サイト解析を使ったユーザビリティを収益に変える為のまとめ
それはサイト解析ツールによる分析です。
どこに誘導したいのか。
何をしてほしいのか。
そして、アクセス解析1つでどこまでやれるのか。
そこで今回はアクセス解析によるユーザビリティ向上について色々見て回ったので、その結果をまとめておきます。
非常に長くなってしまったので目次を作っておきます。
1.ユーザビリティの原点とは何だろう?
2.ユーザビリティ8つのガイドライン
3.Ajaxの参入で、より難しくなってきている?
4.解析と分析でユーザーの流れを作り変える
5.必ず見ておきたいWEBユーザビリティの為の5つのチェックリスト
6.広告に誘導する為の設計とは何なのか
7.わからなくなった。そんなときにはアクセス解析に戻ろう
ユーザビリティの原点とはなんだろう?
多くのWEBデザイナー達によって生成される様々なWEBサイトが存在する。
私は、恐らく自分で作ったときには、あまり固執しないかも知れない。というよりも、気づかないのかもしれない。
でも、相手のサイトを訪問したときには、これが良くわかる。
自分でよく使うサイトになればなるほど、これは・・・と思う事がある。
10 Usability Nightmares You Should Be Aware Ofで紹介されている4番目。
『わからないリンク』と言うのが、Top 10 Usability Blunders of the Big Playersから紹介されている。

1,3,4,6,7,11がリンク。
2,5,8,9,10が非リンクとなっている。
こういった視点を改めて考えたときに、ユーザビリティの大事な部分とは『カチっとならすクリック』行為が、ユーザーにとってわかりやすい返答を返す事ではないだろうかと感じます。引用すると
・非リンクテキストは大きくしたりするべきであり、他のリンク色に類似してはいけない。
・隣接するアイコンの横にあるテキストはリンクであるべき。
Top 10 Usability Blunders of the Big Players
次の項目で紹介する8つのガイドラインは、最低限守るべきユーザビリティを覚えておく事からはじめるために書き記しておきます。
ユーザビリティ8つのガイドライン
先日私がよく愛読しているサイト
smashingmagazine
で、『Webデザインの不快感』という記事が投稿されていました。
10 Usability Nightmares You Should Be Aware Of
このエントリの一番下に書かれていた8つのユーザビリティガイドラインを見てみます。
1.ポップアップを使用しない。
よく見かけますが、ポップアップじゃないからうちは大丈夫という、『
2.ユーザーの窓のサイズ変えない。
ブラウザーはいじるべきではない。
3.小さいフォント・サイズを使用しない。
小さなフォントは、短い文章も、読むために多くの時間を必要とする。
4.クリック先が予想できないリンクのテキスト。
リンクは精密であるべきです。リンク先が予測不可能なリンクは良いリンクとは言えません。
5.リンク切れを持ってはいけない。
行き止まりは、ブラウザを閉じられる確立が高い。
6.ほとんどのページであなたはアニメーションを持っている。
点滅アニメなどはユーザーの集中力を奪います。ユーザーの視点の誘導のための導入以外は、避けたほうが良いものです。
7.あなたへの連絡を簡単にする。
あなたのサイトの訪問者は、あなたに連絡を取りたいと思う人も多い。
連絡を取りたいと思ったときに、すぐにそのページから連絡が取れる状態が好ましい。
8.あなたのサイト内リンクは同じウィンドウで開く。
別窓であなたのサイトのリンクを開いてはいけない。
10 Usability Nightmares You Should Be Aware Of
Ajaxの参入で、より難しくなってきている?
ユーザビリティの権威とも言うべき博士。
Jakob Nielsen(ヤコブ・ニールセン)のサイトにおいても、今回、Ajaxのタブに関するユーザビリティガイドラインを発表されました。
こうして考えていけばいくほど、どうしたらいいのかという迷路に入るわけですが、実は私達WEB屋と言うのは、もうすこし単純に考えても良いというお話を受けました。Web上でダイアログコントロールを正しく使っているユーザ・インターフェイスを見かけることは滅多にない。
ラジオボタンやチェックボックス のように単純なものでさえ、正しく使われていないことが大半だ。
ドロップダウンメニュー に至ってはもっとひどい状態だし、Flashサイトを台無しにする 自作のスクロールバー も後を絶たない。
(中略)
Yahoo Financeのページでは、株式相場がリアルタイムで更新されており、変更部分の背景を点滅させて更新をユーザに知らせている。絶えず、画面上のあちこちが点滅していてユーザがうんざりするのも時間の問題だ。特に、売買高合計のように絶え間なく変動する数値の場合は尚更である。
できる からと言って、そうすべき というわけではない。
Alertbox: タブの正しい使い方 (2007年9月17日)
解析と分析でユーザーの流れを作り変える
そうなんです。
答えと言うのは単純で、ユーザーの解析がユーザビリティを向上させるという事につながると言うことなんです。
本来であれば、ユーザーがどこを見ているのかがわかるのがもっとも好ましいわけですが、私達に出来る事からまずはじめてみましょう。
一般的なアクセスアナライザはもちろんですが、そのほかで、もっとも導入価値が高いと思われるものは次の2つです。
crazyegg

こちらはユーザーのクリック形跡を完全に追跡するツールとして、かなり有名なツールです。

ユーザーがどの場所をクリックしようとしているのかがわかります。
どの場所をクリックするかがわかると言うのは非常に参考になります。
これによって、実はリンクでもなんでもないものが、大量にクリックされているかもしれないというユーザーの動向が丸裸になります。
このCrazyeggは、そのほか、どこから来たユーザーが、どこへ行くかも解析が可能です。

例えばGoogleから来たユーザーは、どのリンクをクリックしたのかという事を解析してくれます。
導入方法や、使い方は英語でも以下のサイトが日本語でわかりやすく説明してくれていますので参考に。
ユーザーがページのどこをクリックしたか解析するツール[to-R]
そしてもう1つ、これはAdSenseを使っているユーザーに向ける解析ツールです。
clickaider

これは以下のサイトで掲載されていますが、どんなWordで検索してきた人が、AdSenseに貢献しやすいかがわかります。
AdSenseのクリックを簡単にトラッキングできる『ClickAider』
さて、こうして取得する事ができた解析結果をどうすればよいのかを考えて見ましょう。
どこに誘導していきたいのか。リンクの旅を1つの物語としてストーリーを考えましょう
結論から言って、サイトを公開すると言う事は、完全な趣味ではない限り、何らかの収入を考えるのが普通です。
つまり、必ずと言っていいほど、ユーザーに対して、目的の行動をしてほしいという要求があります。
ショッピングサイトであれば
商品の説明を見てもらいたい、そして買ってもらいたい。
さらに砕いていけば、アンケートでも何でもいいから入力フォームに情報を入力してもらいたい。
自社サービスの宣伝をするサイトであれば
自社のプロフィールを持ってみてほしい。
自社のサービス案内ページを見て、何かあったらお問い合わせしてほしい。
WEBサービスであれば
WEBサービスを使ってほしい。
会員制であれば、登録して、コミュニティーに参加してほしい。
等など、色々な要望が発生します。
あなたがWEBデザイナであるならば、決してこの要望をスルーすることは出来ないでしょう。
どれだけサイトが良くても、これらの要望をかなえてあげる事こそがWEBのあるべき姿と言えるからです。
では、この要望をかなえる為に、アクセス解析を使って、どのようにユーザビリティを向上させていくかを考えて見ます。
必ず見ておきたいWEBユーザビリティの為の5つのチェックリスト
1.トップページでさようならは何割いるのか
これは最重要項目です。
あなたのWEBサイトのトップページから、一体何人の人がリンクを踏んでいるのかをまずはじめに知るべきなのです。
トップページの時点で、ユーザーを失っている場合、完璧にサイトデザインの設計ミスです。
・フォントが小さい
・FLASHメニューが使いにくい
・メニューが使いにくかったり
・なんのサイトかがわからない
・それ以降につなげる為の文章が少ない
・売りたいというパワーを使いすぎ
このあたりが、もっとも多い原因となっています。
まず、トップページから先のアクセス数が、極端に少ないという解析結果が出た場合は、現実を受け入れ、サイトの設計を変えていく事が大事です。
2.初めての訪問者の誘導は適切か
上の項目の中で、『それ以降につなげるための文章』と言うものに注目してみましょう。
これは、ある一定の小見出しとタイトル。そして説明をつけて、リンクによって次のページに進ませるために使うわけですが、ここはかなり重要です。
例えばコンテンツが4つある場合でも、一番最初に来た人には、このページをまず見てほしいと言うものがあるのが普通です。
まずは、そのページに対する誘導が正常に行われているのかを調査します。
Googleから来た訪問者や、Yahooからきた訪問者は、初めての訪問と言うケースは多いです。
先ほど解析ツールによって、検索エンジンからきた訪問者を、的確にそのページへ誘導し、このサイトは何なのか、他のサイトと何が違うのかを知ってもらう事で、WEBサイトに対する信頼が深まります。
3.トップページからいけるコンテンツと、初めての人を誘導するページには、同じメニューがあるか
つまり、サイトデザインが、ページが変わった事で全く違うものになっているサイトも多く見かけますが、これでは失敗します。
かならず上、及び、左側に、同一のメニューを表示させ、次へのステップがきちんと完了しているかどうかを調査しましょう。
初めての方のページを解析し、次に、どのコンテンツへ流れていくのかを調べます。
こうすることで、あなたのサイトがどのコンテンツに対して、もっとも誘導しているのかがわかるようになります。
これによって、どのコンテンツに力を入れるべきかが見えてくるため、クライアントに対する話の進め方にも違いが現れてくるでしょう。
4.商品の説明を見る労働を考えているか
製品の案内といっても、テキストである場合が多い。
製品の画像がある場合は、必ず画像を使い、ものの数秒である程度の概要がつかめるようにする事が大切です。
これは、たとえテキストであっても、画像テキストを作ってあげるだけで、抜群の効果を発揮します。
製品は一覧表示→詳細商品説明が好ましい。
この際、製品一覧表示でも買い物が出来る状態がもっとも好ましい。
こうした解析をしておく事が重要な理由が1つあります。
それは、一覧表示した場合、上に表示されるものがもっともクリック率が高くなる傾向にあるからです。
また、製品が売れる売れないだけで解析し、人気商品を割り出すのはWEB屋の仕事ではありません。
例えば一覧表示の説明力が弱いだけで、次のページ(詳細ページ)へ誘導する事が出来ないのかもしれません。
これは私も過去に、何度も失敗をしてきています。
人気がある商品を一段下げ、人気の無い商品を上に差し込んで見ましょう。
そして、メッセージを変えてみて、クリック率が変わるかどうかを見てみる事で、始めて人気があるのか、ないのかがわります。
5.どのページからでもお問い合わせできる状態か
リンクストーリーを考えたとき、誘導したいリンクへの適切な配慮があれば、次のページへ誘導する事はそんなに難しいことではありません。
ところが、ある詳細なページを見ても、もう少し直接聞きたいというユーザーがたくさんいます。
この場合、右上にお問い合わせはこちらと付け加えておくだけでなく、大胆にページのど真ん中に設置しても大して害はありません。
ブログで言うところの、記事を見終わったらコメントフォーム、という流れというイメージです。
そこにお問い合わせフォームがあるだけで、お問い合わせの量は確実に増えました。
また、そのフォームをクリックしているユーザーが、どのサーチエンジンから訪問してきているのかも、先ほどのツールで解析できます。
広告に誘導する為の設計とは何なのか
アクセス解析によって、サイトの中の誘導をスムーズにする事ができます。
ところが、こったデザインを組んだときに、広告に対しての誘導とはどのようなものになるのだろうか。
本当に誘導したいはずのリンクが、バナー画像のようになっていた場合、クリック率が大幅に下がる事に気がつきました。
これは何度も訪問しているユーザーに対しての結果です。
逆に検索エンジンから訪れたユーザーには、非常にバナー画像は効果的でした。
では誘導をスムーズにするためのものとはどのようなものなのか。
1997年にも、似たような知見の公言を控えたことがあった。
OK ボタンとキャンセル ボタンをそれっぽく並べたダイアログボックス風のバナー広告はユーザにクリックしてもらいやすい、という事実である。
“インターネット接続に失敗しました。”のようなシステムからのメッセージが表示されるわけではなく、そのバナーにはダイアログボックスの画像が貼られているだけで、「閉じる」ボタンをクリックすると、ダイアログボックスが閉じるどころか、広告主のサイトへと飛ばされてしまう。
ユーザを惑わす、倫理に反する広告であり、最も嫌われる広告テクニックの第3位にあげられる。ユーザには、1997年のうちに既に無視されるようになったが、未だに普通のバナー広告よりもクリック率は高い。
バナーは目に入らないのか?~新旧の知見(2007.8.20)
こちらの書いてあることを要約すれば、バナーとわからないものを広告とすることでクリック単価が上がるそうですが、これは恨みを買う事もあるという事。広告が、ウェブサイトの構成要素と見紛うものになっていれば、多くのユーザが目を向けるようになる。
サイト上の他の構成要素と似せるだけではなく、それが表示されている場所が何か特別なセクションを成しているかの如く見せること。
(中略)
倫理に反するか否かは、広告がどの程度コンテンツになりすましているかによる。行き過ぎは禁物だ。ユーザを欺き、恨みを買うことになりかねないからだ。倫理に反する広告はユーザの目を惹きはするだろう。
しかし、倫理的にやった方が、長い目で見れば上顧客を育むことに繋がるはずだ。
バナーは目に入らないのか?~新旧の知見(2007.8.20)
長い目で見た場合、やはり広告に対する誘導方法と言うのは、SEOとコンテンツの作り方にあると考えています。
コンテンツ性の薄いサイトはアクセスがあったとしてもほとんど収益はありません。
また、自社のメインコンテンツへ誘導するための広告と言うのも発生しますが、この場合もそれが広告っぽくなることで、アクセス数が減る事があります。
こうして、デザイン性、広告性を高めれば高めるほど失敗したという例は結構あります。典型的なユーザが抱いているおもな問いへの答えは、トップページの一番上に大きな赤い文字で書いておけば、高度なユーザビリティが保証できるというのは本当だろうか? いや、それは間違いだ ―― 少なくともアメリカ合衆国国勢調査局のホームページに関しては誤りだった。このサイトでは、大きな赤い文字で表示された現在の全国人口を86%のユーザが見つけそこなったのである。
Alertbox: 派手な体裁、奇をてらった言い回し = まるで広告 = 無視される始末に(2007年9月4日)
キャンペーンなどを行うときにこういった事態に良く陥りましたが、この記事を見てようやく気がつきましたね。
わからなくなった。そんなときにはアクセス解析に戻ろう
WEBサイトの設計と言うのはかなり面倒な作業です。
これをWEBデザイナー一人が受け持つと言うのはとても大変な事。
WEBリフォームを頼まれたお客様の一人で、65万でWEBサイトを業者に作成してもらい、自社からの更新は掲示板のみというクライアントがいました。
このクライアントが私に相談してきたのはつい3ヶ月前ですが、アナライザによってむき出しになったのは、トップページから先に進む人がほとんどいないという状況です。
クライアントは、トップページのFLASHという見た目に感動し、それを受け入れたわけですが、コンテンツはトップFLASHの映像を見てからでなければなりません。
また、何度訪問しても出てくるFLASHにスキップ機能すらありません。
それでもクライアントはトップFLASHが大変気に入っているため、むやみに『それをはずします』とは言えません。
ですが、3か月分のアナライザの結果さえ見てもらえれば、否が応でも、ご自身からはずすと言ってきました。
どれだけデザインが請っていても、クライアント自身が満足していても、意味がないという事があります。
それをユーザビリティとして解決するためには、やはりサイトの解析がもっとも単純であり、わかりやすい結果です。
もしも、ユーザビリティについてわからなくなったと言う時がやってきたら、一度アクセス解析による分析をお勧めいたします。
きっとユーザビリティの向上に役立つと思いますよ。