入山章栄氏が就活生に指南する、これから40年間「ときめいてワクワクする」仕事と会社の選び方Photo by Aiko Suzuki
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2025」の「Visionary Leader 『多様性の時代』生き方、働き方」を転載したものです。

企業でも個人でも多様性がますます尊重される時代に入っていく中で、どのように生き、働いていけばよいか、経験豊かな5人のプロフェッショナルに聞いた。1人目は、早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授の入山章栄氏。テクノロジーの進化や人口動態で仕事のあり方は激変すると入山氏。どのような考え方で就活に向かえばいいかを聞くと、過激ながらも、未来に展望が開ける回答が得られた。(取材・文/嶺 竜一、撮影/鈴木愛子)

つまらない仕事が少なくなっていく

――就活生が定年まで働くこれからの約40年。どういう時代になると考えられますか。

 定年まで40年間働くという前提が変わりますね。突然ですが、2112年は何の年だか分かりますか。ドラえもんが誕生した年です。実はこれから社会人になる学生は、ドラえもんが生まれた時代を見られる可能性があるのです。

 今年グーグルは、アルファフォールドというDNAやRNAなどの生命分子の構造を予測できる人工知能(AI)モデルでノーベル化学賞を受賞しました。すごい発明です。これでタンパク質が全て解き明かされると、人間の寿命が驚異的に伸びる可能性があります。今20歳の人は120歳まで生きるかもしれません。そして、働く期間は40年間ではなく、100年間になる可能性が出てきます。

――100年間働くのは大変です。

 仕事に対する考え方を根本から変えなくてはならないでしょう。

 良い点を言えば、今後はつまらない仕事やつらい仕事が少なくなっていくでしょう。過去、肉体労働は徐々にロボットがやってくれるようになり、ロボットを動かすことが人間の仕事になりました。今後は単調な頭脳労働もAIがやってくれるようになる。そうなると、面白い仕事しか残らないんです。

 自分がやりたくて面白いことが仕事になる時代はもう始まっています。典型がユーチューバーです。
最近、二郎系ラーメンを食べているだけのユーチューブ動画や、漫画『ワンピース』について語るだけの動画が面白くて、私はよく見ているのですが、彼ら彼女らは自分の好きなことだけをやってお金を稼いでいるわけです。