2016年2月24日、待ち望まれていたGoogleの「AMP(アンプ:Accelerated Mobile Page)」がついにローンチされた。これはモバイル端末でのウェブページの表示を高速化させるためのプロジェクトだが、待ち望んでいた世界中のパブリッシャーは、すでにAMP対応の記事を用意している。
AMPのローンチパートナーになったのは、アメリカでは「ワシントン・ポスト」「ウォールストリート・ジャーナル」「デイリー・メール」「Mic」など。イギリスをはじめとするヨーロッパ地方では「ガーディアン」「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」「トリニティ・ミラー」「フィナンシャル・タイムズ」「アクセル・シュプリンガー」などだ。
前提として、AMPはFacebookの「インスタント記事」に対抗してGoogleが立ち上げたプロジェクト。「インスタント記事」との違いは、どのパブリッシャーでも利用できるオープンソースであることだ。これにより、モバイル端末でのウェブページの表示を高速化させることができる。Googleによると、AMPのページロード時間は普通と比べて85%も速いという。
2016年2月24日、待ち望まれていたGoogleの「AMP(アンプ:Accelerated Mobile Page)」がついにローンチされた。これはモバイル端末でのウェブページの表示を高速化させるためのプロジェクトだが、待ち望んでいた世界中のパブリッシャーは、すでにAMP対応の記事を用意している。
AMPのローンチパートナーになったのは、アメリカでは「ワシントン・ポスト」「ウォールストリート・ジャーナル」「デイリー・メール」「Mic」など。イギリスをはじめとするヨーロッパ地方では「ガーディアン」「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」「トリニティ・ミラー」「フィナンシャル・タイムズ」「アクセル・シュプリンガー」などだ。
前提として、AMPはFacebookの「インスタント記事」に対抗してGoogleが立ち上げたプロジェクト。「インスタント記事」との違いは、どのパブリッシャーでも利用できるオープンソースであることだ。これにより、モバイル端末でのウェブページの表示を高速化させることができる。Googleによると、AMPのページロード時間は普通と比べて85%も速いという。
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「ガーディアン」も前向きな姿勢
Googleのニュースパートナーシップ部長であるマーダヴ・チナッパ氏は、米DIGIDAYの取材に対し、AMPの開発に6000人ほどの開発者が携わっていると答え、ブログプラットフォーム「WordPress(ワードプレス)」向けにも、さらなる開発を行っているとコメント。また、イタリア、スペイン、フランス、ドイツなどの大手パブリッシャーたちもAMPに乗り気だとも付け加えている。今後も、イギリス、フランスやイタリアと同様に、日本、ロシアやブラジルにもAMPを拡大させるとのことだ。
英メディア「ガーディアン」は、AMP対応のコンテンツ開発を2015年の夏から開始。数日後には簡易的なAMPページを運用しはじめた。現在では、同紙の記事フォーマットにAMPが適合しており、その記事の総数は1800万本にもなるという。
「ガーディアン」のニュース&メディア担当者であるアンソニー・サリバン氏は、米DIGIDAYの取材に対し、ライブ配信しているブログやギャラリーなどをどうやってAMP化させるか、現在検討していると話した。「いまのところ本サイトは、まだAMP化していない。だが、将来的には対応する可能性は高いと思う。これからAMPがどこに向かい、私たちがどう使いたいかで、それは決まる」。
AMPでは広告配信も問題なし
モバイル端末でのWebページの表示速度に関しては、どのパブリッシャーも恩恵を感じている。しかし、パブリッシャーの多くが抱えている悩みは、モバイル端末で収益を得る方法だ。AMPがこの悩みに対し、どのような効果を発揮してくれるのか、いまだ不透明な部分が多い。
Googleは、AMPに広告を統合させた。「ガーディアン」と「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」は、すでにAMP経由で広告を配信している。「ガーディアン」のサリバン氏は、収益化方法や分析に必要な要件をAMPへ移行することは難しかったと話す。だが、AMPほど意欲的なサービスへの初期投資には、それくらいの努力は必要不可欠だったとも、最後に付け加えている。
「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」も、早期からAMPに取り掛かった。バックナンバーの記事もすべてAMPに対応させた。イギリス支社のニュース編集室では毎日200本あまりの記事が製作されているが、すべての記事がAMP対応で配信されている。
一般化するかは媒体社次第
親会社であるIBTメディア(IBT Media)の新たなデジタル部長に任命されたサイモン・フィリップス氏は、Webサイトや記事のAMP化は「無痛」であったとコメント。多くのパブリッシャーに当てはまることだが、トラフィックの半分以上がモバイル端末のため、ページ表示速度の向上でより広がる可能性に、フィリップス氏は期待しているからだ。ヨーロッパ、中東、アフリカなどでは、モバイル端末台数がデスクトップのそれを超えたため、特に重要視している。
しかし、これはまだはじまりにすぎないと、IBTのフィリップス氏は強調する。「チャンネルとして、Googleはとても大切な存在だ。AMPの記事に人々がどう反応するかは、待たなくてはならない。大事なことは、我々がユーザーをIBTに訪れやすくすることだ。現在、AMPページはひとつしかないが、これからどうやって広めるかは、我々次第だ」とフィリップス氏。
AMPはいままでよりも高速なモバイル体験を読者に提供できるため、多くのパブリッシャーは「希望の光」と捉えていると、IBTメディアでヨーロッパ、中東とアフリカの販売部門責任者、ジェレミー・マキン氏は話す。
英タブロイド紙「ザ・サン(The Sun)」もAMPを導入している。有料化が廃止されていたことにより、導入が容易にできたのだ。「ザ・サン」を所有する英メディア、ニュースU.K.(News U.K.)の最高顧客責任者(CCO)であるクリス・ダンカン氏は、「短期間のリーチと、モバイル端末の速度向上によってもたらされるトラフィックのバランスをどうするか。また、ブランドが管理権を譲渡し、ニュース編集室の予算を使ってまで、特定のプラットフォームに依存することでもたらされる長期的な影響は何なのか。これらのことをすべてのパブリッシャーが考え、決断しなくてはならない」と語る。
ペイウォールにも対応ずみ
一方、アメリカでは、有料化されているパブリッシャーもAMPを使えるようにと、Googleが対応を行っているが、少しばかり難しいようだ。有料版AMPを試したいパブリッシャーは多くいるが、なかでもイギリスの「タイムズ(Times)」が早くAMPを試したいという。
「AMP記事が更新されるたびに、我々の購読者たちが何の問題もなく記事にアクセスできるようにしたい。Googleは検索エンジンの守護神であり、『タイムズ』紙も、姉妹紙である『サンデー・タイムズ(The Sunday Times)』も、AMPにはとても興味を抱いている。また、Googleが我々に『やってみたい』といってくれたことにも、とても感謝している」と、同紙デジタル部長のアラン・ハンター氏は話した。
英経済誌「エコノミスト(The Economist)」は、広告と購読、両方のビジネスモデルを実践している、ハイブリッド型だが、同誌もAMP対応を行う予定だ。なお、現在AMPが導入されていないのは、単純にサイトが工事中だからだという。「エコノミスト」の副編集長、トム・スタンデージ氏は、GoogleのAMPがAppleの「News」やFacebookの「インスタント記事」とは一線を画している理由について、有料サイトに「賢く」対応しているところだと話した。
「Appleの『News』やFacebookの『インスタント記事』と違い、すべての記事がAMP化できるものと認識している。そうすれば、我々のこれまでの手法を変更しなくても済む。AppleやFacebookは有料コンテンツに対応していないため、どの記事を無料で配信するか決めなくてはならない。しかしAMPだと、事業方針を変更せずに、コンテンツが高速表示される」と、スタンデージ氏は最後に付け加えた。
Jessica Davies(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images