Snapchatは、広告による収入をクリエイターに分け与えはじめるという「お色気作戦」を展開中だ。このプログラムは2018年6月21日、アメリカのネット動画の祭典「ビドコン(VidCon)」におけるSnapchatの基調講演のなかで発表された。
Snapchatは、広告による収入をクリエイターに分け与えはじめるという「お色気作戦」を展開中だ。このプログラムは2018年6月21日、アメリカのネット動画の祭典「ビドコン(VidCon)」におけるSnapchatの基調講演のなかで発表された。
Snapchatが行ったアナウンスの主な内容は、アメリカのエンタメ専門のテレビ局「E!」とパトリック・スター氏のプロデュースのもと、新たにはじまるクリエイター主導の番組「アンタイトルド・パトリック・スター・プロジェクト(Untitled Patrick Starrr Project)」についてだったが、Snapchatのローレン・ギャロ氏は壇上で収益分配の試みについても語った。また、ギャロ氏によると、こうしたクリエイターコミュニティでは、成長性や発見しやすさ、アナリティクス、そしてマネタイズに力を入れているという。Snapchatは、その契約の詳細については明らかにしていない。
「いまは、話を聞いているところだ」と、ギャロ氏は言った。
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クリエイターの本音
Snapchat主催のはじめてのクリエイターズサミットでは、13人のSnapchatクリエイターが集まり、CEOのエヴァン・スピーゲル氏をはじめ、幹部たちと2日間にわたって会合を行い、より良い支援のためにどうすべきかが議論された。昨今、Snapchatは広告収入の分配モデルに傾倒しているが、これはパブリッシャーとのライセンス契約からSnapchatが遠ざかる動きに表れている。
Snapchatの広報担当者によると、Snapchatのプログラミングチームは、オリジナルコンテンツ部門のトップを務めるシーン・ミルズ氏率いるショー(Shows)チームと密に連携し、クリエイターに対してこのプログラムに参画するよう働きかけているという。
デルモンド(Delmondo)のストラテジスト、マイク・メッツラー氏は、2015年から仕事としてSnapchatでのコンテンツ制作を行っている。メッツラー氏はクリエイターズサミットに参加した13人のSnapchatクリエイターのひとりだ。彼を含めてクリエイターたちはこの動きを待ち望んでいたという。
「間違いなくいえることは、クリエイターにとって広告収入の分配はありがたいということだ。残念ながら、私のような小規模のSnapchatクリエイターにとって、たとえば、2016年に週に1度は来ていたようなブランドとの契約は、現在ではその機会も減り、難しくなってきている」とメッツラー氏。「現状は、私が制作したコンテンツでマネタイズができない場合には、どこか別のプラットフォームで取り組まなければならない状況だ」。
競合他社と比較して
ほかのプラットフォームでは、すでにクリエイターへの収益分配を行っている。YouTubeでは長いあいだ、規模に関わらずクリエイターとの広告収益分配のモデルを提供しており、クリエイターの土壌は大きく成長した。メッツラー氏によると、ビドコンの期間中、ホテルやビルボード、バスのそばにいるクリエイターたちの表情はみな高揚していたという。現在、Facebookも同様に、Facebookやインスタグラム(Instagram)上での動画を使ったマネタイズのオプションを試しているところだ。
ビドコンでのSnapchatのパネルディスカッション中、収益分配モデルの採用が遅れた要因について質問を受けたミルズ氏は、企業の年齢に言及した。
「忘れられがちだが、我々はまだ新興の若い企業だ」と、ミルズ氏。「実際、まだはじまったばかりだ」。
メッツラー氏は、このSnapchatの動きが自身とSnapchat双方にとってだけではなく、多くの広告スペースが得られる広告主にとっても大きなメリットになると見ている。
「Snapchatで多くの功績を残したクリエイターは表彰される。そしてこれは、広告主が多様性のあるプレミアムなインベントリーやターゲティングデータを構築するうえで、非常に素晴らしい手法だ」と、メッツラー氏は語った。