あなたのプレゼンを成功に導くリハーサル方法
2012年11月08日 公開
セミナーや講演等、たまに行うわけですが、講演で気をつけている点をまとめてみようかと思います。
また、プレゼンなんかをする方にも同じ事が言える部分もあるかなと。
実際に3年半ほど、毎日ひたすら講演し続けるお師匠の元、北海道をぐーぐるぐる回る仕事をしていまして、その時に色々教わっていたことが、今になって役に立つことになるとは、人生とはわからないものです。
プレゼンの勝負は始まる前に既についている
ブログと違って講演やセミナーの場合、プレゼンする前に既に勝負がついているわけですね。
当日は開始前にもう終わってるんです。
色んな仕事は「段取り八分」という言葉があるように、ほとんどの作業は開始前の8割の段取りが勝負を決めるますが、「講演はもう段取り十分」といってもいんじゃないかなと。
なので、プレゼン中はもはやお客さんと楽しむしかすることがない状態になるわけです。
ここかなり重要だと思ってるんですよね。
いざ本番前はかなり緊張するわけですが、本番が始まってしまったらだいたい5分くらいで緊張はどこかへ飛んでいきます。
最初にクリアしなければならない課題は、緊張し過ぎて全てダメになることです。
この問題をいち早くクリアしなければ、プレゼンの成功はありません。
緊張する要素を確実に取り除く
私は結構なあがり症でして「全然緊張してるようには見えない」とか、「場馴れしてる」とか講演の時、皆さんがつぶやいたツイートなんかを見ると書かれてくれているんですが、開始前は極度の緊張状態にあります。
なので緊張しないというのは完全には嘘になるわけですが、しゃべりだしたらあんな感じです。
その理由はとても簡単でして、そこに至るまで相当練習してるということです。
大体7日間。一本しゃべる時間は通常40分から1時間です。リハーサルはだいたい1日3回で時間をびったりとはかりながら行います。
というかそれくらいやっていれば、もはや本番になると後は話すだけになります。そんな練習せずともスラスラ話せる人も多くいると思うんですけど、あがり症なもんでしてこれくらいやっておかないと不安が拭えないわけですね。
みなさんもプレゼンが上手くいかないと思ったらこの時間を増やしてみると案外スムーズに事が運ぶようになるはずです。
スライドにテキストを埋め過ぎない、ホワイトボード最強
これはもうプレゼンのライフハック記事が大好きな皆さんは、よくご存知の事だと思います。なのでほぼ割愛して箇条書きで。
- 文字で全部わかるならブログ(資料)でいい
- そこでしか体験出来ない事を体験して欲しいから
- 文字を読んでる間私の話が聞こえなくなるから
- 資料で決めてしまったら、レールから外れる事ができなくなるから
- 同じ話しをしたくないから
4つ目の「資料で決めてしまったらレールから外れることができなくなるから」に関してだけ補足しておきます。
だいたいセミナーで話す時はより面白いものにしたいと考えますよね。
例えば前日にちょっとだれかと話しをして、「あれ、、こっちのほうが面白くなるな」と思ったら、その話しを追加して、どこかを削るわけですよ。でも資料って1週間前くらいにはほとんど完成してなきゃいけないもんだから、そういう意味でギリギリ変更が効かないんですよね。
というわけで資料に書いてあることしかしゃべらないという状態にならないように、ある程度アバウトな流れと基本線だけを残してほとんどは話しを聞くことで物語が完結するように作ってます。
実際に話すという事がメインであれば、正直ホワイトボードが最強です。
字を書いている時の沈黙は私と同じ字をなぞって見ていけます。その時は文字に集中し、そのテキストについてこれから話すわけですから、聞き手は話し手の方に集中しやすいです。
ただ、ホワイトボード式は全て丸暗記が必要になります。スライドショーで重要なテキストだけ出すのは、自分がそのキーワードを見て、話す内容を思い出すことが出来るという点では、一長一短ではあります。これは、練習コストに直結する問題ですね。
リハーサルで気をつけるべきこと
時間をぴったりはかるのは当然だと思います。
しかし、それ以外にリハーサルで一番気をつけている点があります。
いわゆる「間」です。
デザインで言うところのホワイトスペースであったり、余白であったりするもので、かなり重要な要素だと考えています。
この使い所は3つあります。
1)聞き手が理解するための時間
これは講演を聞いている人の知識に左右されるため、絶対とは言い切れませんが、「話しを自分なりに理解するための時間」というのはかなり重要なポイントだと考えています。
テンポよく進めることはとても大事なことですが、一つ一つの区切りには、大きな間が求められます。
話がうまいなと思う人は、ここで理解していない人に考える時間を作るため、わりとどうでもいい雑談を挟む人もいますよね。既に理解している人は雑談に意識をむけさせ、まだ頭の中で考えている人には、重要な事はまだ話さないというやり方です。
さすがにその領域までは全く達することはできませんが・・・。
そのあたりも、リハーサル時に時間調整をして、空白の時間を確保し、しゃべる内容をカットするといった作業をおこなったりします。
2)意識を向けてもらうための時間
講演が上手く行った時、行かなかった時の違いは、やはりこの空白が左右するかなと感じます。
例えば前回のCSSNiteでの前半に、
「みなさんはWeb制作の価値とはなにかを説明できますか」
「魅力的なフリーランスの人と、そうではなく、うだつのあがらないフリーランスの方の違いを説明できますか」
という話しをしたのですが、この僅かなパーツを繋ぐ時間は、3~4秒の間が理想的だと言えます。
たった4秒?
そう思うかもしれませんが、話し手が突然3~4秒だまると、実はかなり長い時間に感じます。
変なところに4秒いれるイメージをしてみてください。
「魅力的なフリーランスの人と(4秒)そうではなく、うだつのあがらないフリーランスの方の違いを説明できますか」
これだと相当テンポが悪くなります。また、聞き手に対して、かなり余計な事を考えさせてしまい、かえって混乱を招く結果となります。
しかし以下の場合であれば、聞いている人の意識をこちらに向いてもらうことが出来ます。
「みなさんはWeb制作の価値とはなにかを説明できますか」(3秒)
「魅力的なフリーランスの人と、そうではなく、うだつのあがらないフリーランスの方の違いを説明できますか」(3秒)
実際にこの3秒の間で答えを出してもらうことが目的ではありません。
「えっ」「なにいってんだろこの人」「なんだろう価値って」
このような口にはださないけど、心の中で考える時間をハックすることで、私の話にあまり興味の無かった人も、こちらに意識を向けてもらうことが出来ます。
これもなるべくコンスタントに盛り込み、飽きが来そうなところをカバーできるように時間調節していきます。
3)会場を制圧するため
これは基本的にリハーサルに盛り込むものではありませんので、時間調節とはほとんど関係ないのですが、極端な間の使い方として。
私にセミナーの何たるかを4年にわたり教えてくれたお師匠のやり方ですが、全く話しを聞き入れる体制になっていない会場では、しゃべるのではなく「完全な沈黙」が有効といいます。
完全な沈黙とは相手に想像する時間を与えます。
これによって、相手は勝手に「あれ、この人怒ってるのかな」と考えるそうです。これまでこのような会場に出会ったことはないので、どれほどの威力があるのかはわかりませんが、空白の使い方の何たるかを始めて教わったときは少し感動というか衝撃的でした。
あと、数人のスピーカーが集まる時にお聞きした方法では、「わざと小さな声でしゃべりはじめる」という方法。
声が小さいから、私語できない状態にするという事ですね。
リハーサルのまとめ
リハーサルでは、この(1)と(2)を可能な限り、きちんと出来るように練習します。勿論、話に意識がいきすぎて、本番で忘れてしまうこともあるんですけど、本番で間を考えるよりずっと楽だと思います。
要するに「この話しをすると、理解にはどれくらいの時間がかかるのか」を考えて、そこに間をどれだけ作るかというのがリハーサルにおける重要なポイントだと言えます。
あと、ゆっくり話せば良いという意見もよく聞きますが、これはかなり大きな間違いです。これまで、多くの講師の人の話しを聞きましたが、話が上手い人は、早口でも滑舌さえ良ければ全く問題ありません。
どんなにマシンガントークの人でも、華麗に間を挟む事で、こちらの意識を奪い続けます。
逆に言えば、早口でもゆっくり話す人でも、間を開けずに話したいことだけ話し続ける人の場合は、強力な眠気を誘いますよね。測定する講演時間というのは、話す時間ではなく、聞き手に理解してもらう時間というのを意識することが一番大切じゃないかなと思います。
つまり、「1時間の公演時間でしゃべる事」を考えるのではなく「たった1時間で理解してもらわなければならないミッションを考える」と捉えると、また違ったプレゼンが出来るかと思います。
皆さんはどんな事に気をつけているんですかね。
それでは、また。