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バトルテック

ばとるてっく

バトルテック(Battle-tech)とは、ロボットバトルを扱うアメリカ製のボードゲームである。
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バトルテック(Battle-tech)とは、ロボットバトルを扱うアメリカ製のボードゲームである。ロボット操縦者をPCとするメックウォーリアRPGというTRPGにも発展している。


概要編集

かつて人類宇宙を普く支配していた超大国である星間連盟が、平和の時代と数々の科学技術と共に歴史の彼方に消え去った約千年後の未来、5つの星間国家が星間連盟の覇権を継承すべく継承権戦争を繰り広げている時代。プレイヤーはその最前線で戦うメック戦士として、メック(=ロボット)を駆って敵のメック戦士と戦う、というストーリー。

日本のロボットアニメ(マクロスとかダグラムとか)のメカデザインを流用していて怒られたというのは有名な話。でも、最近は権利関係の問題を解決して当のデザインが復活しているらしい。


システム編集

かなりリアリスティックなロボット戦闘描写のゲームで、戦闘は基本的に陸戦だけ。エネルギー、ミサイル、砲煩兵装の他に、殴る蹴るといった格闘によって攻撃する。また、熱のパラメータがゲームの特徴的なシステムとして存在しており、機体に熱がたまりすぎると移動力の低下や、弾薬の誘爆を引き起こしてしまう。

他に、このゲームにはメックの自作ルールが用意されており、プレーヤーはルールに従ってオリジナルのメックを製作できる。ルールには多岐にわたる設定項目が存在し、エンジン出力、武装の種類や搭載量および部位、そして装甲には全体の材質や部位ごとの細かい配分、弾薬にも搭載する量と場所を設定しなければならない。また、オフィシャルのメックもこのルールに基づいて設計されているので、プレーヤー専用のカスタム機の製作も可能である。


世界設定編集

歴史編集

バトルテックは西暦3025年という遠未来の世界を舞台にしている。22世紀に人類は太陽系外に進出を開始し、やがて地球から独立して星々に政府が成立する。24世紀、カリスマ的な軍人ジェームズ・マッケナが登場し、地球を中心に周辺星系を制圧して星間国家地球帝国を建国する。そのほかの地域も軍事力による星間国家が成立していった。これら軍事制圧で成立した国家はマッケナがそうであったように個人とその家系が権力を握る中世封建制的な政治体制となり、民主主義は形骸化していった。


26世紀に地球帝国は全ての星間国家を征服し、星間連盟へと発展した。星間連盟は28世紀に反乱で分裂し、星間連盟首長の座を継承しようとする5大国、継承国家が互いに戦争を繰り返す時代となった。この継承権戦争は三度にわたって繰り返され、その凄まじい戦禍によって文明は21世紀初頭と同程度かそれ以下まで後退してしまっている。星々を統治しているのは中世的な領主であり、その地位は軍事力、具体的にはメック戦士であることによって保障されている。継承国家の直属軍は少数であり、メック戦士の多くは傭兵として継承国家に所属して領地や金を対価に得て戦っている。プレイヤーが操るメック戦士たちもそんな傭兵部隊の一員である。


地理編集

世界の覇権をめぐって争う5つの継承国家は次の通り。

恒星連邦編集

ダヴィオン家が国王を世襲し、現国王は”狐”ことハンス・ダヴィオン。星間連盟時代の科学技術の復興に努め、軍事力にも優れている。イメージはアメリカ合衆国に近いとされる。3025年当時は最強の国家。


ライラ共和国編集

シュタイナー家が支配権を世襲し、現在の国家主席は女傑カトリーナ・シュタイナー。経済力に優れ、自由民主主義を掲げる。文化的モデルは欧州共同体。米国小説版や日本のリプレイ版の舞台ともなってお馴染みである。しかし実態はタマラー協定領、ドネガル保護領、スカイア連邦という3国を中心に小国家が集まった国家共同体で内部対立が激しく、民主主義も互いに争う封建領主たちの都合の前には無力で、むしろ旧ソ連のイメージに近いとも言われる。


ドラコ連合編集

支配王家はクリタ家。現在の最高権力者はタカシ・クリタ大統領。軍事力と残虐さに定評があり、小説やリプレイなどでだいたい悪役を務めてきた。イメージは米国から見た戦前日本、大日本帝国である。しかし3030年代を中心とする最近の米国版では善良な武士道精神が強調されて主役を務めることが増えたとか。


自由世界同盟編集

マーリック家が支配し、当主(総帥)はヤノス・マーリック。国土は広いがライラ共和国よりも内部対立が酷く、内乱が繰り返されて国力は振るわない。


カペラ大連邦国編集

支配王家はリャオ家、現在の首相はマクシミリアン・リャオ。文化的には中国系。継承国家最弱であるが、体制は一枚岩でしぶとく生き残っている。


その他の勢力編集

超光速通信技術を独占し、どの継承国家からも中立な団体がコムスターである。中立の立場上継承国家間の外交などにも影響力を行使している。高い技術を持っているはずだが文明衰退の影響は免れず、今や整備マニュアルを経典代わりに朗読する宗教団体と化してしまっている。


5大継承国家が支配する中心領域を離れると、そこは辺境と呼ばれる。辺境には失敗した反乱勢力や犯罪者が逃亡して流れ込んでおり、その中でも力ある者が星を占拠することで蛮王国と呼ばれる小国家を建てている。その果てには星間連盟崩壊の際に中心領域を逃れたアレクサンドル・ケレンスキー将軍の軍勢が潜んで、当時の高度な技術を今に伝えているとされる。



追加ルール・派生作品編集

このゲームには多彩な派生作品が存在しており、世界観を大きく拡張できる。代表的なものにメックウォーリアがあり、これを導入するとプレーヤーキャラクターを作成してTRPGとして遊ぶことも出来る。また、市街地戦闘や歩兵ルールを扱うシティーテック、気圏戦闘機による航空/航宙戦闘を扱ったエアロテック(ランド・エア・メックも製作可能)、大隊以上の戦力による戦闘を扱ったバトルフォース、最後にプレーヤー自身が継承国家の首長となって国家間戦闘を戦うサクセションウォーズなどがある。

これらのいくつかは実際に基本であるバトルテックと併用することで、バトルテックのルールを拡張し、プレイバリューを大きく広げることができる。


ゲームに登場する兵器や施設編集

メック編集

このゲームの主役である、巨大ロボット兵器。核融合炉を搭載し人工筋肉で地上を走破しながら様々な火器と巨体を活かした格闘戦で任務を遂行する。

装甲車輛編集

バトルテック世界の戦車。メックより弱めだがコストも安くなる。

歩兵編集

そのまんま生身の人間が小隊を組んで携行火器の一斉射撃で敵に応戦する。生存性は…お察しください。

気圏戦闘機編集

宇宙や惑星上空で出撃可能なSF戦闘機

降下船編集

ジャンプポイントから星系の居住可能空域に移動するための宇宙船。メックなどの戦力も収容できるため大抵の傭兵部隊にとっての拠点ともなる

航宙船編集

星系各地にあるジャンプポイントと呼ばれる場所にワープ航法で移動する宇宙船。十数光年のワープは一瞬で行われるが、そのためのエネルギーの充填には数日かかる

星間通信編集

十数光年離れた場所に瞬時に情報を送信する技術。コムスターと呼ばれる半ば宗教団体となった中立組織が運営している


製品展開編集

それなりに古いゲームであるバトルテックだが、海外では版元をコロコロ変えながらも絶賛展開中。日本では富士見書房が翻訳版を出したりしていたが、現在絶版。今から遊ぼうと思うと、幾度にもわたるルール改定や歴史の進行がある(日本語版より数十年は進んでいる)ため非常に敷居が高い。

・もしも世界観に興味があるのならば、PC用アクションゲームシリーズの「メックウォーリア」をお勧めする。現在シリーズ4作目である「MechWarrior 4:Vengeance」(Windows)が完全無料公開中である。英語版しか無いが、高校生程度の英語力があればプレイに支障は無いので、ぜひプレイしてほしい。時代背景は、連邦=共和国内戦の時代(3060年代)である。

・また、2021年には「MechWarrior 5: Mercenaries」(Win(Steam)/One/XSX/PS4/PS5)も発売されている(日本語ローカライズはされていない)。こちらは三次継承権戦争の最中の3015年から、第四次継承権戦争終結となる3049年までの世界の話となっている。

・更にターンベースSLGの「BATTLETECH」も2018年にParadox Interactiveからリリースされた(Win/MAC/LinuxのみでCS機での展開はない)。

・そして、2013年から「MechWarrior 5」のデベロッパーであるカナダのPiranha Gamesが運営するFree to Play(F2P)MMO「MechWarrior Online」が現在も稼働中である。残念ながら日本語ローカライズ版はないため興味のある人は関連Wikiサイトを参照されたし。


その他、バトルテックのゲームとしては1990年代前半に、バトルテックセンターという似たようなシステムのアーケードゲームを展開していた(東京・渋谷のDr.ジーカンズ等が知られる)。が、時期尚早すぎて短命に終わった。

本作は操作系が初心者向け・上級者向けの2通りから選べ、後者は「上半身だけ横を向いて撃ちながら前に走る」といったバーチャロン戦場の絆などの後発作品にも無理な複雑な機動ができた。


日本で発売された関連作品編集

以下には作品例紹介を兼ねて邦訳のあるものをいくつか挙げる。


ブラックウィドウ(シナリオ集1):ジョーダン・K・ワイズマン 安田均&グループSNE(訳)

中心領域で最も高い知名度と最強の名声を誇る傭兵部隊、それは”スペードの女王”と恐れられた伝説のメック戦士ナターシャ・ケレンスキー率いるケレンスキー独立中隊、通称”ブラック・ウイドウ”である。彼らの戦役をボードゲーム化したバトルテックシナリオ集。


グレイ・デス軍団の誕生(小説バトルテック1巻):Jr. キース ウィリアム・H. 安田均(訳)

ライラ共和国の辺境惑星トレルワンを襲った突然の陰謀。父を失い、無実の罪で全てを失ったグレイソン・デス・カーライルには、しかしなお稀代の用兵家の才能が残されていた。僅かな物資と信頼できる仲間を手にしたグレイソンの反撃が始まった。


魔女たちの饗宴(バトルテック・リプレイ集1):大鳥博士&グループSNE

ライラ共和国とドラコ連合の激戦が続く惑星アイカー3に、メック戦士養成校をさえない成績で出たばかりの新兵どもが集まった。彼らこそアージェンタ・アショリーカ中尉率いる”三月兔”ことアショリーカ偵察小隊。彼らの行く手にはどんな戦いが待ち受けているのだろうか。


関連項目編集

バトルメック:バトルテックに登場する歩行兵器の名称。単に「メック」とも。

ライフルマン:60tの重量級バトルメック。重量級で機動力は低いのに攻撃力重視過ぎて装甲も薄い。当然攻撃力は高いのだが、放熱器不足故に全力攻撃をすると直ぐにオーバーヒートする=折角の攻撃力を生かしきれない、と言うチャームポイントを持った皆のアイドル。

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