概要
原子砲とは、『核砲弾』と呼ばれる核弾頭が組み込まれた砲弾の射撃機材である。
このような兵器は、核弾頭を小型化し、威力は低めではあるものの短距離の戦術レベルで使用する『戦術核兵器』の概念が登場したことで製造された。
運用としては、核地雷を炸裂させても進撃してきた敵に対して撃ち込もうという感じのものである。
最初の核砲弾は280mm砲弾で、これを発射する最初に製造された機材が1953年にアメリカ合衆国で登場したM65 280mmキャノン砲であった。
このM65は、通常の砲弾と核砲弾を使用可能な約30,000メートルの射程を持つもので、1953年の核実験で1発だけ核砲弾を実際に発射した。
そして、登場した当時において、M65のみに核砲弾の発射が任務にあったことから、通称『アトミック・キャノン(原子砲)』と呼ばれるようになったのである。
その後、ソビエト連邦においても、アメリカ合衆国に遅ればせながら、原子砲が製造されている。
時代が下ると、核砲弾のさらなる小型化が進み、203mm砲、155mm砲で使用できる核砲弾が開発され、M65のような専用の大砲ではなく、砲兵部隊に配備されている一般的な大砲が使用できるようになった。
