コンサルの門をたたく人に
「本気」で応える
フォルトナ株式会社・栗山卓也さん
HeadHunter of the Year 2024
総合MVP
エグゼクティブ支援人数部門 1位
金融・コンサルティング部門 MVP
栗山 卓也
フォルトナ株式会社 ディレクター
所属するヘッドハンターの約半数がコンサルティングファーム出身者で、「コンサルタント経験者による転職支援」を強みとする、フォルトナ株式会社。「相談者のライフパートナーになる」「オールフォルトナ」といった目標の下、コンサルティングファームを中心にした転職支援を行っています。
doda X主催の「HeadHunter of the Year 2024」において、今年度総合MVP、エグゼクティブ 支援人数部門第1位、金融・コンサルティング部門MVPを受賞したのが、同社ディレクターの栗山卓也さん。総合MVPは昨年度に続き二度目の受賞となっています。エージェントの仕事の魅力は「人と人に介在できること」と語る栗山さんに、コンサルティングファームを志望する転職希望者に向けた支援について伺いました。
エージェントの魅力は
「人と人に介在できる」こと
—— 栗山さんがキャリア支援の仕事を始めた経緯を教えてください。
前職で自分の市場価値に危機感を抱き、転職活動を始めたことがきっかけです。
その当時はメガベンチャーで働いており、ビッグデータを用いて担当メーカーのブランド販売戦略の立案を行っていました。報酬などは申し分なかったのですが、ルーティンワークが多く、次第に誰でもできる仕事だと感じるようになってしまって。
そこで今後のキャリアや転職先について相談したのが、現在所属しているフォルトナでした。面談を担当した副社長に誘われたのがきっかけで、この仕事を始めました。もともとキャリア支援の仕事は選択肢になかったのですが、それを通して誰かの人生に強く関われる仕事なのだと捉えたら興味が湧いてきたんです。
メガベンチャーの前に従事していたコンサルタントの仕事でも、「大手企業の経営戦略」といった案件よりも、「自動車販売店の営業支援」といった、現場の人と密に関わる案件のほうが高いモチベーションで取り組めていました。支援していた営業の人たちが次々と成約し、私も現場と一緒に盛り上がれるのがうれしいんです。
栗山卓也さん
—— フォルトナはヘッドハンターの半数がコンサル業界出身の、コンサルティングファーム支援を得意とするエージェントと伺いました。
近年はスタートアップやベンチャー、大手事業会社への転職支援も手掛けるようになりましたが、コンサルティングファームを得意とするエージェントであることには変わりありません。私も、過去の就業経験を活かして、コンサルティングファームを得意領域としています。
コンサルティングファームで研鑽を積むことにより、事業会社へ転職したり、自分で会社を立ち上げたりするときにも役に立つような「ポータブルスキル(どのような職種でも活かせる、持ち運びできるスキル)」が身につきます。
私自身も、メガベンチャーや事業会社での就業経験がありますが、自身のキャリアを構築する上で最も役立ったのは、コンサルティングファームで得た経験でした。その実体験をもとにして、コンサルティングファームで求められるスキルや、そこで働くことで市場価値を上げる方法をご相談者様に伝えています。
—— 他社のコンサルティングファームに特化した転職エージェントと比較して、フォルトナの強みはどんなところでしょうか。
大きく3つの特長があります。1つ目は、ヘッドハンター一人ひとりが「ご相談者様のライフパートナー」としてサポートしていることです。20代後半に転職支援でご一緒した方が、数年後、再びキャリアに迷ったときに連絡をいただく…ということもあります。
私も、キャリア支援と同じくらい「人の世話を焼きたい」気持ちが人一倍強いんです。転職支援はもちろんのこと、副業や起業のご相談を受けるなど、キャリアを軸にした中長期的な支援を意識して行いたいと思っています。
2つ目は「オールフォルトナ」という企業文化があることです。基本的にはヘッドハンター1人が担当としてご相談者様の支援に当たりますが、その要望や目標を実現するため、必要に応じて社内の他のヘッドハンターと連携することもあります。戦略ファームを目指す方には手厚いケース面接対策を、私だけでなく複数の目で行っていくこともあれば、ベンチャー企業を目指す方には領域に詳しいヘッドハンターを紹介する…といった具合ですね。
3つ目は、「KPI(ノルマ)がないこと」です。面談数や売り上げにノルマが課せられているエージェントも少なくないと聞きますが、フォルトナではそういうことがありません。
面接対策もご相談者様が納得するまで何度でも行いますし、やみくもにスカウトメールを打ったりすることもありません。ヘッドハンターは数に追われることなく、良い精神状態で面接が行える。その結果、一人ひとりをしっかりフォローできているのだと思います。
大事なのは、コンサルで働く
「マインドセット」
—— 栗山さんによる、キャリア支援の大きな流れを教えてください。
ご相談者様に最初にお願いするのは、初回面談の前にアンケートに記入してもらうことです。アンケートでは「現在の年収と希望年収」や「現職で気になっていること」「今感じているジレンマ」などを細かく書いてもらって、それを読んでお話をしながら、目標を明確にしていくことにじっくり時間を使います。
例えばアンケートで、起業という目標に対して、転職希望先に大手企業を設定している方がいたとします。しかし本気で起業を目指すなら、大手企業ではなく、起業家とともに働けるスタートアップやベンチャー企業に転職するのが「キャリアの次のステップ」としてはベターかも、とご相談者様の方の性格などさまざまな要素を踏まえて壁打ちをしていくわけです。アンケートを掘り下げていくことで、こういった「目標と希望の矛盾」に気づくことができるんです。
目標と希望、それぞれの優先度を考えながら「目標から逆算すると、その方は現在どの場所にいるのか」「ネクストステップはどこを目指すべきか」など、その方の希望を聞き、目線合わせする時間は特に大事にしています。
—— 単に転職先を紹介するのではなく、その先の何を目標にするのかを明確にしていくんですね。
そうですね。強い目標を持っている人は、多少タフな環境であっても、折れることなく、成長し続けられる傾向が強いと思っています。
またコンサルティングファームへの転職では、業界や企業のカルチャーとご相談者様、両者の相性がどうしても良くない場合も見受けられます。
例えば戦略コンサルティングファームでは、「短期間で成果を出す」働き方が求められます。それに対応できるご本人の能力や「タフさ」があるかどうかは、企業とのミスマッチを防ぐためにも、面談や模擬面接を通じて私たちも見極めなければいけない要素。ご相談者様と定期的に面談をすることで、「その方が、どんなキャリアを選べばよいのか」もより具体的になっていくんです。
—— 面接対策の中で「コンサルティングファームと合わない」と感じた転職希望者とは、どのようなお話をされるのでしょうか。
希望する企業に対してご本人のスキルや能力、マインドセットに一定の懸念を感じたら、「転職に至るまで、より集中的な研鑽が必要かもしれません」「それでもガッツを出して頑張れますか?」と正直にお伝えします。
例えば模擬面接をする予定の日、お会いしてから「実はあんまり準備できていないんです」と話すご相談者様が時々いらっしゃいます。私はそんなとき、「では、今日やっても意味がないですね」と、すぐに面接の日時変更を提案するんです。
その方には十分な時間をかけられない事情があるのだと思うのですが…。コンサルティングファームで働くのであれば、忙しいときであっても「与えられた課題を、時間内にやり切る」ことができないといけません。逆にこれを「つらい」と感じるのであれば、志望先を考え直すのも選択肢の一つです。
転職のために頑張れる人は、どんなに忙しくても、常に私の想像を上回る量の準備をしてきてくださいます。コンサルティングファームで働くためには、こういったマインドセットを身につけることも大事なのだと思っています。
—— そうやって本気度を確かめた上で、本格的な面接対策を行っていくんですね。
以前、「一刻も早く内定が欲しい」というご相談者様とご一緒したことがありました。ご要望に沿って企業へ応募書類は出したものの、同時に面接対策も急がないといけない。そこでその方に提案したのが、「週3回のペースで課題をこなしながら、超短期間で面接対策をする」ことでした。
ご本人にやることを説明しながら「週3回、私と会えますか?」と聞いたら、「やります」と。結局その方は1週間で集中的に課題をクリアして、十分な準備をした上で翌週の面接に臨まれました。自分の目標に向けて「本気で頑張る」と決めた人に対しては、私自身も本気になって、目標に到達するため最良の支援をしたいですね。
ご相談者様へ、
真にコミットした支援をしたい
—— これまでに栗山さんが手掛けたもので、印象に残っているご支援はありますか?
「同業界の出身であること」を必須条件とするコンサルティングファームに、コンサル出身でないご相談者様を紹介したことがありました。
その方は普段は飛び込み営業で案件を獲得していくようなお仕事をされていて、案件の開拓力だけでなく圧倒的なバイタリティーをお持ちの方です。話を聞いていく中で、「この人なら、未経験でも通用しそう」と思ったんですよね。企業には「条件は満たしていないのですが、お会いいただけませんか?」と相談して、なんとか面接の機会をつくってもらいました。
普通だったらなかなかできないご相談者様と企業とのマッチングですが、それぞれをつなげるのも楽しいですし、さらにそれが「採用」という形になったら、これほどうれしいことはないですね。
—— 逆に、希望を変えてもらったりすることはあるのでしょうか。
基本的には、ご相談者様の希望を100%かなえられるように全力を尽くします。しかし、相手の意思を尊重しながらも「転職はやめたほうがいいです」とお伝えすることもあります。
以前、努力はしていたもののコンサルの面接でなかなかうまくいかず、転職活動に苦戦しているご相談者様がいました。本人はまだトライしたいとおっしゃっていたのですが、「一度じっくり考えてみてください」と、お伝えしました。
今後の人生設計も踏まえ、現在も十分良い環境で働けているのに以前の環境や前職で得た経験をなげうってまで「コンサルへの転職」を成し遂げたいのか、よく考えてもらうことにしたのです。
少しのインターバルの後、最終的にはご本人が「今の会社でキャリアをつくっていきたい」と結論を出され、「私も、それがいいと思います」と率直な意見をお伝えしました。
本人の気持ちやキャリアを考えると、「コンサルティングファームへの転職」が必ずしも正解でない場合もあります。そんなときにストップを出し、他の選択肢を示せることも、「人にコミットした支援」の一つなのだと思っています。
転職を、新しい価値観に触れる
きっかけにしてほしい
—— 最近の、コンサルティングファーム業界の求人トレンド、ならびに転職希望者のニーズに変化はありますか。
コロナ下では未経験者の募集が多かったのですが、今は専門性が高く未経験者を育成するような中堅・ベテランのニーズが高まっています。
一方でご相談者様のニーズでは、新たなフィールドでの活躍を求めて、大手コンサルティングファームからベンチャー系のコンサルティングファームへの転職を考える方が増えてきた印象があります。
あとは20代などの比較的若い方で、大手事業会社からコンサルタントへの転職を希望する方も一定数いらっしゃいます。その理由を聞くと、年収以上に「今後のキャリアのことを考えて」と。私はそれを聞いて、「素晴らしい!」と、同じころの私と比較し、若くして先を見据えた考えを持っていることに驚嘆してしまうことも。
正直なところ、私が「将来のこと」を真剣に考えるようになったのは30代に差し掛かってからだったと思うんです。どうしてそんなに早い時期から「先のこと」や「今後のキャリア」を考えられるのか、感心してしまいます。
—— スカウトサービスを利用している転職希望者に向けて、転職活動を成功させるコツや、おすすめの利用法がありましたら教えてください。
プロのヘッドハンターは総じて実績と経験値を持っているので、まず複数人のヘッドハンターと話をしてみて、そこから自分に相性の合う人を選ぶのがいいと思います。
初回の面談だけで、「この人にお世話になろう」と決断してしまうのは早計かもしれません。人によっては正反対のアドバイスをされることもあるので、いろいろなヘッドハンターから意見を聞いて、それを比較するのがよいですね。
—— 最後に、これからコンサルティングファームへの転職を考えている方へ、メッセージをいただけますか。
私はこれまで企業を4社経験してきましたが、転職して正解だったと思っています。自分の市場価値が分かる以前に、人的ネットワークが広がり、自分自身に新たな価値観をもたらしてくれました。
ただ私の場合は、自分の強み(専門性)や目標を深く考えていたというよりも、その時々で感じていたジレンマを解消するために転職をしていたなと、振り返って思います。キャリアプランをしっかりと立てて転職活動を行うことが大切であり、言ってしまえば、ご相談者様は私を反面教師にしてキャリアをつくってほしい、と思っているくらいです。
ちなみに、私のキャリアが失敗だったとは思っておらず、むしろ大正解だったと振り返っています!(笑)
ただ、とっても運が良かっただけだと感じているので、私自身のことを振り返って“今だから分かる気づき”を、私は支援の中で共有したいのです。
ですので、コンサルティングファームへの転職を考えている方はもちろん、今後のキャリアに悩みを抱えている方も、一度お声がけください。新たな気づきにつながるナレッジシェアを、僭越ながらさせていただけるかと思います。
文=西谷 忠和/写真=舛元 清香/編集=伊藤 駿(ノオト)
※各記事の内容や経歴は、インタビュー当時のものです。