コキ100系 単語


8件

コキヒャッケイ

4.4千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

コキ100系とは、JR貨物が保有するコンテナ貨車である。

本項では共通する設計・機構を持つコキ200形についても取り上げる。

概要

1987年に発足したJR貨物ではコンテナを輸送形態の柱と定め、輸送力と速度の向上をした。しかし国鉄から引き継いだコンテナ貨車では、高速走行に対応しているが整備性の悪い形式と、効率的だが鈍足な形式の一長一短な2つしかなかった。また大柄で鉄道コンテナより柔らかいコンテナの輸送には、低床式かつ衝撃緩衝に配慮した専用種を使用しなければならず、コンテナ鉄道輸送はなかなか普及していかなかった。
そこでJR貨物110km/h走行効率的な積載に加え、コンテナにも対応した新たなコンテナ貨車を製造することとなった。鮮やかなブルーに塗られ登場したその貨車は、床面高さ100cmからコキ100系と名付けられた。

高速走行のために必要なのは優れたブレーキである。これは従来のブレーキ装置にあったタイムラグを解消する「電磁弁」を搭載することで、制動距離を短縮し110km/h走行を可にした。

効率的な積載には、国鉄時代に登場したコキ50000系体長さを踏襲することとした。それ以外にもコキ50000系は台台車の元設計となっており、コキ100系との共通点は少なくない。

内で一般的な鉄道コンテナコンテナは背が高いため、コキ50000系に載せると鉄道車両限界高さをえてしまう。コキ100系では体を薄にすることで床面高さ1mちょうどを実現。しばらくの試験運用の後、コキ106形の登場で本格的な輸送がスタートしている。

形式

コキ100系は登場以来改良を繰り返し量産されており、現在8形式のコキ107形が最新形式とされ増備中である。
2000両以上存在する形式もあれば、わずか5両しかないレアまで存在し、遭遇・通過するコンテナ列車を観察しても形式ごとの差異を楽しむことができる。

以下にこれまで誕生したコキ100系の仲間を挙げ特徴を説明する。なお、複数形式でユニットを組む場合は同時に扱う。

コキ100・101形

コキ101コキ100コキ100コキ101

JR貨物が発足してまもない1987年に登場したのがコキ100形、試験運用の後、1988年に加わったのがコキ101形である。合計66ユニット264両。

コキ100形は長大編成を想定し、4両1組のユニットを組んだ。また連結作業も不要と考えたためか、作業員が乗るためのデッキい。
しかしいざ試験運用をしてみると、普段の入れ換えであまりにも使いづらいと酷評であった。そのため4両ユニットという形態はそのままに、デッキを備える形式を新たに作り車両を組み替えることとなった。

コキ101形は端にデッキを備え、ユニットの両端に連結され2両のコキ100を挟む。現在の両形式は、コキ101-コキ100-コキ100-コキ101の4両ユニット(上イラスト)に組み直され運用している。

コキ102・103形

コキ103コキ102コキ102コキ103

コキ100とコキ101に小改良を加えたのがコキ102形とコキ103形である。1989年~90年に合計115ユニット460両が製造された。

110km/h走行に必要なブレーキの電磁弁はひとつで複数の車両を制御可なため、コキ100・101ユニットでは両端の2両に搭載されていた。
新形式とされたコキ102103ユニットでは、中間のコキ102の片方のみへと一カ所に集約。

コキ103-コキ102-コキ102-コキ103の4両ユニットであるが、形式番号以外の外観からコキ100・101と区別することはほぼ不可能である。
コキ102の後期に製造された25ユニットは31ftコンテナ積載に対応するため、体長をコキ103と同じにえてあり、500番台に区分される。

コキ104形

コキ104コキ104コキ104

これまでのコキ100系とは違い、1両ずつ運用可にしたのがコキ104形である。1989年~96年に製造された。

用の電磁弁とデッキを備え、4両単位ではできないきめ細かな輸送力の調整を可とした。基本的な設計はコキ101やコキ103に準ずる。

あまりに便利すぎたのか4両ユニットが不便だったのか総勢2948両とコキ100系の中でも最大閥となった。現在コンテナ列車に組み込まれる貨車のうち、大半がコキ104であることは多い。
現在コンテナ貨車ウォッチは、大勢力のコキ104106107とその他の形式を分別することから始まると言って過言ではない。

5000番台(36両)はさいたま新都心建設時の残土排出用に埼玉県活性化財団所有の私有貨車として専用のコンテナとともに製造されたもの。後にJR貨物に売却され一般車と混用されている。
10000番台(4両)は山陽本線瀬野八区間での走行中補機解放に対応したタイプ

コキ105形

コキ105コキ105

4両ユニットのコキ100・101と単のコキ104の中間として、奇数偶数の2両ユニットを組んだのがコキ105形である。1990年~91年に製造された。

デッキ付きの同一形式が2両背中合わせに組成されたユニットブレーキの電磁弁は一方のみに搭載されている。
デッキなしのような特徴がないため、単なるコキ104の2両として見落としがちでなかなか気づくことができない。また全部で40ユニット80両しか存在しないため、以下のコキ110ほどではないがレアな形式である。

コキ106形

コキ106コキ106

・コキ104の後継として、コンテナに本格対応させたのがコキ106形である。1997年2007年1162両が製造された。

コキ100系の床面高さがコンテナに対応していることは先に述べたが、実際に積載するには別途固定金具を取り付ける必要があった。また体強度の関係上、載せられない重量コンテナも存在した。

コキ106では別添だった固定金具の標準装備に加え、体強度を大幅向上させる大規模な設計変更が行われた。体台の形状が明らかに異なるのを上のイラストでもべられるだろう。
これら機の向上により従来の形式と区別するため、量産途中で体色がブルーからグレーへと変更された。現在はほぼ全ての車両グレーに塗り直されている。

コキ110形

コキ110

コキ106をベースに、新規格15ftコンテナの導入に向け2001年に登場したのがコキ110形である。

コキ100系は、12ftコンテナ*5個、20ft*3個、31ft*2個のいずれかの積載によって満載となる(つまり荷台は62ftくらい)。このコキ110は、4個の積載によって満載となる15ftコンテナの供用開始に伴い誕生した。
その奇抜なからし色が特徴的だが、残念ながら15ftコンテナは24A有蓋コンテナ10個製造されただけで全くと言っていいほど普及せず、コキ110もわずか5両の製造に終わった。・・・10個だと全部集めてもコキ110形2両半にしかならないんだが。

その15ftコンテナも20ftサイズに変換するためのM12Bコンテナという下駄を履かせてコキ110形以外にも搭載できるようにして運用されるなど、何のために作られたのか分からない散々な結果に終わり2012年3月に全された。本来の用途がなくなった現在はコキ106に混じって運用されている。しかし全を飛び回り、色なんてザラザラに汚れて分からなくなるコンテナ貨車の中からコキ110を発見するのはとしか言えない。数千両存在するJR貨物コンテナから5両しかないコキ110に出会えたらドクターイエローどころじゃない幸運が舞い込む・・・という都市伝説があってもいいと思うが、残念ながら知名度皆無なのでそんな伝説発生しないだろうなー。

コキ107形

コキ107

コキ104・コキ106に続く汎用コンテナ貨車として、現在最新の形式がコキ107形である。2006年に試作1両が製造された後、2008年からコキ106に代わって量産がスタートした。登場当初からグレー塗装
当初はコキ50000形全置き換えのために登場したが、現在は初期のコキ100系全般の置き換えのため量産されている。

コキ106の量産の裏で登場していた重量コンテナ貨車・コキ200形の設計をフィードバックし誕生した。コンテナ積載の面ではコキ106の機を踏襲しているが、体側面が再びリム形状となり補強も減った。
またデッキには従来体側面にあった手ブレーキハンドルデッキに移設され、突放が可になった入換え作業の便が向上しているという。

製造数は2020年時点で既に2000両を突破しており、初期の置き換えが始まっているコキ104に代わって最大勢力になるのもそう遠い話ではないだろう。

コキ200形/コキ2000形

濃硫・苛性ソーダなどの劇物を輸送する私有タンク貨車を20ftタンクコンテナで置き換えるため、2000年に登場した。コキ200が154両、コキ2000が2両製造。

コキ106・107には1個しか積めない、満載時の自重が24tに達する20ftタンクコンテナを2個積めるよう全長を15mに切り詰め、新台車・小径輪を採用し重量コンテナに対応させた。

コキ2000形はコキ200形の私有貨車版として計画されたものの、取り扱いが煩雑になるなどの理由から鹿島臨海鉄道所有となったものである。あまり使用されないまま2004年に除籍されたが、現在でも神栖に留置されている。

積み荷の性質上、登場当初から2011年3月まで運用されていた三菱化学鹿島事業所-四日市コンビナート間や、北九州貨物ターミナル-南延岡間の液化化エチレン輸送列車などで見られる、コキ200形のみの専用編成で運行されることが多いが、コキ100系コンテナ列車の編成末端に1~数両だけ連結されていることもある。

運用

各形式とも全を結ぶコンテナ列車に使用され、自慢の俊足を遺憾なく発揮している。

最高時速110km/hや100km/hに設定された列車は、必ずコキ100系のみで組成され旧来のコキ50000系は編成に混ざらない。またコンテナは積載可な形式がコキ106以降に限られる。

また近年ではコキ100系限定としてコンテナのように背の高いコンテナや、コキ106(以降)限定として重量タンクコンテナ内で誕生し、少しでも効率的な輸送を追求する流通事業者が運用している。
コキ100系はまさに現在鉄道貨物輸送の役と言えよう。

長らく事故以外でのはほとんど発生していなかったが、2010年代末から使い勝手に問題があるユニット車両(コキ100・101102103105)とコキ104の初期は徐々に置き換えが進行している。

関連動画

関連商品

関連項目

この記事を編集する

掲示板

  • 11 ななしのよっしん

    2015/09/10(木) 13:22:07 ID: KsSBrmiZ9A

    、コキ110-3を千里丘駅付近で見た。

  • 👍
    0
    👎
    0
  • 12 ななしのよっしん

    2018/10/22(月) 10:15:11 ID: duQa/5c7oH

    120km/hで走ったら前を走っている新快速に追いついてケツを追いかけることになりそう
    旅客各社の引いたスジの間に貨物が挟まるという都合上、旅客列車速度えた速度を出すことはまずないので、110km/hですら運用上の余裕であって常に出すわけじゃないから

  • 👍
    0
    👎
    0
  • 13 ななしのよっしん

    2019/03/31(日) 17:05:59 ID: gAV0ecAaiE

    この記事みたいな趣味関連の妙に詳しい記事すき

  • 👍
    0
    👎
    0

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/06/14(土) 08:00

ほめられた記事

最終更新:2025/06/14(土) 08:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP