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舐めないように注意を!ペットに外用薬を使う時に気をつけたいこと

2024.10.06

秋の花粉症の時期は、ペットも皮膚病が増える傾向が見られます。

また、乾燥する冬には、皮膚に痒みがでることも。今回はペットの外用薬について、ホームドクターとして活躍中のひびき動物病院院長岡田響先生に聞いてみた。

外用薬の基本をおさえておこう

――岡田先生、ごく簡単に、ペットの外用薬について教えてください。特に皮膚に塗る薬とはどんなものがありますか?

岡田先生 外用薬というと、主に塗る薬のイメージだと思うのですが、点眼薬、吸入薬や吸引薬、座薬など、一般的に飲ませる薬以外は外用薬に含まれます。

質問の皮膚に塗る薬ですが、軟膏タイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、液体だと、水溶性のものと油性のものがあったり、スプレータイプやミストタイプもあります。また、シャンプーのように利用するものや、いわゆる薬用シャンプーなどあります。ウエットティッシュや汗拭きシートのような使い捨てのウェットシートタイプのものもあります。

外用薬は、治療用に使うものと、お手入れ用に使うもの、この二つに分けて考えるほうがいいですよ。

――わかりました。では、今回は治療用の塗り薬についてですが、人間では傷や皮膚の外傷に使いますが、ペットではどんな時に処方されますか

岡田先生 外用薬はペットでも皮膚や耳のトラブルによく使います。ケガの消毒のように、外傷の時も使いますが、どちらかといえば(ケガよりも)皮膚や耳のトラブルで利用する方が一般的かもしれません。

近年ではペットも高齢化が珍しくないため、寝たきりの介護生活になる子もいて、褥瘡(床ずれ)のケアに使うケースも増えてきました。

――先生から治療用に外用薬を処方されたら、使い切った方が良いのでしょうか、それとも次に症状が出た時に使っても良いですか?

岡田先生 治療用に使うものでは、病気の程度と使用目的によりますので、使用する量や頻度、期間については「その時に獣医師が出す指示に従う」ことが必要になると思います。

経過によって治療内容の変更がある事も考えられるので、一言で言えば、病状次第です。継続かもしれないし、終了かもしれません。

外用薬は舐めないように注意する

――外用薬を処方された時の注意点ですが、ペットが塗ったところを舐めてしまったらどうしたらよいでしょうか?最近、発毛剤に含まれるミノキシジルを舐めた猫が死んでしまった事例(注1)を知って、とても心配しています。

岡田先生 なんと言っても、ヒトとペットで大きく違うのが、外用薬を塗っても舐めてしまうことを考えなくてはならないことでしょうね。

舐めてしまうと効果は激減してしまいますし、口腔内からそのまま吸収される薬も少なくありません。皮膚から吸収される薬の量と、飲み込んで吸収される量が同じとも限りません。

舐めさせないように注意しながら使ってもらうのですが、どこかで舐めてしまっているケースは、たまにあります。

以前、足の指間炎で外用薬をお出しした犬の飼い主さんが、薬をつけても舐めてしまうからと言って、つける、舐める、つける、舐めるを一日に何度か繰り返していた方がいらっしゃいました。塗られたワンコが舐めて薬を大量に摂取することは考えにくいのですが、お水を飲む量が増えたり、尿の量が増えたりしていたと飼い主さんから聞きました。このように、局所効果を期待して塗るのに、他の副作用が出てしまった経験があります。

一般的に、外用薬の安全性試験において、舐めた時にどうなるか?という動物実験などは行われません。そのため、舐めてしまった時の安全性が確認されているものというのは、まずないだろう、と思います。メーカーの安全保証もありません。

もちろん危険な薬ばかりではありませんが、動物用だから舐めても大丈夫、という認識はしないでください。ですから「舐めてしまったらどうしたら良いでしょう?」という質問に対しては「舐めさせない」ことが大事です。

舐める子にどうしても塗る必要がある場合は、エリザベスカラーをつけたりして使用することを考えましょう。

ネコやウサギやハムスター、インコなどでは、たいてい外用薬を塗った直後から、自分の体を傷つけても相当な勢いで舐めまくります。場合によっては噛みちぎる子もいるので、私はあまり積極的には外用薬をつかっていません。もちろん、犬でも舐めてしまうのは珍しいことではありません。基本的に動物たちは塗り薬を舐めないようにする、という意識はもっていないのです。

――なるほど、「舐めたらどうするか」ではなく「舐めないようにする」なのですね。では、実際に皮膚に塗る時の注意があったら教えてください。

岡田先生 ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、その他動物、みんな皮膚の厚さが違うんです。基本的に野生の環境で素早く動くとか飛ぶためには体は軽くする必要があり皮膚も薄い動物もいますし、全身に毛のある動物よりも、全身には毛がないヒトの方が皮膚が厚い、ヒトは汗をたくさんかくけど動物は皮膚からの汗はとても少ない、など皮膚構造は似ているけれどちょっと違うんです。だから、同じ薬を使うにしても、効き方は同じではありません。

なので、決まった量でも、吸収される速度や塗る範囲によって、効き始める時間がばらつく、と思っておいた方がいいでしょう。荒れている皮膚ではさらに違いが出やすいでしょう。

ヒトですと、肌が弱い方や金属アレルギーなど、敏感肌であることは、本人が認識しているでしょうし、医師に伝えて治療のヒントにされるでしょう。でも、ペットは話ができないので、症状や経過の判断は見た目と行動観察で想像するしかありません。薬との接触も、どのくらい気をつけないといけないのか、個人差と飼主差のようなものがありすぎるので、一概にこうと言えない部分があります。

なので、実際にやってみてどうか、というケースも少なくないので、量は守りながらやってみたところで何か不具合があった場合には、速やかに利用を止めていただく必要があると思います。

ヒトの薬とペットの薬を混同させない

――ということは、塗った後の状態についても、飼い主さんが把握しておく必要がありますね。次に、保管場所の注意点について教えてください。

岡田先生 開封前はそれほど指定がないものが多い気がしますが、要冷蔵の薬もあります。

通常は常温での保管が一般的ですが、薬によっては「冷蔵庫で補完してください」と言われる場合があります。その時はビニールなどに入れて、食品の匂いが付かないように冷蔵保管しておきましょう。

常温保管でも、なるべく高温・多湿な場所を避け、直射日光が当たらない所に保管しておきましょう。今年の夏は大変暑かったので、部屋の中でも35度を超すようなケースがあったかもしれません。そうした場合はなるべく室内でも冷暗所に置いて保管しましょう。

ヒトが使っている「お薬入れ」の中にペットの薬が混ざることで、間違えて動物用をヒトに、とかヒト用を動物に利用してしまうことも耳にします。なので、ヒト用の薬と動物用の薬は分けて保存してください。トラブル防止のために、ヒトと動物で、同じものを共有しあわない(同一ボトルや同一チューブの人と動物での使い回しをしない)必要があります。

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