パラリティタン
ぱらりてぃたん
2001年にアメリカ・ペンシルバニア大学の調査隊が、かつて最初のスピノサウルスの化石が見つかったエジプトのバハリヤ・オアシスにある白亜紀後期(9960~9350万年前)の地層で、上腕骨・肩甲骨・脊椎・肋骨など16個以上の竜脚類の化石を発見した。
研究の結果、ティタノサウルス類の新種と判明し、2001年に同大学の古生物学者のジョシュア・スミスやマット・ラマンナらによって、「ストローマーの波打ち際の巨人」を意味するパラリティタン・ストロメリと命名された。ちなみに種小名はバハリヤ・オアシスで最初に発掘調査を行い、スピノサウルスなどを発見・命名したドイツ人古生物学者エルンスト・ストローマーに敬意を表してつけられた。
化石は今のところエジプトでしか見つかってないが、モロッコでもティタノサウルス類の化石が見つかっており、本種である可能性も高い。
化石は全身の7.8%しか見つかっていないが、かなり大型の恐竜であったことは間違いない。上腕骨は長さ169cmもあり、同時期の竜脚類の中でも極めて長かった。
当初は全長30メートル・体重80トン弱と推定されたが、現在では最大でも全長26メートル・体重40~50トンほどだったとされている。それでも、それまで最大とされてきたギラファティタンの全長23メートルを上回っており、アフリカに棲息していた恐竜では最大級である。
また、皮膚の断片も見つかっており、多少の装甲を備えていたらしい。
パラリティタンが棲息していた頃のエジプトは現在とは異なり、原始的なマングローブが発達した海岸地帯だった。彼らは、このマングローブを構成していた塩分耐性の高い木生シダや原始的な被子植物を餌としていただろう。
同時期のアフリカには様々な獣脚類が棲息していたが、パラリティタンが最も恐れたのはカルカロドントサウルスだっただろう。事実、パラリティタンの模式標本には、カルカロドントサウルスの歯の化石が混じっていた。しかし、皮膚に装甲を持ち、最大で26メートルにもなったパラリティタンの成体には、敵はほとんどいなかったと思われる。