ピサロ(ドラクエ)
ぴさろ
エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売されたRPG『ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち』に登場するキャラクター。
「ロザリーヒル」と呼ばれる町出身の魔族の青年で人間に対し、極端なまでの差別意識と敵意を抱いた結果、人間を滅ぼして魔族のみの世界を創り出すという狂気の野望に目覚め、出奔。「デスピサロ」を名乗り、魔族の王として世に君臨し、世界を滅ぼす為の手段として太古に封印された地獄の帝王エスタークの復活を目論み、今のところ勇者が力を付けないうちに抹殺しようと自ら前線に赴いた唯一の魔王である(部下を使って抹殺しようとした魔王は他にもいる)。
導かれし者達一行の内で直接的な因縁があるのは、勇者を除くとエンドール武術大会で闘えなかったアリーナくらいしか居なかったりする。ただし、ライアンの場合は彼の章のボスがピサロの手先で、マーニャ&ミネア姉妹については父が発見し仇のバルザックが奪った進化の秘法が関わっている以上完全に無関係という訳でもなく、その背後にピサロがいた可能性は高い(『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』ではピサロが進化の秘法に関わるのはエビルプリーストが研究している途中であるため無関係ではないが背後に彼がいたわけでない模様)。
容姿
原作であるファミリーコンピュータ版では、魔物化(デスピサロ時)の姿以外の立ち絵が存在しなかったこともあり、リメイク版が発売されるまで、『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』や小説版などの媒体では各作家のイメージで描かれることがほとんどだった。
4コママンガ版(作家多数)
左が新山たかし版、右が牧野博幸版のピーちゃn…ピサロである。
デザインこそバラバラだが、多くは「美形の若い青年」「折襟の上にマントを羽織った気品ある衣装」「エルフ耳」などの特徴が踏まえられている。また髪型に関しても、ドット絵や攻略本では黒髪に描かれたが、作家によって金髪や白髪、あるいはその他の色で彩色され、ヘアスタイルや髪の長さも人それぞれである。
ちなみに、一部でピサロの事をピー坊やピー助などと呼ぶようになったのは4コママンガ劇場の牧野のネタからである。
小説版(画:いのまたむつみ)
小説版(著:久美沙織)の挿絵に描かれたピサロ。
前述のマンガ版と同様、現在のデザインが公開される前に描かれたが、銀髪や黒い衣装など後述のリメイク版公式デザインに何かしらの影響を与えたと思われる。ちなみに髪型は頭頂部で髷を結っているような感じ(ポニーテール)。
出自が由緒正しい魔王の家柄であったり、ロザリーの設定など原作との相違点もいくらか見られる。
なお、こちらでの瞳の色は金色。
プリンセスアリーナ(画:八坂麻美子)
オリジナルキャラ・アルマーの回想の中で登場。
顔は見えないが黒髪の青年として描かれ、前述のドット絵や攻略本を参考にしていると推測される。
むしろアルマーの容貌の方が、リメイク版以降のピサロによく似ているのだが。
リメイク版(画:鳥山明)
2001年発売のPlay Stationでのリメイクにて、ようやく公式でイラストが設定される。
本作では、銀色の長髪(アホ毛付)が特徴の端正な顔立ちの青年の姿となり、衣装は黒と赤を基調とした貴族服で、毛皮のマントや髑髏の装飾品を着用している。また、左腰には柄や鞘が禍々しく装飾された大きな剣を携えている。以降はコチラが正式なデザインとされ、後年発売のシリーズ派生タイトルでもこの姿で登場している。
いずれの姿にせよ、唐突な戦国武将口調の「ひきあげじゃあ!」が迷台詞扱いされるのは避けられなかったであろう。
性格
人間に対する行いは無慈悲そのもので、たとえ自らの目的とは無関係な者であろうとも、「邪魔になる」というだけで平然と殺害したり、相手の善意に付け入る形で利用したりもする。稀に殺さない事もあるが、それも「弱すぎるから=放っといてもいずれ勝手に死ぬだろう」という傲慢さから来るものである。
また、基本的に友好的に接している異種族であろうとも、「自らの目的に邪魔となり得るならば消す」というやり方を徹底しており、結局の所ピサロにとっての「敵」とは、自らの理想や価値観、目的にそぐわない者全てに他ならず、そこに人間も異種族も魔物すらも関係ないのである。
その強さと冷酷さにより、人間はおろか、異種族の一部にも恐れられているが、指導者に相応しい厳格さと器の大きさ、カリスマ性を持つ為、部下の魔物達からは崇拝されており、ロザリーヒルの住民にも信頼されていた。
本編前
人間に襲われていたエルフの娘を助け、行く宛のなかったエルフの娘に「ロザリー」という名前を与え、ロザリーヒルで2人で暮らしていたが、ある日世界征服の野望を抱いて村を飛び出した成り上がり者であることが住民によって語られている。
この時点でゼロから魔族の王にまで成り上がってみせた、当時のピサロの驚異的なカリスマ性の一角を知ることができる。
やがて魔族の王となったピサロは世界を魔族のものとするべく、人間を根絶やしにする決意を固め、魔物達を従えて地獄の帝王エスタークの復活の為に奔走する。また、かつて帝王が用いた進化の秘法の研究を進め、天空人や天空の神マスタードラゴンへの対抗策として秘術の完成を急ぐ。
その最中、帝王を倒し得る存在である「勇者」の予言を知ったピサロは、まず勇者を探し出して抹殺する事を計画。部下の魔物達に子供を無差別に誘拐させ、更に自身も勇者になり得る実力を持った人間を探し回っては殺害していき、それらによって多くの人間が犠牲になった。
一方で、ロザリーに対しては優しい姿を見せており、彼女を守るために塔を建造し魔物たちに守護させ、人間達のエルフ狩りから守っていた。
勇者襲撃
遂に勇者の手掛かりを掴んだピサロは、魔法で旅の詩人に化けて、勇者がいると思われる山奥の村周辺を探索。村の住人の善意につけこむ形で村の侵入に成功し、魔物達を動員して虐殺の限りを尽くし、勇者の抹殺に成功した事を確信したピサロは、魔物達と共にデスパレスへと帰還する。
しかし、実はピサロが抹殺したと思っていた勇者は、彼の幼馴染みであるシンシアがモシャスで変身した姿で、これが原因で肝心の勇者を取り逃がしてしまったピサロの計画は次々と狂いが生じていく。
結果的に自らのした事が、自身への復讐を望んでいたと言える勇者を「最大の脅威」へと成長させてしまう遠因となっており、またそれまでに行ってきた自らの冷酷非道な所業数々の報いは、後に自分に返ってくる事になる。
ちなみに、作中では明かされていないが、第5章の冒頭、勇者の暮らしていた山奥の村に迷い込んで来た「旅の詩人」はピサロが魔法で変身した姿であり、彼の扇動によって山奥の村は勇者を残して滅ぼされてしまっている。この事実は、『CDシアター ドラゴンクエストⅣ』で明かされており、また小説版では「黒ずくめの騎士」として登場している。
勇者のいた村の襲撃からしばらくして、アッテムトでエスタークの神殿が掘り起こされた情報を掴んだピサロは、魔物を率いてエスタークを迎えようとするも、死んだと思い込んでいた勇者率いる一行によって、目覚めたばかりの帝王が倒されてしまうという想定外の事態が起こってしまう。更に部下からの報告でロザリーヒルの塔の上にいたロザリーが攫われた事実を聞き急いで探し回るも、時既に遅く、ロザリーは攫った人間達によって殺されてしまう。
デスピサロ変貌
憤怒と狂気にかられた結果、自我をも投げ捨てて人間の抹殺のみに走ることを決意したピサロは、様々な研究・実験の末に完成させた進化の秘法を自らに施し、肉体は比類なき強力なものになったが、精神は変質してしまい自我が崩壊。裏で糸を引いていたエビルプリーストの目論見どおり、彼はロザリー等に関する一切の記憶は失われ、「人間を根絶やしにする」という負の意思のみが残った怪物と化し、デスキャッスルを抜けた大きな山の奥にて勇者たちを待ち受ける。
勇者達との最終決戦の中で、その憎悪に満ちた心を表わすかの様に、より醜悪な外見へと変貌していくも、最終的には勇者達との戦いに敗れて元の姿へと戻り、息絶えた。
第6章
リメイク版では、一度クリアすると世界樹の花によってロザリーを生き返らせることが出来るという新たなイベントが追加されている。蘇生したロザリーを連れてデスピサロの元に行くと、彼女の説得でピサロは正気を取り戻し、流したルビーの涙の力によって進化の秘法の力が破られて姿も元に戻る。その後、ピサロは自身を陥れようとした真の敵を倒す為に、勇者たちの冒険に同行することになる。
戦いの性能としてはホイミン等のNPCとは異なり、こちらの作戦に従ってくれるし武器・防具の装備変更も可能で、隠しで専用の武器・防具も存在する。呪われた武器・防具を平気で装備出来るのは魔族故であろう。強力な攻撃魔法・回復魔法を複数使用し、さらに「まじん斬り」「メタル斬り」「ムーンサルト」「ジゴスパーク」終いにはあの「マダンテ」まで使えてしまう。
…進化しない方が強いんじゃないか?というツッコミは却下だぞ!!
ちなみに彼が仲間入りするのと同時にロザリーも冒険に同行するようになるが戦闘には参加しない。会話によると、ロザリーヒルで暮らしていた頃が一番幸せであったのかもしれない、と思い返している。
仲間会話では山奥の村を滅ぼした事を「今でもまちがった事はしたとは思っていない」と言うもその直後に「ロザリーを失った今なら大切なものを失う悲しみはわかる」と続けている。
また、世界樹に連れて行くと恩着せがましいとぼやきながらも感謝の意を示したり、夜のモンバーバラでは人間に呆れたり、希望のほこらや岬のお告げ所やレディースタウンでは居心地の悪さを感じたりと新しい一面を見せる。隠しダンジョンで条件を満たすと現れる全裸のマッチョマンのオカマというグランピサロという移民キャラを登場させた直後に話すと「……なぜ わたしに話しかけるのだ!」というリアクションをしてくれる。
小説版
大幅に設定が盛られている。久美沙織節全開。
これについて作者は自身のウェブサイトで
「タニス・リー描くところの『闇の公子』アズュラーンさまや、マイクル・ムアコック描くところの『メルニボネの皇子』エルリックさまに匹敵する出色キャラにしてさしあげたかった」
と語っており、描写や言動に上記の作品の影響が見られる。
魔界の帝王ナルゴスの孫。ナルゴスの子らのうち、長男と次男は抗争の末に死亡。柔弱な三男・ニュイイと陰険な四男・ヘイゲンが次の王座を競う中、父ニュイイの補佐を務めつつ、老いたるナルゴスからの期待は血族の中でも最も高かった。
ナルゴスに恭順をよしとせずに戦い滅んだエルフ族の都・サルムラーンにて、唯一生き残った幼い王女を発見。密かにこれを匿い、ロザリーと名を与えて育てた。早い話が光源氏計画で、まだ幼いロザリーの我儘を諫める為にけしからんことをしている。
ロザリーとの愛を深める中、ヘイゲンの息子ミアソフがこれに気づき、計略をもってナルゴスに注進。失望したナルゴスによって記憶と力を奪われ、ロザリーともども地上へと放逐されてしまう。通常魔族は陽光を嫌うが、この時は陽光の下でも普通に生きられる身となっており、心優しい青年としてロザリーやホビット達と共にロザリーヒルを建設。穏やかな日々を送った。
やがてロザリーの献身的な導きによって徐々に力を取り戻すが、人間に扮して海辺の村の祭りに参加した時、占い師に見とがめられて呪いの言葉をかけられる。折しも魔界では危篤状態に陥っていたナルゴスが、今際の際になってピサロ追放に関与した黒幕の存在に気づく。ナルゴスは最後の力をもってピサロの記憶を解放する。かくして「魔族の王子」は復活を果たした。
その後ニュイイとヘイゲンの抗争に介入。黒幕の思惑通り、ミアソフごとヘイゲンを排除した後は父を帝王の座につけたが、魔物達からは真の王として崇拝されていた。地上に満ちて同族ばかりか獣や妖精を虐げ、無駄に大地を食い漁る人間を嫌悪し、その絶滅を決意。黒鉄と黒い宝石と黒い羽でできた仮面をつけて「デスピサロ」を名乗り、自らを滅ぼす運命にある勇者の発見と殺害、太古に覇を唱えた地獄の帝王エスタークの復活、進化の秘法の完成に必要な黄金の腕輪の入手……と、次々と計画を推し進める。
その過程においてカメレオンマンを倒したアリーナの存在を知るが「人の子にあっていとも稀有な花。いずれ摘み取られる運命だが、開花を待たずに摘み取るのは無粋」として見逃す。また興味本位でエンドールの武術大会に出場するが、エスタークを予知夢で感知したサントハイム王と城の人々がキメラの翼で転移しようとするのを妨害した結果、彼らを時空のあわいに飛ばす結果となる。これがちょうど武闘大会決勝と重なっており、結果的に二度アリーナは命を救われている。
勇者の抹殺に成功した後はやや無気力になっていたものの、キングレオの死によって勇者が生きていた事を知ると、ようやく張り合いを見出す。その後無人となったサントハイム城に立ち寄り、城を預けたバルザックの様子を密かに覗き見る中で猫(ミーちゃん)を抱き上げて愛でるなど、人間以外には優しい一面を見せた。
しかしアッテムトの地下でエスタークが発見され、復活を待ち望む中、ロザリーヒルの塔に隠していたロザリーが黒幕の手引きによって誘拐される。衝動的にその場を離れ、陽光に焼かれて苦しみながらもロザリーの元に駆けつけるが、欲深い人間達に痛めつけられていたロザリーは死亡。愛するものを抱き締めながら放たれた慟哭は波動となって世界を駆け、勇者ユーリルを衝撃で打ちのめし、父ニュイイも血脈の繋がりからより強い衝撃を受けて死亡した。
更にエスタークが勇者一行に倒され、アッテムト鉱山は崩落。大半の部下が生き埋めとなり、戻った時には何もかもが手遅れとなっていた。全てを失い放心状態になるピサロは、黒幕の目論見どおりに進化の秘法で怪物になる事を選択。魔界の最奥にて勇者一行と対峙するが、その心はとうに壊れ果て、黒幕の操り人形と化していた。無限に再生する強さで勇者たちを圧倒するが、些細な偶然によって秘法は失敗。黒幕を討ち果たした勇者たちの手により、光へと導かれる。
忌まわしいだけの光の中で本来の姿を取り戻し、ロザリーの霊と再会を果たす。デスピサロとしての仮面を取り払われ、二人の愛の証であったサークレットを授けられると、子供のように泣きじゃくりながら、光の中へと消えていくのであった。
Vジャンプの漫画では女性バージョンである魔界の女剣士「クイーンピサロ」が存在する。デザインは上記のリメイク版公式イラスト寄りで、元のデザインが端正な顔立ちや長髪など中性的だったこともあり、違和感の無いものに仕上がっている。
ちなみに彼女は巨乳である。
公式には魔族とされており、鬼に近いという説もある。一部ファンの間では「じつはロザリーと同じエルフ族では?」「堕天した天空人などでは?」などの意見もある。
『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』では魔族と人間との間に生まれたハーフと言われている。
ドラゴンクエスト モンスターバトルロード ビクトリー
同作のカードとしては「いてつくはどう」「進化の秘法」「魔剣士ピサロ」として収録。とどめの一撃としてスキャンすれば、テンションを上げた後に空間ごと切り裂く「ダークマター」を放つ(後に『ドラゴンクエストⅩ』で登場した同名の技とは別物)。
ゲームの世界から王者決定決戦に乱入し、主人公に戦いを挑んでくる。原作での肩書きは「魔族の王」だが、本作では「魔剣士」となっており、一人称も「私」だったが「オレ」に変わっている。本編クリア後は町の港に出現、彼の持つ大魔王と対決して勝つとそのカードをくれる。
大魔王としてデスピサロも登場するのだが、とどめの一撃はわざわざ元の姿に戻って放つ。そのため、一部からは『退化の秘法』と呼ばれていることも(他の大魔王は魔王が呼び出す・変身してから現れる)。両形態とも、プレイヤー側として使う事も可能。
ドラゴンクエストヒーローズ
配信コンテンツにてプレイアブルキャラクターとして登場。同じく肩書きは魔剣士だが、武器は大剣と体術、ドルマ系呪文を使用する。ヘルムードの計画により次元同士を隔てる壁に綻びが生じ、自身と同じ魔族がヘルムードに操られている事を知り、エルサーゼに転移。アリーナ、クリフトから敵とは認識されていないなど、リメイク版EDの後だと思われる。
必殺技で進化の秘法を使い、なんとデスピサロの姿へと変身するなど、存分に使いこなしているようだ。世界樹での戦いでアクトらを二度助けているが、仲間にする為にはピサロと戦うサブクエストをクリアしなければならず、彼だけでなくピサロナイトも相手をしなくてはならない。
続編の『ドラゴンクエストヒーローズ2』でも登場、使える場所は限られているがさらに強くなっている。
ドラゴンクエストライバルズ
プレイヤーキャラクターの1人として参戦。「魔剣士」という職業に属しており、自身の最大MPを増加させる「MPブースト」戦術や、癖の強い強力なカードの扱いを得意とする。
ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー3 プロフェッショナル
人間形態である彼も『魔剣士ピサロ』名義でまさかの参戦。攻撃、素早さ、賢さが非常に高く、体力と守備力が低めという速効アタッカー向きの能力。
サイコピサロ、真・魔王ザラーム、大魔王マデュラージャ、マスタードラゴンの4体配合で生み出せる。並べただけで分かるとおり配合難易度はデスピサロなどの比ではない、というかデスピサロは寄り道イベントでそのまま仲間に出来る。
というかサイコピサロから元の姿に戻るのにかなり労力が必要な様だ。
豆知識から見るに進化の秘法から解き放たれ6章後の静かに暮らしている彼をイメージしているようだ、それならデスピサロより配合が難しいのはおかしい事ではない…かも。さらに彼は進化の秘法でパワーアップした大魔王マデュラージャの裏形態、「魔界神マデュラーシャ」に必要となる…進化の秘宝から開放されたと思ったら進化の秘宝を使いこなした(?)魔王の配合に必要という道のりを辿るという事である。
そして主人公へ…
ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅
ドラゴンクエストモンスターズシリーズ25周年記念作である本作では、何と主人公に抜擢された(当初はカミュ兄妹を主役にする予定だったが、開発途中で別のゲームに路線変更された為、ピサロに白羽の矢がたった。宿敵が『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』に参戦したことも少なからず影響していると思われる)。
トレーラーで「もうひとつの可能性の物語」と記されており、我々の知る姿の違いやロザリーと出会っている時期などからも『ドラゴンクエストⅣ』のパラレルワールドであると思われ、ピサロの出生に関しての補完が明らかになる。
魔族の父と人間の母との間に生まれるが、父であるランディオル大帝から「魔物を傷付けられない呪い」をかけられ戦闘力はあるが魔物と直接戦うことができなくなる(本人が戦えてしまうとモンスターズのゲーム性が成り立たたないというメタ的な理由もあると思われる)。
ロザリーとの出会いにも描写の追加があり、ピサロがエンドールのモンスターマスター大会で優勝した後ルビーの涙を流すエルフと言う見世物として虐待を受けたロザリーを目撃していた。
また今作の設定によると「人間の友達が一人だけいた」「心優しい性格で弱い魔物や他種族の為に努力している」等といった設定が追加され大分過去と性格設定が変わっている。
魔物達がⅣ本編でデスピサロに忠誠を誓っていたのも『人間にとっては魔王だが魔物や他種族にとっては紛れもない英雄だったから』である(いわば魔族側における勇者)。
なお、今回のピサロ主人公ではスカウトは『自身の軍の設立及び強化』という明確な理由が出来ている。
ロザリーを失う以前からピサロが人間を滅ぼそうとした動機も『過去に魔族とハーフであるのを理由にいじめられた挙げ句、魔物から町を守ったにもかかわらず迫害され、逃げる途中で母親と死別した』事に加え、エビルプリーストに「人間達を活かしておいたら魔族が危ない(意訳)」と言われたからである(エンドールの武術大会に参加したのも、サントハイムの城の人間たちを攫ったのも、それぞれエビルプリーストの部下・ニャーゼルに唆されたため)。
また、マスタードラゴンには幼い頃に助けてもらっており、その後2度ほど「勇者と協力してランディオル大帝を倒せ。魔族の血を消すから人間として生きろ」と提案されるが、あくまでも魔族としてランディオル大帝を倒して人間と対立する事を誇示したため彼とも敵対することになった(とはいえ、マスタードラゴンもその場でピサロを倒そうとはせず天空城から追放するだけに留め、天空人の話ではピサロの事を案じていたらしい)。
ちなみに本作では『ドラゴンクエストⅣ』における悪事の内、山奥の村を焼き払った件は濡れ衣であり、真犯人は腹違いの兄の暴将ディオロス。原作の時点でもソロやプレイヤーには声だけしか判断材料がなく、ピサロが先導して村を焼き払った様子を直接見ていなかったことに加え、その時のピサロらしき人物の台詞が後のピサロの人物像と異なるため、以前からファンの間で別人説(主導者はエビルプリースト説が多かった)が囁かれていた(とはいえ、自分も勇者ソロを捕らえに潜入してきたのは事実なので、原作においてピサロがその事について弁明しなかったと思われる)。なお、この事件で討たれた勇者が偽物であることに気づいていたが、エビルプリーストに急かされたこともありここでは捕らえようとせず立ち去った(この時、ソロに後ろ姿を目撃されている)。
また、ロザリーを襲った悪人に関しても最初の時は頭に火をつけただけで生死不明となった他、二度目の時はベネットと共に追い払うだけに留めている(初回、及びその後にベネットを信じなかった場合は『ドラゴンクエストⅣ』の時と同様に殺害している。また、ベネットを信じなかった原作ルートでは、今まで救ってきた魔界の住民達も襲撃して滅ぼしてしまった事が示唆されている)。
最終的にロザリーが死ななくなった為、ピサロは人間と敵対する事なく、愛するロザリーと共に生きる道を選んだ(描写的に、あのままデスピサロとして人間と対立しても、結局誰一人救えず、最終的に必ず勇者ソロに討伐される結末になることを痛感したのも理由かもしれない)。本作で実はホイミンと面識があったことが判明し、ホイミンから「人間と魔族は共存でき、その架け橋になるのは貴方かもしれない」と言われている。
なお、今作では主人公であるため、デフォルトネームこそ「ピサロ」だが、当然自分でも名前が付けられる。
ストーリーを進めると『ドラゴンクエストⅣ』のように(ストーリー上で)「デスピサロ」と名乗る事になるが、自由に名前が付けられるため「デス(プレイヤー名)」と表記される。その為、ここで「デスピサロ」と付けてしまうと、その後「デスデスピサロ」が爆誕してしまうという、さながら「キャプテンキャプテンホーク」の悲劇が再発してしまう。ちなみに名前はいつでも変更が可能である。
ドラクエの主人公のお約束として無口になっているが、その代わりソロの方は台詞が原作より増えた。
声優
俳優
- 柳楽優弥:『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』実写CM
- 城田優:『ドラゴンクエストタクト』実写CM
毒親の被害者:『ドラゴンクエストモンスターズ3』で父親に呪いをかけられた他、母親を見殺しにされたから
光落ち:リメイク版
デスピサロ エスターク エビルプリースト バルザック キングレオ ピサロナイト
他作品
- 竜騎将バラン:漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場人物。人間に愛する女性を殺されたことで人間を滅ぼすために行動するようになった男。
- ラーハルト:同じく『ダイの大冒険』の登場人物。人間との母と魔族の父の間に生まれたドラクエ作品繋がり。
- エルギオス:『ドラゴンクエストⅨ』の登場人物。上記のバランのオマージュと思われるキャラクター。こちらは愛する女性にも裏切られたと思い込んでしまうなど悲惨な境遇にある。
- セフィロス:『FINAL FANTASY Ⅶ』の登場人物。リメイク版以降のデザインが似ているキャラクター。ストーリー上の共通点も多く、両シリーズがする共演『いただきストリートSP』では、アリーナから「ピサロに似ている」と評される台詞も用意されている。
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