ、智絵里ちゃんが飼い始めたワンちゃん! 名前はホタルちゃんっていうの!」
ほたる「えっ……」
朋「?」
智絵里「?」
ほたる「……」
朋「?」
智絵里「?」
ほたる「……いっそ殺してください」カァァァァァ
朋「どうしたの!?!?!?」
智絵里「わかったよっ」スッパーンッ!!!!!
朋「智絵里ちゃん!!!」
~~~~~~~~~~
ほたる「な、なるほど……そうだったんですね……」
朋「ほらほら! かわいいでしょ!」
ほたる「あ……かわいい……」
朋「今度一緒に見に行きましょ?」
ほたる「は、はいっ!」
智絵里「楽しみに待ってますねっ」
ほたる「虐待とかしちゃダメですよ……?」
智絵里「ほたるちゃんはわたしをなんだと思ってるのかな???」
~後日:レッスンルーム~
朋「ねえねえほたるちゃん!」
ほたる「?」
朋「このレッスン終わったら、智絵里ちゃんの家に行かない?」
ほたる「あ……いいですよ」
朋「楽しみね~」
ガチャ
智絵里「お疲れ様です……」トボトボ
朋「あ、ウワサをすれば智絵里ちゃん! あの後ホタルちゃんは元気?」
智絵里「あ……それが……」
ほたる「?」
朋「どうかしたの?」
智絵里「昨日、お散歩してた時に、いきなりおばあさんに話しかけられて……」
ほたる「もしかして……」
智絵里「うん、ホタルちゃんの、本当の飼い主さんだったの……」
朋「あ……そうだったの……」
ほたる「飼い犬だったんですね……」
智絵里「うん……」
ほたる「本当の名前は何だったんですか?」
智絵里「ゴルバチョフ」
朋「えっぐいセンスね」
智絵里「で、でもっ、ホタルちゃんも飼い主さんの家に戻れて……幸せなんじゃ……ないかなって……」
ほたる「……」
朋「……智絵里ちゃん」
智絵里「え?」
朋「……」ギュッ
智絵里「!」
朋「辛いなら泣きなさい……ね?」
智絵里「……」
智絵里「ふえぇぇぇ……」ギューッ
朋「よしよし」ナデナデ
朋「例え短い間でも、智絵里ちゃんと過ごしたことを、あの子はきっと忘れないわ」
智絵里「ありがとう……ございます」
ほたる「またいつか、会えますよ」
コンコン ガチャ
美城常務「失礼する」
朋「うわっ!?」
ほたる「常務……?」
常務「君たちに仕事が入っている。偶然通ったものでな。頭出しだけでもしておこうと思ったのだが」
朋「お! いいじゃないの! どんなお仕事なの?」
常務「そう急かすな。概要は……『夢の競演!? 世界一丈夫なアイドルと世界一丈夫なワンちゃん!』らしい。白菊がメインの企画になるな」
朋「……」
智絵里「……」
ほたる「……」
常務「?」
3人「ホタルちゃん!!!!!!!」
おわり
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某金ぴかさんからしたら人類皆雑種だから大丈夫