TOEICスコアが就職や転職にどれほど影響するのか、疑問に思ったことはありませんか?TOEICスコアは、就職や転職市場で自分の英語力を客観的にアピールする有力なツールです。多くの企業がTOEICスコアを採用時に参考としており、一定のスコアを達成することで、応募条件を満たすだけでなく、選考時に有利に働きます。この記事では、TOEICスコアを生かせる業界や、各スコアで狙える業種を紹介します。さらに、転職活動でTOEICスコアを最大限に活用するコツも解説します。TOEICスコアを武器に、キャリアを切り開いていきましょう。
短期間でスコアアップを狙いたいなら、Santaアルクがおすすめです。スキマ時間を活用できるスマホアプリで効率的に学習を進めましょう。
目次
TOEICスコアを生かせる企業
TOEICスコアを生かせる企業について、2つのポイントを解説します。
- TOEICの重要性とメリット
- 転職・就職でTOEICスコアがあれば有利な企業の特徴とは?
TOEICの重要性とメリット
TOEICは日本国内で最も受験者数が多い英語試験であり、多くの企業が英語力を測る指標として採用しています。グローバル化が進む中、海外進出や国際的な取引を行う企業が増え、英語力は今後ますます重要なスキルになっていくでしょう。TOEICを運営しているIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が行った、2022年の「英語活用実態調査」によると、企業・団体の半数以上が採用時にTOEICのスコアを参考にしており、海外支社がある企業では約9割がスコアを活用しているとの結果が報告されています。転職・就職の際にTOEICスコアを履歴書に書くことで、企業に一定の英語力があることをアピールできます。特に商社や外資系企業など、海外とのビジネスが多い業界では、スコアが採用基準や昇進条件になっていることがあります。高スコアを持つことで、グローバル展開を目指す企業や、英語力が必須の企業において有利になるだけでなく、昇進やキャリアアップの可能性も広がります。
参考:IIBC
転職・就職でTOEICスコアがあれば有利な企業の特徴とは?
TOEICスコアが有利になる企業の特徴として、まずグローバル展開を進めている点が挙げられます。商社やメーカーなどで、海外に拠点を展開している場合は、業務で英語を必要とするため、採用時にTOEICスコアが重視されます。特に中途採用では即戦力となる人材が求められ、海外赴任や出張など英語での業務が多い職種ほど、TOEICスコアがあると有利になるでしょう。
パナソニックや、ユニクロを展開しているファーストリテイリングのように、外国人を積極的に雇用している企業では、英語だけでなくグローバルな感覚が求められます。TOEICを学習すると、英語圏の文化に触れたり、英語での情報収集ができるようになったりすることから、スコアが選考で有利に働くと考えられます。
業種別:TOEICが重視される企業
TOEICが重視される企業を、業種別に解説します。
- 旅行
- 航空
- 金融
- 小売
- IT
- マスコミ
- 商社
- メーカー
- 物流
旅行
旅行業界では、来日した旅行者とのコミュニケーションや、海外ツアーの企画・運営など、多くの業務で英語が必要になります。例えばHISの企画営業職では、営業経験やPCスキルが重要視される一方で、インバウンドに関わる業務では英語力が必須です。また、経理やSEなどのバックオフィス系職種でも、海外とのやりとりが発生する場合には英語力が歓迎スキルとなっています。求められるTOEICスコアは企業や職種によって異なりますが、600点以上あると望ましいでしょう。
参考:HIS 採用サイト
航空
航空業界では客室乗務職の場合、さまざまな国の顧客への対応が業務の中心となるため、高い英語力が求められます。ANAやJALの客室乗務員の募集要項には、「TOEIC600点以上が望ましい」と記載されています。特に国際線を担当する場合、日常的に英語を使用するため、TOEICスコアだけでなくスピーキング能力も重視され、採用試験では英語での面接や試験が行われるのが一般的です。空港で働くグランドスタッフの場合、必要なスコアはやや低く、企業によっては「TOEIC550点程度以上が望ましい」とされています。
金融
金融業界では、海外企業との取引や為替、投資業務において、高い英語力が求められます。日本市場は海外の動向に影響を受けるため、海外のマーケット情報を取り入れるための英語力も必要です。特に海外取引業務を希望する場合、TOEIC750点を取得していることが望ましいという意見もあります。野村証券では「入社後は、ビジネスで通用する高水準の英語力」を求められるとしているコースもあります。
参考
SMBCグループ 人材戦略とダイバーシティの推進
野村證券 採用サイト
小売
海外での店舗展開や訪日外国人の増加に伴い、小売業界でも英語力が重視されるようになっています。募集要項に応募資格として具体的なTOEICスコアが書かれているケースはあまりありませんが、TOEIC600点を持っているとアピールポイントに使えるでしょう。700点以上のスコアがあると、選考で有利になりやすいと考えられます。例えば、ファーストリテイリングの新卒採用では、募集要項に「英語が採用基準にならないものの、習得を推奨する」と書かれています。一方中途採用では、職種によっては「TOEIC800点以上」が応募資格となっていたり、「700点以上」が歓迎するスキルとなっていたりと、英語力が必要なケースも多く、中途採用ではより高い英語力が求められる傾向が見られます。
IT
IT業界では、グローバルなプロジェクトや海外クライアントとの取引が増加しており、英語力の重要性が高まっています。海外との直接のやりとりが少ない職種であっても、TOEIC600点以上あるといいでしょう。例えば、楽天では「合否はスコアのみでなく総合的に判断」するとしつつも、入社までにTOEIC800点以上の取得を条件としています。また、NTTデータエンジニアリングシステムズではTOEIC700点以上の取得者に10万円の奨励金を支給し、社員の英語学習を積極的にサポートしています。
マスコミ
マスコミ業界では、全ての職種で高い英語力が必要とされるわけではありませんが、TOEIC700点以上を持っていると選考で有利になりやすいでしょう。例えば、海外勤務のある記者や、翻訳本を扱う出版社では、英語力が活躍の場を広げる重要なスキルになります。特に海外赴任を希望する場合、TOEIC800点以上を取得しておくことが望ましいです。読売新聞社では、特定の資格を応募条件にしていませんが、「英語力があれば海外取材や外国人との交渉など、仕事の幅が広がる」と記載されています。
商社
商社は海外との取引が多く、英語での業務が日常的に求められるため、高い英語力が求められます。三菱商事や丸紅株式会社、住友商事などの大手総合商社では海外赴任や出張の機会も多く、英語力が必要不可欠です。大手総合商社の新卒採用では、採用情報に「英語力やTOEICのスコアで合否の判断はしない」と明記されていることがよくあります。しかし、「英語力があることが望ましい」と書かれていることも多く、入社後に必要な業務に備え、英語力を磨くことが推奨されています。一方転職の場合は、職種にもよりますが、応募条件に具体的なスコアがあることが多く、丸紅では「TOEIC730点以上」が必須応募要件、三菱商事では「ビジネスレベルの英語力」を歓迎要件としています。商社を志望する場合は、TOEIC730点以上を取得しておくと良いでしょう。
メーカー
海外展開するメーカーでは、取引先や海外拠点との業務において、高い英語力が求められます。例えば、トヨタ自動車は新卒採用で英語力を応募の条件にしていませんが、昇格条件としてTOEIC600点以上を求めています。ソニーも採用時に具体的なスコア要件はないものの、入社後に英語学習を奨励し、グローバルプロジェクトへの参加を支援しています。日立製作所など、社員を対象に英語研修を行っているメーカーもあり、英語力が上がるほど活躍の場が広がります。
物流
物流業界では、海外取引先との連絡や貿易関連事務で英語力が求められます。特に輸出業務や国際営業職では、英語でのコミュニケーションスキルに加え、契約書や通関書類の読解力も必要です。日本通運や近鉄エクスプレスでは、新卒採用の応募でTOEICスコアは求められていません。しかし、入社後は海外拠点で業務経験を積むコースがあり、英語力が重要となります。物流業界での就職を目指す場合は、最低でもTOEIC600点以上あることが望ましく、700点でさらに有利になるでしょう。
TOEICスコアと採用基準
TOEICスコアと採用基準について、以下のポイントを解説します。
- 企業が求めるTOEICスコアの目安
- 昇進におけるTOEICスコアの影響
企業が求めるTOEICスコアの目安
企業が求めるTOEICスコアは職種によって異なりますが、一般的な目安は600点以上です。
600点は英語の基礎が身に付いていると評価されるレベルであり、TOEIC受験者の平均点に当たります。一方で、600点未満の場合は英語力が不足していると見なされるため、履歴書には記載しない方がよいでしょう。
外資系や商社など、業務で英語をよく使う職種では、選考でTOEICのスコアによる足切りをする企業もあり、700点程度が最低ラインとされています。特に人気の商社の場合は、応募者の平均スコアが900点に達することもあり、少なくとも800点以上のスコアを取得しておくことが望ましいです。
なお、TOEICのスコアだけでなく、人柄や総合的な能力を重視して採用を決定する企業も多いですが、最低ラインより上のスコアがあると、選考では有利になりやすいでしょう。
昇進におけるTOEICスコアの影響
グローバル化の進展に伴い、昇進の基準としてTOEICスコアを重視する企業が増えています。就職人気ランキングの上位企業に対する調査によれば、約6割の企業が「昇進・昇格の際に英語力を考慮する」または「将来的に考慮したい」と回答しています。
例えば村田製作所では昇格試験があり、合否の判断でTOEICスコアも考慮されるとしています。
また、昇進後に海外赴任や国際部門への異動が見込まれる場合は、TOEIC700-800点以上のスコアが必要とされるケースもあります。特に英語を日常業務で使用する業界では、英語力が昇進の鍵となることが多く、TOEICスコアがキャリアアップにおいて重要な要素となるでしょう。
参考:IIBC
TOEICスコア別で狙える業種
TOEICスコアはどれぐらいあったら、どんな業種に応募できるでしょうか。
- 600点以上でアピールが狙える業種
- 700点以上でアピールが狙える業種
- 800点以上でアピールが狙える業種
現在の自分のスコアと照らして、自分の希望する業種ならどのぐらいのスコアが必要かを確認してください。
600点以上でアピールが狙える業種
TOEIC600点は基礎的な英語力が身に付いているといれるレベルで、新卒採用で英語力をアピールできるスコアです。これ以下のスコアなら、履歴書に書かない方がよいといわれます。600点以上でアピールが狙える業種は、以下の通りです。
- 小売
- IT
- 物流
- 航空
小売や物流で輸出入に関わる業務や、航空業界のグランドスタッフなどは、600点で狙える職種です。600点以上を取得しておくことで、グローバル企業でのキャリア構築が可能になり、選択肢が大きく広がります。
ただし、これらの業界でも、職種によってはさらに高いスコアが求められます。例えば、国際部門や海外とのやりとりが多い職種では、700点以上が必要なケースもあります。
700点以上でアピールが狙える業種
TOEIC700点は、英語を使用して日常的なコミュニケーションができるレベルであり、国際部門で働くために最低限必要なスコアといわれます。企業内での昇進や海外赴任においては、700~750点が求められることもよくあります。700点以上で狙える業種は、以下の通りです。
- マスコミ(海外赴任を目指す場合)
- 商社
- 金融業界
また、IT業界でグローバルなプロジェクトに携わる場合や、航空業界で国際線を担当する職種でも、必要な語学力の目安はTOEIC700点以上とされています。外資系企業を目指すのに最低限必要なスコアも一般的に700点といわれ、700点を超えると選択肢が大きく広がります。
800点以上でアピールが狙える業種
TOEIC800点は、業務上で英語を活用できるレベルとされ、800点以上のスコアがあると、ハイレベルな企業への就職が可能になります。一部の大手企業で昇進や海外赴任のために求められるのが、800点です。例えば、楽天は入社までにTOEIC800点の取得を求めています。このように800点以上のスコアを持つことで、グローバル展開しているトップ企業でのキャリア形成が可能となります。
TOEICスコアを生かした就職・転職活動
TOEICスコアを生かした就職・転職活動について、以下のポイントで解説します。
- 志望企業に合わせた目標設定
- 転職市場におけるTOEICの評価
- 面接対策
志望企業に合わせた目標設定
志望企業が求めるTOEICスコアを事前に調査し、それに基づいて目標を設定しましょう。
既に企業が求めるスコアを達成している場合は、応募書類や面接でそのスコアを生かして、自分が担当できる業務を具体的に伝えることが重要です。一方、スコアがまだ満たない場合は、スコアアップを最優先の目標とします。例えば「〇月までにTOEIC〇〇点を取得する」など具体的な目標を決めて、公式問題集や参考書を活用してスコアアップを目指しましょう。なお、TOEICスコアを証明するために必要な「公式認定証」は試験日から30日以内に発送されます。TOEICは年に10回以上実施されていますが、就活に向けて計画的に受験することをおすすめします。
TOEICスコアを履歴書に記載する際のポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。
転職市場におけるTOEICの評価
転職市場では、TOEICのスコアが高いほど応募できる業種や職種の幅が広がります。
冒頭でも取り上げた2022年の「英語活用実態調査」によると、55.0%の企業が「社員の英語力の強化が必要」と回答しています。同等のスキルを持つ候補者が複数いる場合、職種によってはTOEICスコアがあれば選考で有利になるでしょう。
中途採用は即戦力が求められるため、新卒採用よりも高いレベルでの英語力が求められます。既に高いスコアを持っている場合は、それを武器として積極的にアピールし、スコアが不足している場合は目標を決めて、スコアアップに取り組みましょう。
面接対策
志望企業が求めるより上のスコアを持っている場合、面接で積極的にアピールしましょう。企業はスコアそのものだけでなく、「スコア達成までの努力」や「学習の動機」も評価します。例えば、スコアを上げるために工夫した勉強法や、入社後に英語力をどのように生かしたいかを具体的に伝えることが大切です。
また、外資系企業では英語面接が行われることもあります。面接では完璧な英語を話すことよりも、論理的に考えを伝える能力が評価されます。細かい文法を気にするよりも、伝えたいポイントを整理し、面接官に自分の意欲やビジョンをしっかり伝えましょう。
まとめ
TOEICスコアは多くの企業が採用の評価・参考にしており、自分の英語力を企業に示すための最大の武器です。高いスコアを既に持っている人は、自信をもって志望企業にアピールしましょう。まだ求められているスコアに達していない人は、まずは志望企業が求めるスコアを目指しましょう。
- TOEIC600点以上:英語力をアピールできるようになる
- TOEIC700点以上:グローバルなポジションを目指せる
- TOEIC800点以上:トップ企業で活躍する道が開ける
以上を参考に、自分が活躍したい業界と自分の現在のスコアを照らし合わせてみてください。
【Santaアルク】3分でできる英語力診断
AIが弱点・伸びしろ・TOEICスコアを予測
- Santaアルクを使って学習しているユーザーは世界で800万人以上!
- 20時間の学習で平均165点のスコアアップ実績
- AIがユーザーのTOEICスコア・弱点・伸びしろを診断し、個別最適化されたカリキュラムを提供
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。