「AIがロールシャッハテストをしたらどうなる?」画像を見るのではなくパターン認識するAIは、人間特有の内面的葛藤を再現できない

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ロールシャッハテスト用の画像例(画像:Adobe Fireflyで生成)
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ロールシャッハテストは人の心の内側をのぞき、分析するために、いまから100年以上前に考案された手法だ。では、ここ数年で、人の知能を超えそうなレベルにまで高度化した大規模言語モデル搭載のAIチャットボットに、ロールシャッハテストを行ったら、どのような反応を返すのだろうか?

心理的要素を投影するロールシャッハテスト

人の思考過程や、抱える心理的な障害を推定するために用いられる手法のひとつに、ロールシャッハテストがある。スイスの精神科医であるヘルマン・ロールシャッハが1920年代に考案したこのテストは、10枚の紙にインクを垂らし、それを2つ折りにして開いたときに現れるランダムな模様が何に見えるかを被験者から聴取することで、その思考を探るヒントとして分析する。

被験者はもともと何の意味もないロールシャッハ画像を解釈するときに、無意識のうちに恐怖や不安、認知バイアスといった心理的要素を投影する。ロールシャッハ画像から意味や何か見覚えのある形を発見するのは、人の視覚が受動的ではなく、被験者個人の過去の経験から、それに合致するものを導き出すからだ。

では、人工知能(AI)に、この心理的な、人の内面を知るためのテストを行わせてみたら、どのような答えが帰ってくるのだろうか。ここ数年の著しい進歩によって、AIはまるで生身の人間のようにユーザーと会話ができるようになってきた。さらには会話だけでなく、画像や映像を解釈し、また描き出すことも可能になっている。

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