車掌
しゃしょう
- 鉄道・バス等に乗務し車内改札・乗車券発売・運行中の安全確認などを行う乗務員のこと。車掌のいないワンマン運転の車両の場合、運転士が車掌業務を兼任することになる。新幹線などでは一列車に複数の車掌が乗務することがある。
- 「銀河鉄道999」の登場キャラクター。本名は未詳。999号に車掌として乗務している。→車掌(銀河鉄道999)
- 「烈車戦隊トッキュウジャー」のキャラクター。→車掌(トッキュウジャー)
鉄道の場合、車掌乗務において行っている仕事は以下の通りである。
- 次の駅のアナウンス、乗り換え案内等
- 乗降扉の開閉
- 機関士・運転士への出発合図(首都圏のJRなどでは行われない)
- 運行中における安全確認
- 車内の空調の調整
- 車内改札・乗車券の発売(新幹線、有料特急と普通列車グリーン車、無人駅が多い路線のみ。首都圏の通勤・近郊電車ではあまり見られない)
- 緊急時の応急処置、2次災害の予防、避難誘導など
かつては、長距離列車、優等列車などでは「(一応接客も行うが)主に列車の運行に関わる業務を行う車掌」「(必要とあれば運行業務もする)接客業務をメインに行う車掌」の分業体制が敷かれていた。
省力化
機器類や安全設備の整備、列車の信頼性の向上などに伴って、車掌の業務の省力化が進められている。最新型の車両では、空調は気温・湿度とも季節や車内環境に応じて1両ずつ自動的に制御されるため、面倒な設定は不要である。
放送においても、地域を問わず多くの路線で自動放送装置が導入され、古い車両や一部の私鉄を残して肉声によるアナウンスは減る傾向にある。
地方の閑散路線や、都市圏で設備の自動化が進んだ路線ではワンマン運転が行われるなど、車掌業務そのものが廃止された路線も増えている。
かつて、乗車券の購入や乗り越し精算(乗車券の区間変更)は、車内を巡回する車掌にお願いしたものだが、交通系ICカードや精算機の普及に伴って都市圏を走る路線では車掌の巡回が無い路線が多くを占めるに至った。特急列車などに指定席券を購入して乗ると車掌が席まで検札に来たが、関東のJR線の普通列車のグリーン車、常磐線の特急ひたち・ときわなどでは、座席上に予約の有無を表示するランプを設けるなど検札を必要としない車両を導入し、今後も同様の車両が増えることが予想される。
年々省力化が進む一方で、特に細やかな接客の必要がある長距離列車や優等列車、激しい混雑や厳しいダイヤの中で安全性の確保が求められる都市圏の通勤電車などでは不可欠な仕事である。
客車列車・貨物列車の車掌
客車列車や貨物列車は、けん引する機関車から客車や貨車の状況が分かりづらいので、かつては車掌(列車掛)の乗務が必須であった。
特に、機関士は前方の注視が第一で機関車より後ろの状況は非常に判り辛いため、後方に連結された客車や貨車の安全確保は車掌が担うことになった。
これらの列車の車掌の業務は、機関士への出発合図、列車の安全面の監視、車両故障の応急修理、万一事故が起きた際に二次被害が広がらぬよう防護措置を取る、などなど。
実際の業務の様子を見れば今日見られる電車・気動車の車掌とはやや業務の形態が違うように見えるが、基礎的な部分は変わっていない。
客車列車や貨物列車には、車掌を乗務させるための設備や緊急事態が起きたときに列車を停止させる為の非常ブレーキ、他の列車を停止させるための発煙筒などを積み込んだ緩急車や車掌車が連結された。
現在、接客業務があるため客車列車は車掌の乗務が残されているものの、貨物列車では貨車の信頼性が大きく向上したことや防護装置の発達などもあって車掌の乗務はごく特殊な例を除いて廃止された。
現在の日本ではほぼ絶滅したと思われるバスの車掌も、電車の車掌などと同じく旅客への案内、切符の発券および運賃の徴収、扉の開閉などが仕事であった。
女性の車掌であれば制帽・白い襟カバーのついた制服に革製の「車掌かばん」を肩から提げるといったスタイルが一般的で、同様の業務を行う路面電車の車掌共々「男女同権」の意識が今よりも薄かった昭和中頃までの「職業婦人」の代表格とも言える仕事の一つであった。
バスの場合も基本的に、運転業務は運転手、接客業務は車掌と完全な分業体制であったが、ワンマンバスが実現してからもどうしても車掌が必要な場合があった。
それは、バスが後退する際の後退誘導で、公道上で乗客が乗っている状態で後退する際には誘導員によって誘導を行うことが義務付けられていたためであった。
つまり、通常はバスが乗客を乗せて公道上で後退することは無いので問題ないが、公道上で後退する必要がある狭隘路を含んだ路線などでは車掌が必要となった。(同様に後退誘導が必要な際に観光バスの場合はバスガイド、高速路線バスでは交代の運転手やターミナルの警備員が行う)
このため、路線バス業界そのもののワンマン化は比較的早かったものの、狭隘路を走る路線では「バスの車掌」は比較的最近まで存在した仕事であった。
- ワンマン化の過渡期であったり、ワンマンカーが普及した後も狭隘路を含む路線がある業者ではワンマン運転の設備がある車両にも車掌用の設備を残していた。
- 民間業者が積極的に運行しない地域、つまりさほど採算性が期待できず交通事情(道路事情)が悪い路線を多く抱えていた国鉄バスの場合、比較的遅くまで車掌の乗務を前提とした「ツーマン専用車」が調達されていた。
コメント
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