男「ここがコメダ珈琲か……」カランカラン 客「見ねぇツラだな」客「よそ者がきやがったぜ」
- 2017年04月06日 02:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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男(夕食前に軽くコーヒーと甘い物ってのも悪くない)
男(寄っていこう)ギィィ…
カランカラン…
客A「ん? ……見ねぇツラだな」
客B「よそ者がきやがったぜ」
男「一名だ」
店員「おタバコはお吸いになられますか?」
男「吸わない」
店員「こちらの空いてるお席へどうぞー!」
客A「お、こっちに来たぜ」
客A「おいおい、アイツここがどんな場所か知ってんのか?」
客B「へっへっへ……たっぷり教育を施してやろうぜぇ~」
ボス「……」
客A「おいおいおい、お上品そうなお坊ちゃん!」
客A「ここは“スタバ”や“ドトール”なんかとはわけがちがうぜぇ?」
客B「お坊ちゃんは家に帰ってママのミルクでも吸ってな!」
ヒャハハハハハッ!

客A「悩んでやがるな」
客B「そりゃそうだ! なにしろコメダのメニューは豊富すぎるからな!」
客B「きっと頭ン中パンクしてるに違いねえ! 思考回路はショート寸前ってやつだ!」
客B「悩みに悩んだ末、こんがらがって店を出てくに決まってるぜ!」
客A「なるほど! そいつはケッサクだ! ボスもそう思いやすよねえ?」
ボス「……どうかな」
店員「ご注文をお伺いいたします」
男「ブレンドコーヒー」
ザワッ……!
客A「な……!?」
客B「マジかよ!?」
ボス「ほう……」
店員「たっぷりブレンドコーヒーですね」
客A「あいつ、“たっぷり”いきやがったぜ!」
客B「ウ、ウソだろ!? あいつ、クチだけじゃねえ!」
客A「へへ……ハッタリさ! ハッタリに決まってる!」
ボス「……!」
ドヨドヨ……
客A「甘い物……」
客B「ヤツはシロウトだ……どうせケーキに――」
男「シロノワール」
ドヨッ……!
客A「なん……だと……!?」
客B「信じらんねえ……」
ボス「シロワノール……オレの大好物……!」
客A「シロノワールです」
ボス「“ミニ”にしなかった自分の甘さを、とろけるほど後悔することになる」
シロノワールに隠された罠とは一体――!?
店員「たっぷりのブレンドコーヒーと」
店員「シロノワールです」ズシン…
男「……!」
客A「お、ちょっと動揺したぞ!」
客B「そりゃそうだ……オレも第一印象“あ、ミニにしときゃよかった”だったもん」
ボス「直径20cmはあろうかという超弩級デニッシュに、山盛りのソフトクリーム……」
ボス「さながら喫茶店にそびえ立つエベレスト……それがシロワノール!」
ボス「どう登頂(クライミング)するか……じっくり見物させてもらおうじゃねえか」
男「! ……どうも」
客A「おっとこいつを忘れてた! ナゾの豆菓子!」
客B「原材料は一切不明で、ドラゴンボールに出てくる仙豆なのかもって噂もあるほどだ!」
ボス「東京大学と京都大学の共同研究によると」
ボス「コメダ利用者の85%はあの豆菓子目当てで来店してるらしいぜ」
客AB「すっげぇ~~~~~!」
男「……」ザラッ
男「……」バリボリバリボリ
男「ゴクン」
客A「豆菓子、一気にいったァーッ!!!」
客B「ウソだろ……!? オレなんていつも一粒一粒丁寧に食べちゃうのに!」
客A「オレもだ……あいつタダモンじゃねえ! あの若さで一体どんな修羅場を……!」
ボス(恐怖……!? このオレが恐怖しているというのかッ!)ブルッ…
客A「おっ、シロノワールに挑む気だ」
客B「シロップを手に取ったぞ……!」ゴクッ
ボス(なにしろあのデカさだ……)
ボス(シロワノールを少しずつ食べながら、その都度少しずつかけていくってのがセオリーだが……)
客A「いきなり全がけ!?」
客B「や、やられた……ッ! あんな手があったなんて!」
客B「オレなんていつもシロップどうペース配分するか迷って、結局かけないまま食い終わっちゃったりするのに!」
対シロノワールにおける、シロップのペース配分は非常に困難を極める。
どうシロップを使うかは、コメダ常連客にとって永遠の課題といえる。
しかし、男はいきなり全がけすることで、その駆け引きをあえて放棄――
結果、シロノワールとの戦いに全精力を費やすことに成功した!
ボス「おのれ……ッ!」ギリッ…
男「おいしい」
客A「デニッシュ、ソフトクリーム、シロップを絶妙に絡めて食してる……この辺はさすがだな」
客B「うむ……」
客B「しかし……右回りに食べてるな。いったいどうしてだろう?」
ボス「右回り……つまり時計回り」
客AB「!?」
ボス「時の流れに身を任せ、ヤツはシロワノールを食してるんだ……」
ボス「だからヤツの動きには一切の無駄がない!」
客A「く、くそっ……!」
客B「なんてヤツだ……!」
客A「よく見ろ、あいつサクランボだけ残してやがるぜ」
客B「きっと嫌いなんだろ」
客A「なんでえ、しょせんこの程度か!」
客A「オレなんてガキの頃、お中元かなんかでもらった高級なサクランボ全部食っちまって」
客A「お袋に半殺しにされたことあるぜ!」
客B「そりゃいいや!」
ヒャハハハハハッ!
ボス「――いや、そうじゃない!」
ボス「溶けたソフトクリームやシロップがサクランボにかかって――」
ボス「サクランボが『極上のチェリー』に進化してやがる!」
客AB「なんだってぇ~~~~~~!!!???」
サクランボ『おいしくしてくれて、ありがとう』
客A「今、オレには聞こえた! あのサクランボから声が!」
客B「オレもオレも!」
ボス「ヤツはサクランボを残してたんじゃあねえ……美しく着飾らせてたんだ!」
客A「しかも舌でサクランボの茎結んでやがる!」
客B「キスがうまくなきゃできねえ芸当だ!」
客A「チェリー好きなのにチェリーじゃねえってか!? くそっ、死ねばいいのに!」
ボス「……これ以上よそ者をのさばらせとくわけにはいかねえな」ガタッ
客AB「ボス!?」
ボス「おい、てめえ」
男「!」
客A「あっ、ボスがクリームソーダの靴みたいな容器をテーブルに――」
ボス「バリィンッ!」
客A「――叩きつけるフリを! そりゃそうだ! 割ったら危ないもん!」
客B「セルフ効果音までつけるなんて、さすがボス!」
店員「お客さん、もめごとは困りますぜ」ニヤッ
ボス「安心しな……すぐ終わる」
男「……」
ボス「コメダ初心者にしては、大したもんだよ。オレが女だったら抱かれてるとこだ」
ボス「だが、こっちとしてもこのままなめられっぱなしで終わるわけにゃいかねえ」
ボス「たっぷり勝負だ!」
ボス「マスター、ありったけのたっぷりブレンドコーヒー持ってこい!」
店員「へい」
男の価値はどれだけコーヒーを飲めるかで決まる。
コメダ名物『たっぷり勝負』が幕を開けた。
男「……」グビッ
ボス「……」グビッ
客A「二人ともあっさり飲み干した!」
客B「すげええええ!」
男「……」グビッ
ボス「……」グビッ
客A「おいおい、勢いが止まらねえ!」
客B「オレなんて、一杯も飲んだら腹がチャプチャプになっちゃうのに……」
店員「へい」スッ
ボス「……!?」
ボス(バカめ……たっぷり勝負の時に水なんて飲んだら満腹に近づくだけだ!)
ボス(この勝負、もらった!!!)
男「……」グビッ
ボス「……」グビッ
客A「十杯目クリアーッ!」
客B「だが、心なしかボスの表情が青ざめてきたぞ……!?」
男「……」グビッ
ボス「ぐ、ぐぐ……」オエッ
ボス(もうダメだ……飲めねえ……)
ボス(しかし、水を飲んだヤツの方がオレより早くコメダウン※するはずなのに……! なんで……?)
ボス(ハッ、そうか!)
ボス(ヤツはお冷やを飲むことで、胃の中のコーヒーを薄めたんだ!)
ボス(だからいくらコーヒーを飲んでも胃がもたれないんだ!)
ボス(オレとしたことが……なんて初歩的なミスを……)
ボス(オレの負けだ……)ドサッ
客AB「ボスーッ!!!」
※コメダ珈琲店でコーヒーを飲みすぎてノックダウンすること
客A「まさかボスがたっぷり勝負で負けるなんて……」
客B「信じられねえ……」
男「……」ゲップ
店員「久々にいい勝負を拝ませてもらいましたぜ、ご両人」
店員「ありがとうございましたー!」
男「あ、そうだ。これからも立ち寄りたいから、コーヒーチケットを買っていこうかな」
店員「3200円です」
客A「うお! すげえ!」
客A「オレ、コーヒーチケットなんて買ったことねえ!」
客B「オレらぐらい常連だと絶対買った方が得なのになんかもったいない気がしちゃうんだよな」
男「!」
男「なんだ、まだやる気か?」
ボス「いや、そうじゃねえ。今日のところはオレの負けだ」
ボス「だが、おめえには色々と迷惑をかけちまった」
ボス「その詫びに……“味噌カツサンド”でもおごりてえと思ってな」
客A「おおっ、味噌カツサンド! コメダ四天王の一角じゃないですか!」
客B「さすがボス、男だぜ!」
男「……」
ボス「あんたほどのお方が、晩飯は何を食うっていうんだ?」
男「……」
男「米だ」
カランカラン…
おわり
元スレ
男「ここがコメダ珈琲か……」カランカラン 客「見ねぇツラだな」客「よそ者がきやがったぜ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491406384/
男「ここがコメダ珈琲か……」カランカラン 客「見ねぇツラだな」客「よそ者がきやがったぜ」
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