2025年のオフィスのトレンドは? 人材確保と育成につながるワークプレイスが潮流に

人手不足を解消し、人を育てる場として機能するのは、どんなオフィスか? 毎年オフィスのトレンドを発表しているオカムラは、「社員同士がつながり、互いに刺激を与え合うワークプレイスが求められている」と提言する。同社ワークデザイン研究所の森田舞所長とスペースデザイン部の佐々木基部長が、「人」を輝かせ、組織を活性化するオフィスの在り方について語り合った。

――今、多くの企業が人材確保や人材育成について課題を抱えています。働き方や働く場の専門家としての見地から、どのようにご覧になっていますか。

森田 少子高齢化の進行とともに、生産年齢人口が急速に減少し、企業の人手不足の根本的な要因となっているのはご承知の通りです。もう一つ、ワークスタイルやワークプレイスを研究する立場で注目しているのは、若い世代の価値観の変化です。

 オフィスを単に「働くための場」ではなく、「自分を成長させるための場」だと捉える若者が増えており、そうしたニーズを満たせるオフィスを提供しないと人材確保がますます困難になるのではないかとみています。

佐々木 私はオフィスの空間デザインを行っていますが、最近は、「リクルーティングに効果があるオフィスを」というご要望を多く頂きます。やはり、どの企業も人材確保に悩んでおり、若者に受け入れられやすいオフィスにすることが、打開策の一つになるのではないかと期待しているようですね。

森田 私たちワークデザイン研究所が経営者と役員を対象に行った調査(図1)では、「オフィスを見直すことで改善が期待できる経営課題は?」という問いに対し、「優秀な人材の確保」と答えた方が57%に上りました。人材確保の手段としては人事施策や報酬・待遇が重視されがちですが、「働く場を変えることの効果も高いのではないか?」と期待する経営者が多いことが分かります。

2025年のオフィスのトレンドは? 人材確保と育成につながるワークプレイスが潮流に調査対象:従業員数100人以上の企業の経営者・役員 n=500 出典:オカムラ「働き方・オフィスに関する意識調査2024」
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 また、同じ調査で最も回答数が多かったのは、「部門を超えたコミュニケーションができる」(66・8%)でした。若い世代において、上司や先輩とのコミュニケーションを通じて自分を成長させたいというニーズが高いことに、経営者の皆さまも気付いておられるのではないでしょうか。

経営課題の改善につながるオフィスづくりはどう進めればいいのか。ヒントとなるのが、オカムラの研究成果に基づいたレポート「はたらき方のトレンド 2025」だ。次ベージでは本レポートの要点を解説しつつ、同社がこのトレンドをオフィス空間づくりにどう活かしているのかを紹介していく。