バトラ
ばとら
別名戦闘破壊獣、破壊魔獣。
その名は「バトルモスラ」の略であるとされる(実際にこの名称で発売された商品もある)。
「黒いモスラ」とも呼ばれるモスラの亜種であり、モスラ同様地球の守護神と呼べる存在であるが、『守護』を目的とするモスラとは反対に、地球にとって害となるものを『破壊』することを目的としている。
成虫
全長: | 180メートル |
---|---|
体重: | 3万トン |
飛行速度: | マッハ2.5 |
武器
- プリズム光線:幼虫時より遙かに強化されている。眼からのみ発射。
体色は黒を基本とし、随所に赤や黄色がちりばめられ、羽には赤い稲妻模様が刻まれている。硬質な外骨格に包まれており、モスラの様に鱗粉を武器にする事は出来ないとみられる。
触覚ではなく角を持つが、成虫になると飛行の邪魔にならないよう退化する。また肢がモスラよりもずっと長い。
幼虫の時でも光線を放ち、ゴジラと互角に渡り合うなど、(それまでの)モスラに比べて、より攻撃的な能力を持つ。
防御力を上げるために外骨格を強化した結果だったとしても、飛行能力を持つ怪獣(生物)として体重3万トンというのは重すぎるのではないだろうか?(まぁ羽が大きい分、推進力を得やすいから大丈夫、と考えられなくもないが・・・。)
一万二千年前、地球の先住民族のコスモス達の文明時代では気候を自在に操る機械が発明され、地球生命を脅かしたため、文明を滅ぼそうと地球の意思により生み出された。
その当時のモスラと同じ卵から生まれたモスラの双子であることが、インファント島の遺跡にあった壁画から示唆されている。
バトラはコスモスの築いた古代の文明を攻撃し、コスモスの守護神であるモスラと戦闘。最終的に北の海に封印されたが、その際の気候操作機械の破壊によって大洪水が起こり、地表のほとんどが海中に没し、モスラと共に高い山に避難した一部のコスモスを残してコスモスの文明は滅びた。
そして長い時が流れ、巨大隕石の落下による汚染が引き金となり20世紀に復活する。
このように一万二千年前と現代に出現したバトラは同一個体で、壁画を見るにモスラとは成虫で戦ったはずだが、復活した時幼虫だった理由は不明(最珠羅も似た例ではあるが)。
あるいは幼虫・成虫というのは便宜的な呼称で、陸上戦・海上戦を行う場合と空中戦を行う場合とで形態を切り替えられる怪獣なのかもしれない。劇中でも、モスラとは異なり一瞬で成虫になっていた。
復活したバトラはモスラをめがけて日本を通過。能登半島沖で受けた航空自衛隊のF-15のミサイルをものともせず地中に潜り、名古屋に出現し名古屋城を破壊(「モスラ対ゴジラ」におけるゴジラの名古屋城破壊シーンのオマージュ)。
名古屋テレビ塔付近で陸上自衛隊の74式戦車部隊と戦い、角と目からのプリズム光線で多数を撃破。直後に到着したツインメーサータンクと92式メーサー戦車の攻撃にも全く怯む様子を見せず、破壊の限りを尽くす。
テレビ塔を倒して再び地中に潜行後は、フィリピン沖に出現。コスモスを守るためにゴジラの気を引いていた、孵化したばかりのモスラに襲い掛かろうとして、ゴジラの怒りを買ってしまい、モスラそっちのけで、海底にて激しく戦う。しかし、戦闘の衝撃がマグマ層に影響を与え、活動を開始した海底火山にゴジラ共々飲み込まれる。
だが、バトラはモスラが羽化して成虫になろうとしている頃に姿を現し、海上で成虫となり再びモスラの元へ向かう。
横浜みなとみらい21でモスラと激しく戦いこれを撃墜、続いて先のマグマ層の活性化で噴火した富士山から現れたゴジラを迎撃。一時は瓦礫の下に押し込めたが、油断して返り討ちにあい、あわやというところでモスラが加勢。次いでモスラの苦境に助太刀してモスラと和解、ついにモスラと共にゴジラに挑み、これを戦闘不能に追い込んだ。その後、モスラに自分の本来の使命を伝え、モスラとともにゴジラを空輸しようとするが、ここで突如ゴジラが復活、喉笛に咬みつかれて黄色い体液を大量に流す。これが致命傷となるが、ついにゴジラを離さず北の海へと運び出しそこで絶命、ゴジラと共に北の海深く沈む。
本来の復活の目的は後に地球に飛来する巨大隕石(後のスペースゴジラであったという説もある)の衝突を回避する事であったが、ゴジラに倒されたために、モスラが代行した。
成虫時はこの隕石破壊や、上記の文明を滅ぼそうとする等、反撃を気にしなくても構わない一方的な破壊を主眼としているためか、ゴジラの放射火炎にも殆どダメージ受けない程の防御力を持っていた幼虫時に比べ、成虫時は耐久力に難がある。また、敵の背後のビルを崩したり、もぎ取った観覧車を叩きつけたりと、戦闘技術はモスラよりも高いようである。
蛹の状態は存在せず、幼虫の状態から閃光とともに一瞬にして成虫に変態した。その成虫化の様子は、ユスリカの蛹が尾を上下に振りながら水面を泳ぎつつ羽化する姿を彷彿とさせるものである。設定ではモスラが完全変態を行うのに対し、バトラは不完全変態を行うとされており、コミカライズ版では変態の際に残した抜け殻が発見されている。
(もっとも、一部の昆虫は幼虫の皮膚がそのまま硬化して蛹になるものもあり、劇中の描写では『マグマの熱エネルギーを利用して一気に変態した』とも取れる事から一応は完全変態の可能性もある)
※画像はイメージ
小説『プロジェクト・メカゴジラ』では直接の登場は無いが、ゴジラの背鰭の残骸に付着していた蛾の遺伝子を持つ「M細胞」を持った怪獣「M」として存在が示唆され、日本の新興宗教団体が経営する孤児院で暮らす超能力を持った子供達によってバトラと名付けられた。
無敵と思われたゴジラにまともなダメージを与えるほどの力を持つことからゴジラに対抗し得る戦力として期待され、2030年代に調査隊が結成されたものの、アマゾン川を下る巨大な蛇、または毒虫のような影を見たという報告以外有力な証拠はなく、発見には至らなかった。
そして2048年に地球連合と接触したモスラの民の巫女リラによって実在していた怪獣であることが語られ、2037年に地球に接近して来た妖星ゴラスを感知したことでモスラよりも先に目覚めてゴラス迎撃に向かったが、同じくゴラスを破壊するためのエネルギーを探し求めていたゴジラと交戦するが力及ばず倒され、捕食されたとされている。
ゴジラに対抗できる程の実力者であるならば、当然その内に秘めたエネルギーも膨大であったはずであり、ゴジラはそれを知ってバトラを狙ったのではないかと考えられている(一方のバトラも同じことを考え、ゴジラのエネルギーを喰らいゴラスを破壊できる力を得ようとしたという考察も示されている)。
結果としてバトラを喰らったゴジラは北極海の氷を全て溶かすほどの膨大なエネルギーを手にし、観測史上最大出力の螺旋を描く「赤い荷電粒子砲」をもってしてゴラスを粉砕し、地球の滅亡を救ったのだった。
モスラとは本来つがいの関係にあり、2匹で戦えば上手くいけばゴジラすら倒せる、少なくとも縄張りである南米は防衛できるとまで言われる(参考としてモスラだけでもその鱗粉でゴジラの熱線を反射し、体内電磁波を暴走させることが出来るが「倒す」ことは出来なかった)。
また、モスラとの間にはすでに卵を作っており、この時の卵=子供が1万七千年後にゴジラ・アースと戦って敗北。その時点で体内に卵があった事から、相手は誰だ?と疑問が発生しているが、この時もまたモスラ1体だけだった(バトラがいなかった)ため単なる単為生殖と考えるのが妥当かもしれない。
余談だが上記の通り人類の前に初めて目撃された時は幼虫であり、この時すでに卵を作っていたとすると、原作版のように成虫から幼虫へ移行できるのかもしれない。
- 鳴き声はラドンの流用。
- 実はVSシリーズに登場した怪獣の中ではモスラと共に数少ない「人為的に生み出されたものでもなければ突然変異なども起こしていない、自然そのままの原種」の怪獣だったりする(ベビーゴジラは怪獣ではなく恐竜(ゴジラザウルス)なので除外。そして人間が作り出したビオランテ、VS版キングギドラ、メカゴジラ、モゲラはもちろん、VS版ラドンとリトルゴジラ(⇒ゴジラジュニア)は核、スペースゴジラは宇宙エネルギー、デストロイアは本来生息した時代との環境の差異による突然変異個体である)。
- 劇中の行動から「ツンデレ怪獣」・モスラとセットで「リア獣」とも呼ばれる。これに絡んで、雌の怪獣であるモスラに対して、バトラは雄の怪獣と解釈される場合も多く、関連した二次創作もそれに倣ったものが大半を占めているが、近年の漫画やアニメ、二次創作などを問わず女性同士の恋愛や友情を描いた、いわゆる百合ジャンル作品が隆盛を極めつつあること、また一時ブームにもなった怪獣擬人化作品の影響もあってか、女性擬人化されたバトラのイラストも徐々に増えつつあり、今後は個々人の持つイメージに合ったバトラの姿を思い描いて創作するのが良いといえるだろう。
- なお、モスラとのカップリングタグとしてはバトモスが使われている。
- 上述のように『プロジェクト・メカゴジラ』では本当にモスラのつがいで子持ちのリア獣となった。
- このほかに、「人間を襲う」「柔和でない顔つきと能力」「水上で羽化する」「伝承上の姿と異なり、幼虫の姿で復活した」「他の怪獣と共闘してゴジラと戦う」という点は最珠羅にも通じる。
- バトラ自体の原型は、「VSキングギドラ」終了後に執筆された企画の一つ「ゴジラVSギガモス」、および同タイトルに登場する昆虫怪獣「ギガモス」である。企画案「モスラVSバガン」と同時期に書かれたもので、VSバガンやギガモスの設定を統合し、バトラとなったとの事。
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