CV:柳沢栄治(初代、Jr共通)
初代夜叉猿
飛騨山中に生息する巨大な猿。その体はゴリラよりも大きく、腕力はツキノワグマよりも強い。その剛腕はバーベルを飴のように曲げてしまい、隆々たる体躯を持つ安藤玲一の腹筋を容易に引き裂いて内臓を押し出すほどの怪力を持つ。
耐久力もずば抜けて高く、その辺の熊程度なら素手で殴り殺すほどの腕力を持つ安藤の振り下ろした鉈の直撃を受けてもびくともしなかった。
父親に勝てる力を身に着けるため、かつて多くの剣豪が挑み返り討ちにされてきたとされる夜叉猿(♂)に13歳の範馬刃牙は挑む。安藤を簡単に倒してしまうその野生そのものとも取れる強さに畏怖する刃牙だったが、彼の復讐を誓い猛トレーニングと大食い(飯トレ)の果てに雪辱戦を挑む。逃げ出さないように火の輪で土俵を作り、激闘の末に飛騨最強の座を勝ち取る刃牙だったが、後に安藤に「ボクは平和に暮らしている猿をいじめただけではなかったのか」と告げていた。
しかし、刃牙が夜叉猿に勝った事実を知った範馬勇次郎に無残にも殺害され、刃牙に決闘をさせるための挑発をするためだけに生首を腹話術に使われる。師であり親友である夜叉猿の無残な姿に涙を流し、激昂して飛び掛った刃牙の眼前で生首は勇次郎に蹴り砕かれてしまう。決闘の期限を告げられた後、刃牙は夜叉猿の遺骨である歯を集め、滂沱の涙を流しながら夜叉猿の歯を食べて勇次郎に挑むことを決意した。夜叉猿は死すれど、その魂は刃牙の血肉となって彼を強くし、共に生きているのだ。
この一件は刃牙にとってトラウマとなっている様子であり、後に千葉兄弟の熊の死体を用いた擬態を見せられた際には弄ばれた夜叉猿の姿を重ねて激怒し、野人であるピクルに好奇心で挑んだ際には花山の一言を受けて遊び半分で関わったばかりに罪の無い動物が非業の死を遂げてしまったと思い出して落ち込んでいた。
夜叉猿Jr
かつて勇次郎に殺された夜叉猿(♀)と、刃牙が戦った夜叉猿の間に生まれた子。その力は先代をも上回り、安藤が設計した檻も破壊してしまった。
最大トーナメントのリザーバーとして登場したが勝手に檻を破って脱走し、ラベルト・ゲランと加藤清澄を簡単に倒してしまうが、愚地克巳により倒された。
ちなみにこの時加藤に刃牙がかけた「アンタじゃ無理だ オレが代わる」という身も蓋もないセリフはAAになるほど人気である。
その後ドクターの検査と治療を受け(獣医もやるのかあの人…)、刃牙が優勝した際は他のファイターともども彼を出迎えた(余談だがこの場面、よく見るとガーレンに倒されたアナコンダまで参加している)。
後に第2部『バキ』にも登場。柳龍光の毒手を受けた刃牙が松本梢江と共に飛騨に療養に行った際に刃牙と再会している。
その他
『刃牙道』にてクローン武蔵の回想に先祖と思われる個体が登場している……と言っても僅か1コマ、それもあっさり首を刎ねられた場面というあんまりな扱い。数多の剣豪を屠ってきた伝説の魔獣も、流石に相手が悪すぎたか。
しかし、クローン武蔵は昔戦った相手でも忘れがちの面があり、実際に佐々木小次郎の事も徳川に尋ねられた時は思い出すのに時間が掛かっていた。ピクルと戦った時に夜叉猿の事を覚えていたと考えれば少なくとも武蔵に「敵」として認められるほどの強さを誇っていたのだろう。